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【結城縮復刻!レポート①】まずは糸づくり。絣模様の設計と色確認も

【結城縮復刻!レポート①】
まずは糸づくり。絣模様の設計と色確認も

2021年に始動した「現代に纏うプラチナボーイ『結城縮 復刻プロジェクト』」では、復刻柄の人気投票により女性柄は「剣花菱」、男性柄は「矢絣」が決定しました。小さな古裂を手がかりに、結城の老舗『奥順』さんとともに、プラチナボーイの糸を用いて制作していく様子を随時レポートしてまいります。今回は「糸つむぎ」と「図案と色確認」の工程ついてご報告します。

結城縮の制作工程
1.糸つむぎ2.図案と色確認 ⇒ 3.絣糸づくり ⇒ 4.撚糸 ⇒ 5.織り⇒6.仕上げ

《工程1:糸つむぎ》

◆プラチナボーイの真綿糸を紡ぐ

まず最初の工程は、糸づくり。真綿から糸をつむぐことを産地では「糸取り」と呼ぶこともあります。結城紬も結城縮も、いかに良い糸を用意できるかが仕上がりの良し悪しを決定します。特に「撚糸」の工程がある結城縮では、太細のムラのある糸は切れてしまうため、より平らかで均一な糸が必要です。

通常、一反(着物一枚分)の結城縮を作るのには、なんと「山手線一周分」の糸が必要なのだそうです!緻密な絣模様ほど、より細く長い糸が必要となります。そのすべてを一本一本、人の手でつむいでいきます。

プラチナボーイ真綿

契約の養蚕農家さんが丹精込めて育てた2021年の春繭が、真綿づくりの名門である福島県・保原の真綿職人の手でふわふわ&ツヤツヤの上質な真綿に変身。その後、奥順さんを介して糸職人の手へ渡りました。

「つくし」と呼ばれる道具に袋真綿(繭を煮ながら手で広げを袋状の真綿にしたもの)をひっかけ、そこから手前に少しずつ繭糸を引き出し、「おぼけ」と呼ばれる専用の桶の中に貯めていきます。糸を引っ張る時に「キュッ、キュッ」と絹鳴りの音がリズミカルに響くのが一人前の証だそうです。

プラチナボーイは糸質が強いため「一日引き通しだと指が切れそうよ」と糸つむぎの職人さん泣かせの面もあるようでした。

結城縮 糸取り おぼけ

「おぼけ」いっぱいにつむいだプラチナボーイの真綿糸。おぼけ1杯分の糸を「1ボッチ」と呼びます。1ボッチの糸を手でつむぐのに5~10日かかるそうです。気の遠くなるような作業です。

【工程2:図案と色確認】

◆図案-絣模様の設計図を作る

今回のミッションは「復刻」です。古の職人が織り上げた絣模様を忠実に再現するため、数センチ四方の古裂を拡大鏡で確認し、経糸と緯糸の関係性、どのような絣糸を経に何本、緯に何本織り出せばいいかを算出し、方眼用紙の図面に描き起こします。

特に結城縮の場合は、最終的に横幅を「縮ませる」工程があるため、その縮みを計算した図面を作る必要があり、繊細な調整が必要になります。 長年の経験がものを言い、また労をいとわない職人さんの情熱が不可欠です。

「剣花菱」図面。奥が修正前、手前が修正後。模様の輪郭がシャープになり「『剣』花菱」らしさが増しました。

結城縮 矢絣図面

「矢絣」図面。モチーフ一つあたりの横幅が手前は狭め、奥は広め。横方向の縮みを考慮して図面を完成させます。

◆色確認-染める色と染料を決める

真綿糸づくりと並行して、染める色の確定と染料の準備を進めます。
「織色(おりいろ)」という言葉があるように、織物は経糸と緯糸の重なり合いで最終的に表現される色が決まるため、その差分を考慮した色を染めなければなりません。

結城縮 糸の試し染め

また糸染めの染料は様々な種類があり、例えば絵画では同じ色でも水性絵具、アクリル絵の具、油絵具で色調が変わるように、糸を染める場合も染料の種類により色の見え方が変わってくるため、今回の制作物の狙いに適した染料は何かを打ち合わせをしながら決めていきます。
試し染めした糸の束を古裂に載せながら、濃さや彩度、艶感を比較。照明下の色、自然光の下で見える色、染色の専門家でなければわからない微妙な差を見比べながら色を確定します。

結城縮 糸色の確認

染料や濃度を変えて試し染めした糸。一見同じ色に見えても、光があたった時に微妙に色合いが違って見えます。

結城縮復刻プロジェクト 奥順さんと打ち合わせ

 奥順さんとの打ち合わせ風景。左手前が奥順株式会社代表・奥澤順之氏。


現代に纏うプラチナボーイ
「結城縮 復刻プロジェクト」について

二代目の泉二啓太は、『奥順』の見本裂帳を見た時に昔の結城縮のおおらかで大胆な絣柄に感銘を受けました。 その小さな裂地は、ものづくりへの職人魂が詰まっており エネルギーに満ち溢れていました。

“柄の復刻を通じて、先人の英知を学び、現代に活かしたい”

その思いを胸に、熟練した職人たちの手技の全てを注ぎ込み、 最高の着心地を味わえる「究極の単衣・プラチナボーイの結城縮」を1年かけてつくり上げます。

◆なぜ今、復刻が必要なのか
かつて「結城縮」は「結城紬」よりも人気があった

「紬の王様」とも呼ばれる「結城紬(ゆうきつむぎ)」は、空気を含んだ手つむぎの真綿糸をほぼ無撚糸の状態で織り上げて作られ、軽くて暖かい極上の着心地が魅力です。昭和31年に「越後上布」に続き2番目に国の重要無形文化財に指定され、多くの着物ファンを魅了する憧れの織物として知られています。

「結城紬」が知名度と存在感を増し続けているその陰で、同じように魅力あふれる織物でありながら、技術の伝承が危機的状況にある織物、それが「結城縮(ゆうきちぢみ)」です。

「縮(ちぢみ)」とは、その名の通り布を縮ませる加工をしている織物のこと。結城紬とは違い「(手つむぎした糸を)撚糸する」という工程があり、強く撚りをかけた糸が元に戻ろうとする性質を利用することで、生地の表面に「シボ」と呼ばれる細かな凹凸が生まれ、単衣の季節に心地よいさらりとした地風に仕上がります。

結城紬自体は2000年以上の歴史がありますが、結城縮は明治35年頃から織られ始め、布地の持つシャリ感と絣のデザイン性が人気を博し、昭和に入ってからは結城紬産地の全生産量の約8割が結城縮という時代もあったといいます。しかし、結城縮の人気に押され結城紬の生産数が減少してきたこともあり、文化財保護の動きの中で、昭和31年に結城紬が国の重要無形文化財に指定され市場の需要が逆転。結城縮は生産数が激減し、今や全生産量の1割に満たないほどの希少な織物となっています。

◆「プラチナボーイ×結城縮」
希少×希少の組み合わせによる、夢の復刻プロジェクト

本プロジェクトでは、銀座もとじがプロデュースする純国産絹「プラチナボーイ」を用いて、結城縮が人気を博した当時の見本裂帳から、人気投票により選ばれた男女各1柄ずつを制作。

明治期には世界一の絹輸出国であった、着物の国、絹の国、日本。しかし現在は海外産の絹が台頭し、国内で養蚕から純粋に生産される純国産絹は1パーセントにも満たないほどになっています。

プラチナボーイは、日本の大沼昭夫博士が37年をかけ世界に先駆けて発明した夢の蚕品種であり、白く輝く絹糸の美しさから「プラチナ」の名がつけられました。

結城縮が席巻した当時には存在しなかった、現代に輝く絹糸で、今のお洒落を知る方々に選ばれたデザインを織り出す-夢の復刻プロジェクトの模様を、完成まで追いかけて随時レポートしてまいります。ぜひご期待ください。

復刻柄投票結果はこちら

男性柄 第1位は…

「矢絣」経モロ絣

(産地コメント)結城紬の製織で用いられる地機は、他の織機と異なり下糸だけが上下するのが特徴です。織るうちに上糸と下糸がずれてしまうので、絣は上糸だけに入れるのが産地では常識となっています。この端切れの図案は「モロ絣」といって、上糸にも下糸にも絣が入っており、現在ではほとんどできない絣の作り方です。

女性柄 第1位は…

「剣花菱」緯絣

(産地コメント)結城縮を織るには、手つむぎ糸に右撚りと左撚りをかけ、緯糸に交互に織り込む必要があります。一方、絣糸とよばれる模様の入った糸には撚りをかけません。この端切れのような緯絣では、右撚りの糸、絣糸、左撚りの糸、絣糸、と順番に織り込んでいます。絣が多く、織る手間もかかるため、現在では数少ない作り方です。

【銀座もとじ公式YouTube】二代目 泉二啓太が語る結城縮

【現代に纏うプラチナボーイ「結城縮 復刻プロジェクト」】
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