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新春特別連載【座談会 第2部】二大巨匠展 競演する織と染―北村武資と森口邦彦

[和織物語 特別編]

二大巨匠が語り合う!
【座談会 第2部】

前回は「出会いと衝撃ー北村武資の構造美」と題し、お互いの存在を初めて意識した運命の出会いについてお話頂きました。第2部は、様々な刺激を受け可能性を広げていく若きお二人のお話です。
第1部から読む>>

■日本伝統工芸展が果たしてきた役割と「他流試合」

外舘:最近、日本工芸会の草創期について書く機会があって東博(東京国立博物館)の工芸会事務所で初期の伝統工芸展の図録を見ていたら、7部門の中でも染織、とても意欲的な作品図版が並んでいました。

森口:陶器の方が、昔強かったですよ。登り窯で焼いた強さ。第20回展以降は、ガス、電気の窯で焼いたのが、だーっと出てきたけど。

外舘:シンプルな形の器でも、焼き方で差は出ますね。

北村:陶器は完成された雰囲気で。そこいくと織はまだ、どうしたらいいのかという感じで。

森口:志村ふくみさんのような生き方や仕事が、近代美術館の今泉篤男先生などにしっかり評価されて。これぞ創作的な織物だと証明された。それが日本伝統工芸展の初期の顕著な功績。川島甚兵衛とか龍村平蔵とか巨大な組織でしか成り立たないと思われていた織物の世界に、志村さんは一人で果敢に挑戦した、それを評価できたのが日本伝統工芸展という場だと僕は思う。

北村:志村先生は、西陣のキャリアのある人達のわざなど関係ない、という感じで平然と色彩の世界を作り上げました。周りに多くの理解者もいて支えられて。

外舘:第三者の評価は大事ですね。

北村:僕も、何で京近美(京都国立近代美術館)の内山武夫さんがこんなに色々書いてくれるのかと思うくらい評価してくれました。自分の作ったものは、第三者の目で見て確かな評価を受けることで、反省もするし、前にも進めます。

森口:その背景に僕もいた。堀内紀子というファイバーアートのリーダーと内山さんと僕の3人が、北村さんの仕事を尊敬していました。堀内さんは、志村ふくみさんの「色」より、北村さんの「構造体の設計」の強さに惹かれたと思う。

外舘:北村先生の仕事は、いわばファイバーアートの最先端ですからね。ファイバー・ストラクチャーそのものが表現になっているのですから。堀内さんもさぞ興味を持った事でしょう。

森口:その頃、「染織の新世代」とか、京近美で染織の色々な作品展が開かれて刺激を受けました。

外舘:1971年、京都国立近代美術館の展覧会「染織の新世代」ですね。

森口:僕は内山君と同い年なんだけど、内山君の奥さんが僕の美術大学の日本画の模写の先生のお嬢さんで、フランス語の学校の同級生、フランス留学から帰って以来のおつきあいです。その内山君が、「50万しかないけど2か月展覧会せんならん、相談に乗って」と言われて。それが「染織の新世代」。この展覧会からファイバーが始まったと言われるくらい染織史上重要な展覧会になりました。伝統工芸では北村さん、僕と赤松存さん、志村ふくみさん。他にファイバーの人、粟辻博さんというプリントの人も。プリントからクラフトから産業工芸から全て。チケット、カタログ、ポスターは僕がデザインしました。輸送費もないし、返送費だけ美術館から出して。堀内さんなんてあんな大きいの送ってきたんですよ。

北村:その展覧会を見て、こんなのできるんだなと。知恵がつきました。ああいう、よそのジャンルのモノと並べて、どやねんて。“他流試合”に興味を覚えるようになりました。気持ちが沸騰するような、燃えていくような。その頃、迷いがあったんですが。西陣の織物の真っただ中にいて、有職織物の世界で、喜多川平朗先生や、佐々木信三郎先生の研究に学ぶ流れにいたのに、宗旨替えみたいな。でも、そこに何かがある気がして。僕の分かれ目でした。作家になるか、ただのモノ作りで終わるか。

森口:ファイバーの人達は、西陣のようにどっぷり生業ではなく、学校の先生をしたり、苦労しながら生活とは関係なしに表現する世界。その純粋さに力強いものを感じられたと思う。

外舘:京都はお互いに刺激を受け易い環境ですね。先日も、京都工芸美術作家協会展の図録に書きましたが ― この展覧会に森口先生も出されていましたね ― 京都は限られた地域に、ファイバーアートも伝統工芸も日展も、そして産業から作家の表現まで全てがある。それが京都の特徴であり、強みだと思います。工房や徒弟制があって産業として修業する場があり、とにかく理屈抜きに手を動かして学んでそれから創造性を獲得して作家になる人と、美術学校や大学でアカデミックに学んで作家になる人とが近距離で交流し続ける。お二人はまさに日本の工芸の強さや特徴を象徴しています。

北村:京都は組織化された産地ですから、産業の中で甘んじてやっている人もいます。でも僕は他流試合に興味を覚えて気持ちが燃えて。

森口:僕らは若い時から色々なものに出会って「選択」するんです。僕もかなり若いうちに伝統工芸展で受賞させてもらって。自分の仕事の方向性を見つけることができた。

外舘:自分の立ち位置や目指すところを決めてこられたのですね。他流試合は自分の資質や可能性を知るチャンスですね。

⇒第3部《染織の研究会で学ぶ》へ続きます。

第3部 を読む

ファシリテーター:外舘和子氏
登壇者=北村武資氏・森口邦彦氏  
2021年12月2日 於 北村武資宅(京都)


二大巨匠展  競演する織と染―北村武資と森口邦彦

20世紀が生んだ日本染織界における二大巨匠 北村武資氏と森口邦彦氏による初の二人展を開催いたします。北村氏作品100点、森口氏作品10点の新作はじめ、人間国宝同士よる世紀の合作「雪景」を展示いたします。
北村氏による着物、袋帯、八寸帯、角帯、
森口氏による訪問着、黒留袖、色留袖、帯が一堂に集まる圧巻の作品群、どうぞこの機会をお見逃しなく。

二大巨匠展 競演する織と染―北村武資と森口邦彦
会期:2022年2月19日(土)~27日(日)
会場:銀座もとじ和織・和染
〈お問い合わせ〉
銀座もとじ女性のきもの 03-3538-7878
銀座もとじ男のきもの 03-5524-7472

催事詳細

【新春特別連載】
北村武資氏×森口邦彦氏 座談会
ファシリテーター 外舘和子氏

新春1月2日より連載開始!
12月某日、京都の北村武資氏宅にて二大巨匠が語り合われ、進行役を務められた多摩美術大学教授・外舘和子氏が書き起こしてくださった「座談会」。
北村・森口両氏の闊達な京言葉が生かされた楽しいやり取りの中に、互いの仕事への敬意と、染織や日本文化への深い愛情が感じられる素晴らしい内容です。毎週、メールマガジンやLINE公式アカウントで配信いたします。

第1部 出会いと衝撃-北村武資の構造美
第2部 日本伝統工芸展が果たしてきた役割と「他流試合」
第3部 染織の研究会で学ぶ
第4部 コラボレーションの創造性

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北村武資(きたむら・たけし)氏について

人間国宝 北村武資
2017年の個展にて。写真中央が北村武資氏、右は外舘和子氏。

(手前)北村武資作 羅金袋帯「七宝花丸文」(奥)袋帯「四ツ目菱文羅」(右)羅文帛着尺
(手前)北村武資作 羅金袋帯「七宝花丸文」(奥)袋帯「四ツ目菱文羅」(右)羅文帛着尺

<年譜>
1935年 京都市生まれ
1965年 日本伝統工芸染織展 日本工芸会会長賞受賞
1968年 日本伝統工芸展 NHK会長賞受賞
1990年 京都府無形文化財保持者に認定
    MOA美術館 岡田茂吉賞工芸部門大賞 
1995年 「羅」の技法にて重要無形文化財保持者に認定される
1996年 紫綬褒章受賞
1999年 京都府文化功労者賞受賞
2000年 「経錦」の技法にて二度目の重要無形文化財保持者に認定される
2001年 「人間国宝北村武資-織の美-展」(群馬県立近代美術館)
2005年 旭日中綬章受賞
2011年 「『織』を極める 人間国宝 北村武資展」(京都国立近代美術館)

和織物語(2017年の個展)

作家紹介ページ

森口邦彦(もりぐち・くにひこ)氏について

人間国宝 森口邦彦
2019年の個展にて。写真左から2人目が森口邦彦氏。

人間国宝 森口邦彦
森口邦彦作 訪問着「雪の回廊」

<年譜>
1941年 京都市生まれ
1963年 京都市立美術大学日本画科卒業、フランス政府給費留学生として渡仏
1966年 パリ国立高等装飾美術学校卒業
1967年 父・森口華弘のもとで友禅に従事し始める
1969年 第6回日本染織展にて文化庁長官賞
第16回日本伝統工芸展にてNHK会長賞
2001年 紫綬褒章受章
2007年 重要無形文化財「友禅」保持者に認定
2009年 「森口華弘・邦彦展-父子人間国宝―」(滋賀県立近代美術館・読売新聞東京本社)
2013年 旭日中綬章受賞
2016年 「森口邦彦-隠された秩序」展(パリ日本文化会館)
2020年 「人間国宝 森口邦彦 友禅/デザイン―交差する自由へのまなざし」(京都国立近代美術館)
2020年 文化功労者に選定
2021年 フランス共和国 レジオン・ドヌール勲章コマンドゥール章受賞

<パブリックコレクション>
文化庁、京都国立近代美術館、東京国立近代美術館、広島県立美術館、群馬県立近代美術館、ローザンヌ市立装飾美術館、ポンピドウセンター、デンマーク工芸博物館、ヴィクトリア&アルバート博物館、ロサンゼルスカウンティー美術館、ニューヨークメトロポリタン美術館

和織物語(2019年の個展)

作家紹介ページ

ファシリテーター 外舘和子(とだてかずこ)氏について

1964年東京都生まれ。美術館学芸員を経て現在、多摩美術大学教授、工芸評論家、工芸史家。英国テート・セント・アイブスを皮切りに、海外巡回展『手仕事のかたち』、米スミス・カレッジ、独フランクフルト工芸美術館など、国内外の美術館、大学等で展覧会監修、図録執筆、講演を行う。また韓国・清州工芸ビエンナーレ、金沢世界工芸トリエンナーレ、日展、日本伝統工芸展など、数々の公募展の審査員を務める。著書に『中村勝馬と東京友禅の系譜』(染織と生活社) 、『Fired Earth, Woven Bamboo: Contemporary Japanese Ceramics and Bamboo Art』(米ボストン美術館)など。毎日新聞(奇数月第2日曜朝刊)に「KOGEI!」連載中。

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