友禅作家・四ツ井健さんの九寸帯作品です。
濃紺と白、そして金彩のみで表現されたシャープな色使いが、モダンに映る一本。端正な七宝文様の背景の配色を変化させることで独特なリズムが表れて、視覚的な遊び心が大変お洒落です。前帯の柄端の弧を描くような表現もおもしろく、随所に四ツ井健さんならではの構成力の高さが感じられます。
生地は光沢の美しいさらりとした素材を使用していて、光の角度のよって奥からあふれるような輝きを放ち、高級感のある風合いです。
七宝柄の中央に金彩がほどこされていることも重なり、カジュアルすぎない、よそいき風の着こなしに似合うセンスとなっています。
袷から単衣の、江戸小紋や小紋、きれい目の織着物に。
軽めのちょっとしたパーティーにも映える一本。
現代アートのようなモダンさがありますので、洋装のご友人とのシーンや美術館巡りにもおすすめです。
四ツ井健さんについて
1962年、石川県金沢市生まれ。金沢市内の工房で、伝統的なもち米による手描き友禅染の全工程を一人で手がけられ作品制作をされています。
グラフィックデザイナーを志しデッサン教室へ通っていた10代の頃、友禅工房で師となる方と出会い10年余りの修行時代を過ごします。元メーキャップアーティストでファッションへの造詣の深かった師の「着物はファッションである」という言葉は今もデザインの基礎として常に念頭に置かれ「時代の動きを敏感に感じその時代の空気にあった物づくりをしなければならない」とおっしゃいます。
自然と山登りが好きな四ツ井さん。雲や山並み、高山に咲く可憐な草花をデッサンから抽象化して、時に幾何学的なモダンなデザインに昇華させています。洗練された都会的な印象でありつつも、対象物への温かな眼差しが奥深く感じられる四ツ井健さんならではの友禅染の世界を作られています。日本工芸会正会員。
【泉二の一口対談】四ツ井健さん×店主 泉二
【作家産地】「四ツ井健」