藍田正雄さんは2017年夏に永眠されました。藍田さんには2007年、銀座もとじが繭からプロデュースしている国産最高品質の絹布プラチナボーイを染めていただく第一号をお願いしたり、創業者である泉二弘明の男のロマンに多大なるお力をくださいました。最後の渡り職人と言われる江戸小紋師 藍田正雄さんの粋を一人でも多くの方々にご覧いただけますよう、心より願っております。
こちらは、藍田正雄さんの作品の中でも大変希少性の高い「訪問着作品」。
多様な縞を裂取りに構成したシャープな意匠を、明るめの紫濃淡にすることで、粋さがやわらぎ、匂い立つような美しい大人の色気が漂います。
唯一無二の大人の社交着。
現代の着物シーンに似合う洗練された個性があります。
美術展のレセプションパーティー、特別な日の観劇へ。
洋装と集うパーティーシーンにもおすすめです。
藍田正雄さんについて
藍田正雄さんは最後の「渡り職人」と言われていました。染めが現在よりも盛んだった頃、本場・東京のたくさんの工房を渡り歩き、多くの職人からその技を学んだ経験の豊富さ。伝統の技法を踏まえる正統派の作品を作り上げ、そこへ「うずらぎ」「板引き杢」など藍田さんならではの新しい技法を取り入れる挑戦力。技術は繊細さを求められる縞柄でもっとも生かされ、藍田さんが染め上げる「毛万二割」は一見の価値があると言われました。
工房は群馬県高崎市。自身の作品制作と同時に後継者育成にも確実な結果を残された、江戸小紋の第一人者。匠の技術と感性の素晴らしさもさることながらその温かなお人柄も魅力的でした。
そんな藍田さんがライフワークとして取り組んできたのが、江戸小紋の型紙となる“伊勢型紙”の保存・育成事業でした。常に“現代に生きる技の伝承”を思い、「江戸小紋」という自分が小紋師の職人として人生をかけた技の世界を現代に残すため、そして自分が最高の仕事をするために、自ら伊勢に足を運び、型彫り師と本音で向き合ってこられました。その想いは現在も弟子の作り手の皆様に息づいています。
藍田正雄さんにつきましては、以下もぜひお読みください。
『和織物語』小紋師 藍田正雄 江戸小紋に懸けた熱い想い
藍田正雄さんと伊勢型紙、そして彫師との歩みについて
【作家産地】「藍田正雄」ご紹介