■「一本の糸に心を紡ぐ 手紡木綿 陽山めぐみ展」
会期:2025年11月14日(金) ~16日(日)
>>作品一覧
初めて経糸に緯糸を入れた日のことは覚えています。
糸が手元から布になってゆくあの瞬間。
あれから38年が経ち、銀座もとじで個展を開けるとは夢にも思いませんでした。
青戸先生、福永先生はじめ、家族、友人、支えてくださる全ての方に感謝します。
織ることができる幸せ。糸車を回し続け、遠くに来たようで何も変わっていない。
そんな集大成の展示です。
銀座で皆さまのお越しをお待ちしております。
陽山めぐみ
草木染織作家 陽山めぐみさんの木綿素材の八寸帯作品のご紹介です。
奈良県に工房を構えられる陽山めぐみさん。
島根県安来の出雲織の青戸柚美江氏に師事、23歳から2年住込みで絣を習い、卒業後、兵庫県青垣町の土佐手縞の福永世紀子氏に師事、経緯手紡ぎ糸で織ることを学ばれました。すべて草木染、木綿糸でのものづくりをされ、国展や民藝館展へ出品、受賞を重ねられています。
【帯作品についてのコメント】
「どこかに心に残る部分が一筋あればいいなと思ってデザインしています。その帯の顔のようなところです。前にくる柄もお好みで選べるよう意識しています。個性的でありながら、それでいていろいろな着物にしっくりとくるものが織れればと思います。なかなか理想は遠く、そういうものを目指しているという気持ちです。」
こちらはラオスとインド、奈良の手紡ぎ木綿糸を使用して織り上げられた作品です。
落ち着いた彩りの縞格子の奥から浮かび上がる、菱柄の存在感。シンプルな縞格子とは一味違う、複雑な美しさは、思わずじっと見つめたくなる衝動にかられます。
四枚綜絖の綾織による複雑な菱柄が画面に奥行と上質感を与え、高い織技法による表現であることを一目で伝える縞格子柄。紺、青緑、白茶、焦茶、紅の落ち着いた色使いだからこそ、菱柄の存在感が際立ち、注目を集めます。左右でさりげなく格子の調子に変化がありますので、前帯はお好みでどちらの柄でも楽しめるのも魅力です。
ふっくらとしたやわらかみのある風合いによる、締めた時の軽い着用感は格別で、やみつきになる心地よさです。手に触れるだけでも心癒されます。
紬や綿着物に合わせて。
袷はもちろんのこと、単衣時期にも大変おすすめです。
<陽山めぐみ 経歴>
1964年 大阪市出身
1987年 出雲織 青戸柚美江氏師事
1989年 土佐手縞 福永世紀子氏師事
1992年 第66回国画会新人賞(大阪民藝館所蔵)
第17回全日本新人染織展 佳賞・京都市長賞
1994年 日本民藝館展奨励賞(富山民藝館所蔵)
第19回全日本新人染織展 大賞・通商産業大臣賞
2014年 日本民藝館展奨励賞(豊田市民藝館所蔵)
2018年 第92回国展国画賞(日本伝承染織振興会所蔵)
国画会準会員