能登上布の帯地に、「南部菱刺し」がほどこされた、工芸性豊かな自然布の八寸帯です。
「能登上布」は、約2千年前、第10代崇神天皇の皇女が能登の鹿西(ろくせい)町に滞在したときに『真麻の上布を作ること』を地元の人に教えたのが始まりと言われる、麻素材の織物です。現在では織元はたった一軒となりました。
日本三大刺し子は青森県津軽地方の「津軽こぎん刺し」、青森県南部地方の「南部菱刺し」、そして山形県庄内地方の「庄内刺し子」と言われます。
「南部菱刺し」はもともとこの地域で自生する麻でしか衣類を作ることしかできなかった人々が、麻布の耐久性や保温性を高めるために、規則的に麻糸を指したことがはじまりです。
民藝的な風情ながらも現代ではモダンな幾何学模様にも感じられる独特の模様と、ふっくらとした太い糸の存在感は刺し子でしか味わえないぬくもりにあふれています。
自然布の帯地にさらに手仕事をあしらった、趣き豊かな一本です。
盛夏の上布、麻、紬、綿着物に。
上等な浴衣に帯や襦袢を重ねて着物風に楽しみたい時にも風情が合いそうです。
【作家産地】能登上布
【和織物語】能登上布を守る唯一の織元 山崎仁一