「更紗展 ~インドから世界へ 世界を魅了した染めの美~」
会期:2026年9月25日(金)~27日(日)
>>作品一覧はこちら
インドの代表的な染織品である更紗。生命の樹や草花、鳥獣を描いた異国情緒あふれる文様は海を渡り、日本へもたらされました。 大名や茶人に愛され、やがて日本独自の美意識と融合し『和更紗』として発展。江戸の暮らしを彩った更紗の歴史と、現代へ受け継がれる染めの美をご紹介いたします。
和更紗作家 中野史朗さんの九寸帯作品のご紹介です。
和更紗は明治、大正、昭和にかけて複雑な超絶技法へと発展し、一枚の着物に300枚の型紙が使われることもあったといいます。しかし、行き過ぎた技法に担い手は激減、型紙の入手も困難となりました。
中野史朗さんは染色工房で江戸小紋や更紗を請け負う中で、「このままでは和更紗の技法は途絶えてしまう」「今、技法を残さねば」という使命感を感じ、多難な和更紗にあえて挑み、和更紗職人として2013年に独立され、2019年に銀座もとじ「ぎゃらりー泉」にて自身初となる個展を開催いたしました。
現在は石川県に工房を構え、江戸小紋師の故・藍田正雄氏から譲り受けた長板などを用い、伊勢型紙の突彫師・内田勲氏の力添えとともに新たな型紙を制作しながら、和更紗に取り組まれています。
中野史朗さんの一番のこだわりは、今までにない更紗への挑戦、そして現代的であることだそう。ただあくまでも奇抜にならないように、現代の街並みに似合うセンスを大切に制作されています。
こちらは、11枚もの型紙で、220回繰り返し染められた更紗文様。
全体に紫濃淡の配色で、躍動感あふれる獅子と牡丹が、趣き豊かにあしらわれています。獅子の顔立ちもおだやかで、牡丹の華やぎも美しく、古典を踏まえた安心感がありながらも個性があり、品よく趣味性を楽しめる作品です。
柄行は全通で染められていますが、太鼓と前帯の獅子が濃い色で染められていますので、太鼓柄となります。
素材は、さらりとした紬素材で単衣から袷に楽しめます。
作品には制作工程に携わられた方の名前も丁寧に記されており、中野さんのものづくりへの想いが伝わります。
作品名『唐獅子牡丹 復刻文様 更紗 11枚型』栃尾 神代紬地
生地:栃尾かざぜん織物
図案:復刻文様
型紙:内田勲
染色:中野史朗
染料:藍熊染料
湯のし:旭染色整理店
経緯糸:玉糸・赤城座繰り糸
型紙サイズ:19×37.5cm
摺り型捺染:220回
洗練された更紗柄の帯は、小紋や紬、綿きものに合わせて。
ギャラリー巡りや趣味の集まり、食事会へいかがでしょうか。
更紗の趣味的な雰囲気は、洋装と集うシーンにもおすすめです。
中野史朗さんについて
1974年千葉県出身。建築設計事務所に勤務の後、手仕事の職人に憧れて型染めの世界へ。染色工房で江戸小紋や更紗の染めを請け負う中で、伊勢型紙の突彫師・内田勲氏、江戸小紋師の故・藍田正雄氏と出会う。日本で独自に発展した和更紗ならではの、何枚もの型を重ねて細かい模様を多色染めする伝統的な技法を残したいという思いから、2013年に和更紗職人として独立。また、和更紗の型彫りの技術を知る職人もほぼいない中、内田勲氏に師事し自ら和更紗の“追っかけ型”の技術を学んでいる。2019年3月、銀座もとじ「ぎゃらりー泉」にて初個展開催。
【作家産地】和更紗 中野史朗 記事/作品一覧
中野史朗さんの工房レポート(東京在住時の工房。現在は石川県在住)
「ぎゃらりー泉」とは
2017年、銀座もとじ「ぎゃらりー泉」を舞台とした新進作家の夢を叶える企画がスタート。その第3回目の作家として、中野史朗さんの初個展を開催しました。
「ぎゃらりー泉」は新進作家の夢を叶えるプロジェクトの舞台です