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特別連載【座談会 第1部】二大巨匠展 競演する織と染―北村武資と森口邦彦

[和織物語 特別編]

二大巨匠が語り合う!
【座談会 第1部】

ファシリテーター:外舘和子氏
登壇者=北村武資氏・森口邦彦氏  
2021年12月2日 於 北村武資宅(京都)

第1部 出会いと衝撃-北村武資の構造美
第2部 日本伝統工芸展が果たしてきた役割と「他流試合」
第3部 染織の研究会で学ぶ
第4部 コラボレーションの創造性

■出会いと衝撃―北村武資の構造美

外舘:師走のお忙しい中ですが、2月の二人展に向け今日はプレ座談会ということでお話を伺います。

北村武資先生は昭和10年(1935年)生まれ、森口先生は昭和16年(1941年)生まれ。私はこれまで和織物語をお二人それぞれの個展の折に書いていて、その時も幾度か取材させて頂きましたが、今回は特に、お二人の関係なども伺いたいです。宜しくお願い致します。

…早速ですが、テーブルの上に日本伝統工芸展の図録があります。第14回、15回、16回展のもの(図1)。1960年代後半、昭和だと40年代前半ですね。

森口:僕は第14回の日本伝統工芸展(1967年)に初めて出して(図2)。この時、親父(森口華弘)も鑑審査員で。「まあ問題なく入選したよ、良かったよ」ということでした。会場に行ってみたら全体に古臭い感じがしたんです。僕はここに出し続けるべきかなあと、迷っている僕に刺激を与えてくれたのが北村さんの作品。特に第15回のNHK会長賞受賞作。


写真左より 図1「第14、15、16回 日本伝統工芸展」 図録表紙 / 図2 森口邦彦 訪問着「光」

外舘:北村先生は第12回から日本伝統工芸展に出されて。第14回の北村先生の《帯「幻影」》(図3)は有機的な動きがあってドラマティックでしたが、1967年第15回の《帯「連」》(図4)は一転、幾何学的なデザインで、やはり構造的な美しさと迫力があります。

森口:技と構造がしっかりベースにあって色や形が出てきている。他のものと根本的な違いを感じました。構造の美。僕にとっては凄く刺激的でした。

外舘:第16回はまた全然違う雰囲気の《掻寄変り綴「凉」》(図5)を出しています。糸が生きもののよう。毎回、勝負していますね。

北村:同じような物は作らないようにしたいというのが、望みでした。

森口:僕は北村さんの名前も人柄も何も知らんと、先に作品で凄い人がいるというのを知りました。あの松田権六の名作もこの第15回でした。

外舘:図録の表紙になっていますね。


写真左より 図3 北村武資 帯「幻影」 / 図4 北村武資 帯「連」 / 図5 北村武資 掻寄変り綴「凉」

北村:西陣は産地でもあるし、この頃、表面的で斬新な図案・デザインは溢れていました。しかし織物本来のデザインは平面デザインじゃない、もっと力強い、立体的な、重層感や厚みのあるものを作りたいと思って。織物の質感、構造を求めていたんです。それをどうしたらいいかと考えていて。それを受け止めたのが、森口さん。へえ、こんな織物があるのかという、そういう出会いなんですよ。染と織では全く仕事の方向性が違うのに、結果的にここ(日本伝統工芸展)で出会って。森口さんがそんなに評価してくれていると思わなかった。

森口:その頃、京都のどこの染屋や織屋の家にも洋書がだーっと並んでいて、欧米の新しい美術の動きをいち早く取り入れようと、洋書を見て表面を真似して作ればいいと。図案屋さんでは追いつかへんほど新しい物を求めていた。でも、北村さんのは、そういう資料から貰ってきたようなもんやない、大地に根を張って立つ樹木のような感じだから驚いた。でも驚かへん人が多すぎたのがいけませんね(笑)。僕は素直に衝撃を感じて。僕がこの展覧会に出品し続けることになった大きな力でした。

北村:その頃の染織業界は、類型や売れ筋をドンドン作る感じで。僕は絶対、同じもん作ったらあかんと思っていました。

⇒第2部《日本伝統工芸展が果たしてきた役割と「他流試合」》へ続きます。

第2部 を読む


二大巨匠展  競演する織と染―北村武資と森口邦彦

20世紀が生んだ日本染織界における二大巨匠 北村武資氏と森口邦彦氏による初の二人展を開催いたします。北村氏作品100点、森口氏作品10点の新作はじめ、人間国宝同士よる世紀の合作「雪景」を展示いたします。
北村氏による着物、袋帯、八寸帯、角帯、
森口氏による訪問着、黒留袖、色留袖、帯が一堂に集まる圧巻の作品群、どうぞこの機会をお見逃しなく。

二大巨匠展 競演する織と染―北村武資と森口邦彦
会期:2022年2月19日(土)~27日(日)
会場:銀座もとじ和織・和染
〈お問い合わせ〉
銀座もとじ女性のきもの 03-3538-7878
銀座もとじ男のきもの 03-5524-7472

催事詳細

【新春特別連載】
北村武資氏×森口邦彦氏 プレ座談会
ファシリテーター 外舘和子氏

新春1月2日より連載開始!
12月某日、京都の北村武資氏宅にて二大巨匠が語り合われ、進行役を務められた多摩美術大学教授・外舘和子氏が書き起こしてくださった「プレ座談会」。
北村・森口両氏の闊達な京言葉が生かされた楽しいやり取りの中に、互いの仕事への敬意と、染織や日本文化への深い愛情が感じられる素晴らしい内容です。毎週、メールマガジンやLINE公式アカウントで配信いたします。

第1部 出会いと衝撃-北村武資の構造美
第2部 日本伝統工芸展が果たしてきた役割と「他流試合」
第3部 染織の研究会で学ぶ
第4部 コラボレーションの創造性

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北村武資(きたむら・たけし)氏について

人間国宝 北村武資
2017年の個展にて。写真中央が北村武資氏、右は外舘和子氏。

(手前)北村武資作 羅金袋帯「七宝花丸文」(奥)袋帯「四ツ目菱文羅」(右)羅文帛着尺
(手前)北村武資作 羅金袋帯「七宝花丸文」(奥)袋帯「四ツ目菱文羅」(右)羅文帛着尺

<年譜>
1935年 京都市生まれ
1965年 日本伝統工芸染織展 日本工芸会会長賞受賞
1968年 日本伝統工芸展 NHK会長賞受賞
1990年 京都府無形文化財保持者に認定
    MOA美術館 岡田茂吉賞工芸部門大賞 
1995年 「羅」の技法にて重要無形文化財保持者に認定される
1996年 紫綬褒章受賞
1999年 京都府文化功労者賞受賞
2000年 「経錦」の技法にて二度目の重要無形文化財保持者に認定される
2001年 「人間国宝北村武資-織の美-展」(群馬県立近代美術館)
2005年 旭日中綬章受賞
2011年 「『織』を極める 人間国宝 北村武資展」(京都国立近代美術館)

和織物語(2017年の個展)

作家紹介ページ

森口邦彦(もりぐち・くにひこ)氏について

人間国宝 森口邦彦
2019年の個展にて。写真左から2人目が森口邦彦氏。

人間国宝 森口邦彦
森口邦彦作 訪問着「雪の回廊」

<年譜>
1941年 京都市生まれ
1963年 京都市立美術大学日本画科卒業、フランス政府給費留学生として渡仏
1966年 パリ国立高等装飾美術学校卒業
1967年 父・森口華弘のもとで友禅に従事し始める
1969年 第6回日本染織展にて文化庁長官賞
第16回日本伝統工芸展にてNHK会長賞
2001年 紫綬褒章受章
2007年 重要無形文化財「友禅」保持者に認定
2009年 「森口華弘・邦彦展-父子人間国宝―」(滋賀県立近代美術館・読売新聞東京本社)
2013年 旭日中綬章受賞
2016年 「森口邦彦-隠された秩序」展(パリ日本文化会館)
2020年 「人間国宝 森口邦彦 友禅/デザイン―交差する自由へのまなざし」(京都国立近代美術館)
2020年 文化功労者に選定
2021年 フランス共和国 レジオン・ドヌール勲章コマンドゥール章受賞

<パブリックコレクション>
文化庁、京都国立近代美術館、東京国立近代美術館、広島県立美術館、群馬県立近代美術館、ローザンヌ市立装飾美術館、ポンピドウセンター、デンマーク工芸博物館、ヴィクトリア&アルバート博物館、ロサンゼルスカウンティー美術館、ニューヨークメトロポリタン美術館

和織物語(2019年の個展)

作家紹介ページ

ファシリテーター 外舘和子(とだてかずこ)氏について

1964年東京都生まれ。美術館学芸員を経て現在、多摩美術大学教授、工芸評論家、工芸史家。英国テート・セント・アイブスを皮切りに、海外巡回展『手仕事のかたち』、米スミス・カレッジ、独フランクフルト工芸美術館など、国内外の美術館、大学等で展覧会監修、図録執筆、講演を行う。また韓国・清州工芸ビエンナーレ、金沢世界工芸トリエンナーレ、日展、日本伝統工芸展など、数々の公募展の審査員を務める。著書に『中村勝馬と東京友禅の系譜』(染織と生活社) 、『Fired Earth, Woven Bamboo: Contemporary Japanese Ceramics and Bamboo Art』(米ボストン美術館)など。毎日新聞(奇数月第2日曜朝刊)に「KOGEI!」連載中。

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