「高機」で織り上げられた「本場結城紬」のご紹介です。
「本場結城紬」とは、真綿手つむぎ糸を用いた手織りの結城紬のことです。
「紬の王様」とも呼ばれ、空気を含んだ手つむぎの真綿糸をほぼ無撚糸の状態で織り上げているので、軽くて暖かい着心地が大きな魅力です。
結城紬には、「地機(じばた)」「高機(たかばた)」があります。
「地機」と「高機」の違いは、織り機・織り方の違いで、経糸(たていと)の固定方法が異なります。「地機」は経糸が固定されておらず、織り手が腰を使って張力を調整する(=いざり機という昔ながらの織機)のに対し、「高機」は経糸が織機自体に固定されています(=いわゆる一般的な織機)。
「地機」による結城紬は、昭和31年に国の重要無形文化財に指定され、撚りをかけない糸で作られる布は世界でも珍しく、その技術の文化的価値から2010年にはユネスコ無形文化遺産としても登録されています。
こちらでご紹介しているのは「高機」による「本場結城紬」です。
柄行は、桜おびた暖色系のグレー地に、すっすっとしぐれ縞が走る、ニュアンスほどのさりげなさが魅力のデザインです。シックな藤紫ねずと白ねずの差し色がお洒落な配色で、モダンで洗練されたセンスで楽しめる雰囲気です。
大人のお洒落を一匙加えたような、さりげなくセンスの良い結城紬です。
結城紬は、着るほどになじむ「経年美化」を味わう織物と言われます。
ご年代に合わせて帯や小物の色を変えて、長く楽しんでいただける雰囲気ですので、人生をともに歩む楽しみのある一枚として、ぜひこの機会にご検討ください。
>>【YouTube】本場結城紬ができるまで(2分半)※音が出ます
>>【魅力と見分け方】本場結城紬とは?地機と高機の違い、結城縮、夏結城とは?
結城紬について
ふっくらとした手触り。体がつつみこまれるような優しいぬくもり。着るほどに肌になじむ結城紬は、昔は、最初は丁稚に着させて、素材がふっくらとしてから店主が着る、という文化もありました。結城紬こそ、早くお気に入りに出会われ、何度もお召しになり、洗い張りをし、長年かけてのその味わいの変化をじっくりとご堪能いただきたい織物です。
【作家産地】「結城紬」のご紹介
【工房レポート】結城紬~重要無形文化財「本場結城紬」工房見学
【和織物語】極みの単衣 本場結城縮
【読み物】文豪は「結城紬」をどう描写したか~小説の中の結城紬~