松枝哲哉さん・松枝小夜子さんからのメッセージ

藍の色に白く輝く光の点在・久留米絣である。泉二弘明氏から「絣の輝きはダイヤモンド」とお言葉を戴いたことで、伝統工芸の作り手と纏う人を繋ぐ「銀座もとじ」の存在が心強く感じられ、もとじ様ご一家(スタッフを含むファミリー)の誠意と信頼によって得られる出会いの喜びは大きい。伝統工芸久留米絣の「菊花文」や白絣「井筒」、絵絣「杉木立」や格調を意識した華やぎの「段熨斗目・藤文や鳳凰文」普遍的な「十字絣」等の作品を紹介いただき、お客様に纏っていただくことで、作り手は励まされます。繋いでくださる泉二様に深く感謝するものです。コロナ感染症拡大を受けて、より一層強い心で丹念に制作に挑み、皆様の心が和むと共に健康と幸福感を取り戻せますように希望をもって再会を信じています。

多摩美術大学教授・外舘和子先生の紹介文と率直な語りは、私にとって感動でありました。代々と繋がる仕事、作り続けてきた作品の数々はデザインから織までの緻密な工程のすべてをこなしていくことが当たり前と思っていた私にとって、大変稀なことで、自己完結することの意義を高く評価いただいたのです。正直なところ、手仕事がやっと認められて報われた思いです。

36工程の一つである「絵台」仕様による松枝家独創的「絵絣」の技法を次世代に託し、久留米絵絣の歴史と担う手が消えないことを願う。藍染は徳島の「(すくも)」(藍の葉を100日かけて発酵させる国の選定技術保持者製造のもの)を原料に純正天然藍灰汁建て自然発酵建てをする。我が家では1~3番木灰汁を3日かけて作る。藍甕に(すくも)と灰汁を入れて、2~3週間見守る中に水飴や酒の栄養分を入れ、貝灰を加えて㏗管理の手間と心を込めて藍を建てる。発酵屋の仕事である藍建てができて、初めて藍染めが可能となる。日本の染織史に於いて、天然藍は奥の深い藍文化として脈々と生き続けている。「藍甕に浸して絞るわたの糸 光にかざすとき匂ひたつ」2010年宮中歌会始の儀・預選者 自己完結する久留米絣の手技は長い歳月とその時折の想いを籠める心の結集である。

二つの手で今日も手括りし、染め織りと制作に向き合う。久留米絣の布の力に希望を籠めて明日へと繋がることを願い、皆様の安全と幸せを祈るものです。

令和2年5月吉日
松枝哲哉


40年もの長い間にお客様とのご縁を温め、繋ぎ歩まれる銀座もとじ様

皆様とお会いできることに期待と希望に胸ふくらませた矢先にコロナ感染症拡大によって会の延期となり無念でございました。コロナウイルスは、地球上にはるか昔から存在していたのではないかと思うようになりました。今日を生きていることは、ぎりぎりセーフの奇跡の命が繋がっている。

今日という日は、私の人生の最初で最後の日かもしれない。そんな今を感謝する祈りの時間をもちました。ここに記す一文字は糸を操り生かされる私にとっての一本の糸の重なりで表現するメッセージです。

作品で伝達する思想家は、思想を持つのではなく今に活かすことを考えて働きたいと願っています。再会の日には、夢を分かち合う繋がりを取り戻す機会となることを信じています。

私を育んで下さった人、心寄せて下さった人、作品を身にまとってくださる人、生きる仕事に向き合い働くすべての人々に敬意と慈しみを以て、心より感謝します。

令和2年5月25日
松枝小夜子


2016年トーク会にて、写真左より店主・泉二、松枝小夜子さん、外舘和子さん、松枝哲哉さん、ご子息・崇弘さん。
40周年記念作品 久留米絣 松枝哲哉作 「 かすりの径」

松枝哲哉さん・松枝小夜子さんのご紹介

江戸後期から200年、国産品から地場産業へと安定した生産量を誇り、築後の風土と先人の英知により阿伝絣(幾何文様)、絵絣が生み出され、絣織の表現の幅も広がりました。
その功績を成し遂げた一人である、松枝家・織屋三代目・松枝玉記氏を祖父にもつ五代目・松枝哲哉さんは、
今尚、竹野に構える藍生庵の紺屋場で天然の藍を育て、小夜子さんと共に手括りの絣を手機にかけ、織り続けています。
澄んだ藍色、心地よい中藍、宇宙をも連想させる深い藍色、機に向かえば作家二人、眼差しの先は藍絣の極限に挑んでいます。
今春、六代目となるご子息の崇弘氏が家業に従事されました。

銀座もとじ和織 2013年初個展、2016年 開催
2015年 35周年記念展・2020年40周年記念展 出品

【松枝哲哉さん】 
重要無形文化財久留米絣技術保持者会会員 
(公社)日本工芸会正会員

1955年、福岡県三潴郡大木町生まれ
中学時代より、祖父である人間国宝・松枝玉記氏に藍染めを習い、後に手織り、
手括りを学ぶ。
1979年 重要無形文化財久留米絣技術伝承者 認定
1984年 日本伝統工芸展初入選  以後、入選多数

平成12年 第35回西部工芸展 久留米絣着物「煌」 正会員賞
平成19年 第41回日本伝統工芸染織展 久留米絣着物「晄」文化庁長官賞
平成20年 第42回日本伝統工芸染織展 久留米絣着物「星斗」日本経済新聞社賞
平成21年 第44回西部伝統工芸展 久留米絣着物「唐草文」QAB琉球朝日放送賞
平成22年 第44回日本伝統工芸染織展 久留米絣着物「山椿」日本工芸会会長賞
平成22年 第57回日本伝統工芸展 久留米絣着物「遥光」:日本工芸会会長賞 
平成28年 重要無形文化財久留米絣技術保持者会(染・手括り・織)の保持者認定

【松枝小夜子さん】 
重要無形文化財久留米絣技術保持者会会員 
(公社)日本工芸会正会員
1956年 熊本市生まれ
1974年 長崎・村山琢磨氏に師事、デッサンに没頭する
1979年 人間国宝・宗廣力三氏に師事、岐阜県郡上八幡工芸研究所にて草木染、絣、紬織りを学ぶ
1982年 鳥巣水子氏に学ぶ。後に浮花織・紗・絽・紋紗織を習得
1982年 西部工芸展・初出展 以後、入選多数
1985年 松枝哲也と結婚、松枝玉記に師事
1994年 重要無形文化財久留米絣技術保持者会会員認定

平成元年 第24回西部工芸展 木綿絣きもの「靑陽」朝日新聞社金賞
平成24年 第46回日本伝統工芸染織展 絣織着物「春風花」日本経済新聞社賞
平成27年 第49回日本伝統工芸染織展 久留米絣着物「水鏡」奨励賞・山陽新聞社賞
令和元年 第53回日本伝統工芸染織展 久留米絣着物「星明」三越伊勢丹賞
令和元年 第54回西部伝統工芸展 久留米絣着尺「浪漫」 福岡市長賞

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松枝家の久留米絣 - 継承と展開|和織物語
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久留米絣 松枝哲哉・小夜子~松枝夫妻の工房へ初めての訪問・ご挨拶~
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