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【結城縮復刻!レポート⑤】ついに完成!仕上げの工程

(写真:湯通し、天日干しの様子)

【結城縮復刻!レポート⑤】
ついに完成!仕上げの工程

2021年に始動した「現代に纏うプラチナボーイ『結城縮 復刻プロジェクト』」では、復刻柄の人気投票により女性柄は「剣花菱」、男性柄は「矢絣」が決定しました。小さな古裂を手がかりに制作してきた結城縮がついに完成!仕上げの工程をレポートいたします。

完成した復刻結城縮はこちら

結城縮の制作工程
1.糸つむぎ ⇒2.図案と色確認3.絣くくりと撚糸4.絣糸染め5.織り6.仕上げ

レポート①~④はこちらから

《工程6.仕上げ》

全長13メートルの反物がついに織り上がり、機から裁ち落とされました。
最終工程の「整理」と「天日干し」をしていただくのは産地問屋・奥順の石川雄市さん。‟雄さん”と慕われる、この道40数年のベテラン職人です。

結城縮復刻 湯通しを担当する石川雄市さん
仕上げを担当していただいた石川雄市さん

「整理」とは、布をお湯に通しながら布を縮ませる一連の作業のことで、結城縮特有の風合いを司る大変重要な工程です。

通常の結城紬の場合、織り上がった反物は組合の検査後に出荷となりますが、結城紬の縮織「結城縮」はこの「整理」を経てようやく完成。結城縮はそもそも年間生産数が少ないため、布を縮ませる工程を目にすること自体が大変希少です。

結城縮復刻 織り上がった反物。縮みを想定し幅広に織られている
織り上がった反物。縮みを想定し幅広に織られている

織り上がったばかりの布は、まだ表面が平らで滑らかな表情。横方向に縮むことを計算の上で模様が織り出されているので、模様の間隔が少し広くとられています。

結城縮は緯糸に強撚糸が用いられており、整理の過程で糸の撚りが元に戻ろうとする力が働いてギュッと布が縮み、「シボ」と呼ばれる表面の凹凸が生まれます。そのシボが、肌にはり付かずサラリとした肌触りと涼やかさをもたらすのです。

タライに熱めのお湯を張り、畳んだ反物をゆっくりと沈めます。

結城縮復刻 湯通し 反物をお湯に浸ける

固唾をのんで見守る中、明るいブルーが、みるみるうちに一段濃いブルーに変化していきました。

「産湯に浸かっているみたいですね」

一年前に、小さな古裂からスタートした復刻の結城縮が、立派な一枚の布になり、今お湯の中へ。まさに生まれたての赤ん坊を産湯に入れているような気持ちです。

結城縮復刻 湯通し お湯に浸かった反物

繊維の奥まで水分が浸透するほどに、機織り前にがっちりと糊付けされていた糸が自由を取り戻してゆきます。
「気持ちいいよ」という、布の声が聞こえてきそうです。

次に、反物をすすぎながら、端から順に全長13メートルを手繰っていく作業を約10回繰り返します。ひと手繰りごとに濡れて重くなった生地を持ち上げ、軽く揉みしごき収縮を促す、手間のかかる仕事です。

結城縮復刻 湯通し 縮み具合を確認する

頃合いを見ては指先(指の腹)の感触に神経を集中させ、縮み具合を確認しながら作業を進めます。
この整理の工程により、反物の幅は織り上がり時より7~8%程度縮みます。
縮み具合は、糸の撚り加減や機織り時の打ち込み強度によっても変化するとのこと。密度が高く織られていると、糸が動く余地がなくなり縮みにくくなるそうです。

結城縮復刻 湯通し 反物を天日干しする

十分に縮んだところで脱水し、工房前の干し場を広々と使って反物を天日干しします。

結城縮復刻 湯通し 天日干ししている反物を下から見た様子

経糸も緯糸もすべて手つむぎした糸で、絣は手括り、手染め、手織りの結城縮。干している反物の下から透かして見ると、手仕事の温かな味わいとともに、織り込まれている糸の細さと均一さがよくわかります。

結城縮復刻 湯通し 天日干しで乾いた反物

晴れた日なら約1時間ほどで乾燥します。
乾燥具合や仕上がりのシボの具合も指先で確認。
湯通し前とは似て非なる、まぎれもない結城縮ならではの風合い。
ついに、復刻柄の結城縮が完成しました!

反物はこの後、組合での検査へ回ります。
長さ、打ち込み数、色斑の有無や堅牢度など15項目の規定を満たしたものにのみ合格証紙が貼付されます。

9月23日(金)~25日(日)に完成発表会を開催いたします。
ぜひ反物を間近で、お手にとってご覧ください。

完成した復刻柄の結城縮を公開!
オンラインショップでご覧いただけます

女性柄1位「剣花菱」

「剣花菱」の詳細を見る

男性柄1位「矢絣」

「矢絣」の詳細を見る


本場結城縮 復刻柄 完成発表会 ~過去から未来へ~ 【同時開催】 本場結城紬/結城縮 新作展|9月催事

ぎゃらりートーク

「結城縮復刻プロジェクト 過去から未来へ」
登壇者:奥澤順之社長×作り手 森肇氏×二代目 泉二啓太
日 時:9月24日(土)10~11時【開催終了】
場 所:銀座もとじ 和織
定 員:各30名様(無料・要予約)

「結城紬の魅力を語る」
登壇者:奥澤武治会長×店主 泉二弘明 
日 時:9月25日(日)10~11時【開催終了】 
場 所:銀座もとじ 和織
定 員:各30名様(無料・要予約)

催事詳細を見る


現代に纏うプラチナボーイ
「結城縮 復刻プロジェクト」について

二代目の泉二啓太は、『奥順』の見本裂帳を見た時に昔の結城縮のおおらかで大胆な絣柄に感銘を受けました。 その小さな裂地は、ものづくりへの職人魂が詰まっており エネルギーに満ち溢れていました。

“柄の復刻を通じて、先人の英知を学び、現代に活かしたい”

その思いを胸に、熟練した職人たちの手技の全てを注ぎ込み、 最高の着心地を味わえる「究極の単衣・プラチナボーイの結城縮」を1年かけてつくり上げます。

◆なぜ今、復刻が必要なのか
かつて「結城縮」は「結城紬」よりも人気があった

「紬の王様」とも呼ばれる「結城紬(ゆうきつむぎ)」は、空気を含んだ手つむぎの真綿糸をほぼ無撚糸の状態で織り上げて作られ、軽くて暖かい極上の着心地が魅力です。昭和31年に「越後上布」に続き2番目に国の重要無形文化財に指定され、多くの着物ファンを魅了する憧れの織物として知られています。

「結城紬」が知名度と存在感を増し続けているその陰で、同じように魅力あふれる織物でありながら、技術の伝承が危機的状況にある織物、それが「結城縮(ゆうきちぢみ)」です。

「縮(ちぢみ)」とは、その名の通り布を縮ませる加工をしている織物のこと。結城紬とは違い「(手つむぎした糸を)撚糸する」という工程があり、強く撚りをかけた糸が元に戻ろうとする性質を利用することで、生地の表面に「シボ」と呼ばれる細かな凹凸が生まれ、単衣の季節に心地よいさらりとした地風に仕上がります。

結城紬自体は2000年以上の歴史がありますが、結城縮は明治35年頃から織られ始め、布地の持つシャリ感と絣のデザイン性が人気を博し、昭和に入ってからは結城紬産地の全生産量の約8割が結城縮という時代もあったといいます。しかし、結城縮の人気に押され結城紬の生産数が減少してきたこともあり、文化財保護の動きの中で、昭和31年に結城紬が国の重要無形文化財に指定され市場の需要が逆転。結城縮は生産数が激減し、今や全生産量の1割に満たないほどの希少な織物となっています。

◆「プラチナボーイ×結城縮」
希少×希少の組み合わせによる、夢の復刻プロジェクト

本プロジェクトでは、銀座もとじがプロデュースする純国産絹「プラチナボーイ」を用いて、結城縮が人気を博した当時の見本裂帳から、人気投票により選ばれた男女各1柄ずつを制作。

明治期には世界一の絹輸出国であった、着物の国、絹の国、日本。しかし現在は海外産の絹が台頭し、国内で養蚕から純粋に生産される純国産絹は1パーセントにも満たないほどになっています。

プラチナボーイは、日本の大沼昭夫博士が37年をかけ世界に先駆けて発明した夢の蚕品種であり、白く輝く絹糸の美しさから「プラチナ」の名がつけられました。

結城縮が席巻した当時には存在しなかった、現代に輝く絹糸で、今のお洒落を知る方々に選ばれたデザインを織り出す-夢の復刻プロジェクトの模様を、完成まで追いかけて随時レポートしてまいります。ぜひご期待ください。

復刻柄投票結果はこちら

男性柄 第1位は…

「矢絣」経モロ絣

(産地コメント)結城紬の製織で用いられる地機は、他の織機と異なり下糸だけが上下するのが特徴です。織るうちに上糸と下糸がずれてしまうので、絣は上糸だけに入れるのが産地では常識となっています。この端切れの図案は「モロ絣」といって、上糸にも下糸にも絣が入っており、現在ではほとんどできない絣の作り方です。

女性柄 第1位は…

「剣花菱」緯絣

(産地コメント)結城縮を織るには、手つむぎ糸に右撚りと左撚りをかけ、緯糸に交互に織り込む必要があります。一方、絣糸とよばれる模様の入った糸には撚りをかけません。この端切れのような緯絣では、右撚りの糸、絣糸、左撚りの糸、絣糸、と順番に織り込んでいます。絣が多く、織る手間もかかるため、現在では数少ない作り方です。

【銀座もとじ公式YouTube】二代目 泉二啓太が語る結城縮

【現代に纏うプラチナボーイ「結城縮 復刻プロジェクト」】
〈お問い合わせ〉
銀座もとじ女性のきもの 03-3538-7878
銀座もとじ男のきもの 03-5524-7472

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