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四ツ井健さん|泉二の一口対談

8月23日(金)より「初個展 染空間-四ツ井健の友禅」展がいよいよ始まります。初個展を記念して、特別に工芸展出品作も展示させていただくことになり、先日、作品をお持ちになった四ツ井健さんに今のお気持ちをお伺いすることができました。

出会いのきっかけは藍田正雄さん

泉二:

はじめて銀座もとじに作品を持っていらしたのは10年くらい前でしたね。江戸小紋の藍田正雄さんから「金沢で頑張っている作家がいるから見てほしい」と紹介されて。当時はけっこう悩んでいましたよね。

四ツ井:

はい、独立したものの思うようにいかず、家族も増えたところだったので、このまま友禅を続けていいのか悩んでいた頃でした。藍田先生には伝統工芸展で同席したことをきっかけに可愛がっていただいて、江戸小紋と友禅との「コラボレーション作品を創ろう!」と声を掛けていただいたり、制作について様々に相談にのってもらっていました。
銀座もとじさんに一度作品を見てもらってはどうか、とおっしゃってくださって、突破口を探しに作品を持って駆けつけました。

泉二:

小紋師 故・藍田正雄さん

藍田先生の頼みとあれば、私もひと肌脱がなければなりません。さっそく作品を見せていただいて、丁寧で誠実な仕事をされているなということは一目でわかりました。ただ、私が良いと思っても最後に選んでくださるのはお客様なので、まず銀座もとじにいらっしゃるお客様の反応を知りたいと思ったんですね。
四ツ井さんが悩んでいるのだとすれば、それを打破する答えは、お客様の声の中にきっとあると思ったんです。あの時はかなり厳しいことも言ったかもしれませんね。

四ツ井:

いいえ、率直に言っていただいて本当にありがたかったです。

店の片隅でひたすら耳を傾ける


泉二:

私は「試しに作品を2点、店に並べて置いてみては」と提案したんですよね。作品についてお客様がどんな感想をおっしゃるかを、近くで耳を傾けてみましょう。そうすれば自分の作品の良い所・悪い所が客観的にわかるから、と。四ツ井さんはその提案を素直に受け入れてくれて、何度も夜行バスで往復して店に通ってくださいましたね。

四ツ井:

朝東京に着いて、一日中ずっと店に居させてもらって、また夜行バスに乗って帰る、というのをしばらく続けていました。

泉二:

スタッフが「この作品はどうですか」とお客様に感想を求めると、まさか作り手が近くにいるなんて思わないから、正直に本音を言葉にしてくださる。時には辛辣な評価もあって、直接耳にするのは辛かったでしょう。

お客様の声が成長させてくれた

四ツ井:

都会的な柄・色使い。帯ひとつで
装いをモダンな印象に変える

最初はとても落ち込みました。でもその指摘を自分の中で咀嚼して、一つ一つ改善していったら次第に評価が変わってきて、作品を手に取っていただけるようになってきたんです。実際にお召しになるお客様の声は、シビアですが正しいです。身に着けた時にどういう色や構図、デザインであるべきかを研究する気付きを与えていただきました。身に纏ったときのお客様の着姿や、帯だったら着物に合わせたときに最も魅力的に映るように配慮しようという意識は、お客様との会話の中で自然と身についてきたと思います。

泉二:

今もよくお店で、お客様やスタッフとお話して参考にされていますね。これほど実力も実績もある方が、小さな声も聞き漏らさずに素直に受けいれて、それを糧により上を目指し続けるというのは、なかなかできることではないと思います。着々と工芸展での実績を積まれて、今や日本工芸会・石川支部の染織の部会長として牽引される存在です。加賀友禅のこれからの展開も託されていることでしょう。進化を重ねて満を持しての初個展、素晴らしい作品が揃いました。中には工芸展の作品もありますね。

糸目糊はもち糊にこだわり、手作りの蒔糊は表現により大・中・小を使い分ける

 

立ち姿が美しい。体に纏って完成するデザイン

平成27年 第49回日本伝統工芸染織展
四ツ井健作 友禅訪問着「清流」
柄の出方が熟慮されており、視線を縦に導き立ち姿が美しい

四ツ井:

工芸展の作品はこれまで手元に置いていたのですが、今回初めて出品しました。まず、纏ってほしいですね。着装いただいたらデザインの意図がよりわかっていただけると思います。

泉二:

四ツ井さんの帯だけでなく着物がここまで一堂に集まると壮観ですね。たくさんのファンの方が楽しみにされています。23日からの3日間、よろしくお願いしますね。

名古屋帯作品を前に。店主 泉二(左)と四ツ井健さん(右)

《四ツ井健さんプロフィール》
1962年、石川県金沢市生まれ。金沢市内の工房で、伝統的なもち米による手描き友禅染の全工程を一人で手がける。グラフィックデザイナーを志しデッサン教室へ通っていた10代の頃、友禅工房で出会った師のもと10年余りの修行時代を過ごす。元メーキャップアーティストでファッションへの造詣の深かった師の「着物はファッションである」という言葉は今もデザインの根底にある。現在、 日本工芸会・石川支部「染織」部会長。

昭和37年8月 石川県金沢市に生まれる
昭和56年4月 金沢市内友禅工房に勤める
平成 3年6月 第32回石川の伝統工芸展初入選
平成 6年6月 第35回石川の伝統工芸展・奨励賞(以後3回)
平成14年6月 第43回石川の伝統工芸展・日本工芸会賞
平成18年9月 日本工芸会正会員に認定
平成19年3月 第41回日本伝統工芸染織展・奨励賞
平成21年3月 第43回日本伝統工芸染織展・日本経済新聞社賞
平成26年3月 第48回日本伝統工芸染織展・東京都教育委員会賞
平成27年5月 第56回石川の伝統工芸展・NHK金沢放送局長賞

初個展 染空間 -四ツ井健の友禅- | 8月催事
四ツ井健作 友禅訪問着 「渓流」

会 期 : 2019年8月23日(金)〜25日(日)
場 所 : 銀座もとじ 和染

「私のものづくりの根底にあるのは
“着物はファッションである”ということ」

そう語る四ツ井氏は生まれも育ちも加賀百万石の城下町として誇る金沢。浅野川と犀川の二つの川を中心とした用水網や寺院群で築かれた歴史の街。

氏が目指すのは、「現代の生活様式に寄り添う友禅」。“伝統を活かし、今を発信する”それはまさに工芸王国である金沢で培った志です。着姿を熟考し、糸目友禅技法と蒔糊を合わせ生み出される染空間を、ぜひご覧ください。

※8月2日(金)より、一部商品は先行販売いたします。
すべて四ツ井健作 友禅染帯(左)「梅園図」、(中)「瀑布」、(右)「花文」

ぎゃらりートーク

日 程 : 8月24日(土)【開催終了】
時 間 : 10:00〜11:00
場 所 : 銀座もとじ 和染
会 費 : 無料
定 員 : 40名様(要予約・先着順)
お申し込み : 03-3535-3888

作家による作品解説

日 程 : 8月24日(土)、25日(日)【開催終了】
時 間 : 15:00〜(各15分間)
場 所 :銀座もとじ 和染
お申し込み : 03-3535-3888

作家在廊

8月23日(金) 13:00〜19:00
8月24日(土) 11:00〜19:00
8月25日(日) 11:00〜17:00

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