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【結城縮復刻!レポート④】いよいよ織りの工程へ

「剣花菱」柄を織る様子(織り手:森文子さん)

【結城縮復刻!レポート④】
いよいよ織りの工程へ

2021年に始動した「現代に纏うプラチナボーイ『結城縮 復刻プロジェクト』」では、復刻柄の人気投票により女性柄は「剣花菱」、男性柄は「矢絣」が決定しました。小さな古裂を手がかりに、産地とともに、プラチナボーイの糸を用いて制作していく様子を随時レポートしてまいります。今回は「織り」の工程についてご報告します。

結城縮の制作工程
1.糸つむぎ ⇒2.図案と色確認3.絣くくりと撚糸4.絣糸染め5.織り6.仕上げ

9/24(土)ぎゃらりートークに
「矢絣」柄を織られた森肇さんが登壇します!

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《工程5:織り》

絣糸染めを終えたらいよいよ集大成、織りの工程です。
使う織機はどちらも地機。結城縮は、緯糸に強い撚りをかけた糸を使用することによってできる“しぼ”が生み出す、さらりとした肌触りが魅力の織物ですが、織りの工程では縮むことを考慮して織る必要があるため、結城紬を織るとき以上の注意と工夫が必要になります。

織りの工程は、絣くくりの工程も担当いただいた森肇さんと、その奥様の文子様が担当くださっています。
当初、肇さんは「絣くくり」をはじめとした、機織り前の下拵え全般を担当し、最後の織りに関しては文子さんに一任していたそうです。しかし、文子さんが織りについて悩んでいるときに、知識として知っているだけでなく実際に手足を動かし手本を示せたらと、織りも始められたそうです。

森肇さんが織る様子
森肇さんが織る様子

結城紬は分業制です。肇さんは織りの工程を理解したことによって、もともと習得していた絣くくりの工程の改善点にも気づいたそうです。
「自分の次を担当する人、つまり染める人、織る人にやさしい絣くくりであることを一番大切にしています。」
現在の肇さんの仕事に対する考え方は、高いプロ意識と責任感がもたらす、ものづくりへのこだわりと仲間への思いやりから生まれたものでした。

男性柄「矢絣」

今回男性柄の「矢絣」は、経(たて)のモロ絣で制作します。

経の絣なので、経糸に柄が出る
経の絣なので経糸に柄が出る

結城紬の製織で用いられる地機は、他の織機と異なり下糸だけが上下するのが特徴で、織るうちに上糸と下糸がずれてしまうため、絣は上糸だけに入れるのが産地では常識となっています。

モロ絣:経糸の上糸、下糸ともに柄が入っている
モロ絣:経糸の上糸、下糸ともに柄が入っている

しかしモロ絣の場合、上糸にも下糸にも絣が入っているため、絣の柄を合わせるために通常よりも高度な技術を要します。

 

丸い木の棒が「あや棒」
写真中央の丸い木の棒が「あや棒」

経の上糸と下糸の間にはさむ「あや棒」を紐でしっかりと固定することによって経の絣がずれにくくなるそうです。

女性柄「剣花菱」

今回女性柄の「剣花菱」は、緯(よこ)絣で制作します。

緯の絣なので、経糸は無地
緯の絣なので、経糸は無地

杼は大きな刀杼(とうひ)。右撚り用と左撚り用の強撚糸の緯糸にそれぞれ一本ずつの杼、緯絣が入るので、絣糸(無撚糸)用にさらにもう一本の杼が必要になります。

刀杼。固い素材がよく、これは樫。
刀杼は固い素材がよく、これは樫製

腰で経糸を引っ張り、刀杼と筬でしっかりと緯糸を打ち込んでいきます。

刀杼で打ち込む様子
腰で経糸を引っ張っている

緯絣を織る際に難しいのが、打ち込みの力加減です。
強く打ち込み過ぎると柄がつぶれてしまいますし、逆に弱いと柄が縦長になってしまいます。

刀杼で打ち込む様子
刀杼で打ち込む様子

筬で打ち込む様子
筬で打ち込む様子

文子さんの熟練の手技にスタッフも思わず息を呑みました。

織りが終わると、最後は「仕上げ」の工程です。
当時の技法を紐解きながら、当時は存在しなかった極上の絹で作る結城縮はどんな布に織り上がるのでしょうか。
完成まであと少し。今まで誰も見たことのない、初めて出会う布の完成をぜひ楽しみにお待ちください。

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現代に纏うプラチナボーイ
「結城縮 復刻プロジェクト」について

二代目の泉二啓太は、『奥順』の見本裂帳を見た時に昔の結城縮のおおらかで大胆な絣柄に感銘を受けました。 その小さな裂地は、ものづくりへの職人魂が詰まっており エネルギーに満ち溢れていました。

“柄の復刻を通じて、先人の英知を学び、現代に活かしたい”

その思いを胸に、熟練した職人たちの手技の全てを注ぎ込み、 最高の着心地を味わえる「究極の単衣・プラチナボーイの結城縮」を1年かけてつくり上げます。

◆なぜ今、復刻が必要なのか
かつて「結城縮」は「結城紬」よりも人気があった

「紬の王様」とも呼ばれる「結城紬(ゆうきつむぎ)」は、空気を含んだ手つむぎの真綿糸をほぼ無撚糸の状態で織り上げて作られ、軽くて暖かい極上の着心地が魅力です。昭和31年に「越後上布」に続き2番目に国の重要無形文化財に指定され、多くの着物ファンを魅了する憧れの織物として知られています。

「結城紬」が知名度と存在感を増し続けているその陰で、同じように魅力あふれる織物でありながら、技術の伝承が危機的状況にある織物、それが「結城縮(ゆうきちぢみ)」です。

「縮(ちぢみ)」とは、その名の通り布を縮ませる加工をしている織物のこと。結城紬とは違い「(手つむぎした糸を)撚糸する」という工程があり、強く撚りをかけた糸が元に戻ろうとする性質を利用することで、生地の表面に「シボ」と呼ばれる細かな凹凸が生まれ、単衣の季節に心地よいさらりとした地風に仕上がります。

結城紬自体は2000年以上の歴史がありますが、結城縮は明治35年頃から織られ始め、布地の持つシャリ感と絣のデザイン性が人気を博し、昭和に入ってからは結城紬産地の全生産量の約8割が結城縮という時代もあったといいます。しかし、結城縮の人気に押され結城紬の生産数が減少してきたこともあり、文化財保護の動きの中で、昭和31年に結城紬が国の重要無形文化財に指定され市場の需要が逆転。結城縮は生産数が激減し、今や全生産量の1割に満たないほどの希少な織物となっています。

◆「プラチナボーイ×結城縮」
希少×希少の組み合わせによる、夢の復刻プロジェクト

本プロジェクトでは、銀座もとじがプロデュースする純国産絹「プラチナボーイ」を用いて、結城縮が人気を博した当時の見本裂帳から、人気投票により選ばれた男女各1柄ずつを制作。

明治期には世界一の絹輸出国であった、着物の国、絹の国、日本。しかし現在は海外産の絹が台頭し、国内で養蚕から純粋に生産される純国産絹は1パーセントにも満たないほどになっています。

プラチナボーイは、日本の大沼昭夫博士が37年をかけ世界に先駆けて発明した夢の蚕品種であり、白く輝く絹糸の美しさから「プラチナ」の名がつけられました。

結城縮が席巻した当時には存在しなかった、現代に輝く絹糸で、今のお洒落を知る方々に選ばれたデザインを織り出す-夢の復刻プロジェクトの模様を、完成まで追いかけて随時レポートしてまいります。ぜひご期待ください。

復刻柄投票結果はこちら

男性柄 第1位は…

「矢絣」経モロ絣

(産地コメント)結城紬の製織で用いられる地機は、他の織機と異なり下糸だけが上下するのが特徴です。織るうちに上糸と下糸がずれてしまうので、絣は上糸だけに入れるのが産地では常識となっています。この端切れの図案は「モロ絣」といって、上糸にも下糸にも絣が入っており、現在ではほとんどできない絣の作り方です。

女性柄 第1位は…

「剣花菱」緯絣

(産地コメント)結城縮を織るには、手つむぎ糸に右撚りと左撚りをかけ、緯糸に交互に織り込む必要があります。一方、絣糸とよばれる模様の入った糸には撚りをかけません。この端切れのような緯絣では、右撚りの糸、絣糸、左撚りの糸、絣糸、と順番に織り込んでいます。絣が多く、織る手間もかかるため、現在では数少ない作り方です。

【銀座もとじ公式YouTube】二代目 泉二啓太が語る結城縮

【現代に纏うプラチナボーイ「結城縮 復刻プロジェクト」】
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