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鑑賞のポイント「令和に甦る寛文小袖 特別展示会」(2023年公開)

上写真「白綸子地松竹梅文字散模様匹田縫小袖」(江戸前期)の一部

※こちらは2023年に公開した記事です。

8/25(金)~27(日)に開催の「令和に甦る寛文小袖」では、350年前の田畑コレクションの小袖をもとに、五代 田畑喜八氏が令和の寛文小袖を新たに染め上げ、その2つを特別展示。鑑賞のポイントをわかりやすくまとめましたので、ぜひご覧ください。

2日間限定の特別展示
「白綸子地松竹梅文字散模様匹田縫小袖」とは?

松皮取りに竹梅文字文様小袖
「かがやける小袖の美 田畑家コレクション」(朝日新聞社/1990)より
白綸子地/絞・縫 丈133.7cm 裄60.6cm

期間中の土日、26(土)と27(日)の2日間限定で、田畑コレクション図録(上写真)にも紹介されている歴史的価値の非常に高い小袖を展示いたします。今回展示される小袖の概要を「白綸子地松竹梅文字散模様匹田縫小袖」という呼称の解説とともにご紹介します。

寛文小袖とは

寛文小袖は江戸時代の寛文期(1661~1673年)頃に流行した着物のことで、右肩を起点に左肩と右裾方面へ大きな柄を展開し、左身頃には大胆に空間をもうけるなど、動的な模様構成が特徴です。染めの技法は、鹿の子絞りを中心としつつ、刺繍と縫い絞りを併用するものが多く、表現される模様は、植物、動物のみならず器物や文字にいたるまで様々なものから着想が得られています。

白綸子地(しろりんずじ)

綸子とは、経糸(たていと)・緯糸(よこいと)どちらも無撚糸を用いておられた生地のことで、光沢があり手触りが柔らかく滑らかで、織り方によって地紋が浮き出るのが特徴です。白地の部分をよく見ると「紗綾形(さやがた)」の地紋が見て取れます。
紗綾形は「不断長久(家の繁栄や長寿が長く続くこと)」を意味する吉祥文様の一つで、梵字の「卍」を変形して連続させた形からできており、紗綾形地紋に菊や蘭などをあしらったものなどが江戸時代の綸子の生地によく見られます。

松竹梅(しょうちくばい)

一見すると、梅の花や竹は見られるけれども「松はどこに?」と思われるかもれません。実は「松」は、松皮菱(まつかわびし)という、松の樹皮を菱形にデザイン化した日本独特の模様で表現されています。
30年前に発行された「かがやける小袖の美 田畑家コレクション」には「松皮取りに竹梅文字文様小袖」という呼称とともに、五代 田畑喜八氏の以下の解説も添えられています。
「松皮菱の取形の内に竹、そして梅樹を裾から立ちのぼらせ、すべてで松・竹・梅を仕組んだ機智にとんだ意匠である」

文字散模様(もじちらしもよう)

江戸時代の小袖には文字を散らし、文芸的内容を示すデザインも見られます。見るものに着用する方の文学的教養を誇示すると同時に、意匠としての文字の美しさが好まれました。今回展示の小袖では、大きな文字文様は金駒刺繍により煌びやかに表現されています。

匹田縫小袖(ひったぬいこそで)

「匹田絞り」を略して「匹田」(疋田とも書く)、別名「鹿の子絞り」とも呼ばれる絞り染めの一種です。小さなドットの一つ一つを小さく絞り防染し、大変手間のかかる贅沢な技法です。江戸時代の奢侈禁止令により、手絞り染めである鹿の子絞りが禁止されたことに伴い、型紙を用いた「摺り匹田(すりびった)」という技法が生まれ、田畑家に伝わる特徴的な表現方法の一つとなっています。

8月25日(金)に完成披露!
五代 田畑喜八が染め上げる「令和に甦る寛文小袖」とは?

本企画では、上記の小袖をテーマとして、五代 田畑喜八が、江戸と令和の時代を超えて貫かれる至高の美を、純国産の絹地「プラチナボーイ」に染め上げます。五代 田畑喜八氏の感性と技術を通し、かの小袖がどのように令和に花開くのか。その全貌は、会期直前までベールに包まれており、お客様同様に私たちスタッフも完成披露のその時を緊張しながら待ち望んでいます。8月25日(金)より店舗に展示予定ですので、ぜひご期待ください。

※令和に甦る寛文小袖の制作の模様は、テレビのドキュメンタリー番組が取材を続けており、ぎゃらりートーク当日も取材カメラが入ります。予めご了承ください。

「遠山の金さん」が誂えた御鹿狩衣裳が令和に甦る!
五代 田畑喜八が紳士用羽織を特別制作

寛文小袖に加えてもう一つ、今回の企画展に向けて五代 田畑喜八氏が取り組んでいる作品があります。「遠山の金さん」のモデルとされ寛政期を生きた遠山金四郎(1793-1855)が当時誂えた御鹿狩(おししかり)衣裳を、田畑コレクションに伝わるひな形本(デザイン見本帖)を元に、現代に羽織として甦らせ染め上げます。こちらも小袖同様に8月25日(金)より店舗に展示いたします。

五代 田畑喜八 羽織図案

米寿を迎える五代 田畑喜八氏が銀座へ
26(土)27(日)の2日間ご在廊

令和5年、米寿を迎えられる五代 田畑喜八氏は、今も江戸時代から続く京都の工房で筆を動かし、大きな声で制作を仕切り、小川通りを北へ南へ自転車で奔走されています。

高校時代は美術部に属しながらも柔道の黒帯を取り柔道部を創設、さらに生徒会長を務め、早稲田大学では美学と美術史全般を専修。早稲田卒業後に京都市立美術大学にて日本画を専攻し、本格的に家業へ。
人間国宝の祖父・三代 田畑喜八と、父・四代 田畑喜八に学び、田畑家の精神と技術を引き継ぎながらも、藍彩の茶屋辻など「五代 田畑喜八」ならではの世界を確立されてきました。

大胆で軽妙、かつ繊細で風趣に富んだ作風は、現代のお洒落な女性の心を掴んで離しません。
「先生にお会いして元気をもらいました」
お客様皆様が口を揃えてそのように仰います。京都から銀座へいらしていただく貴重な機会です。ぜひ皆さまも、五代 田畑喜八氏に会いにいらしてください。


京友禅 五代 田畑喜八 「令和に甦る寛文小袖 特別展示会」

田畑家は江戸時代から御用御誂え染師として、常に時代の先端で独自の美意識を確立しながら最上流のご婦人方のお召し物を誂えてきました。
この度、五代 田畑喜八が田畑コレクション「白綸子地松竹梅文字散模様匹田縫小袖」(江戸前期)を令和に甦る寛文小袖として、新たに染め上げました。
本展では二作品を特別展示。江戸から令和へ、時代に花開く至高の美を是非ご高覧ください。

会期:2023年8月25日(金)~27日(日)
場所:銀座もとじ和染
〈お問い合わせ〉
銀座もとじ和染  03-3538-7878
(電話受付時間 11:00~19:00)

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ぎゃらりートーク

五代 田畑喜八氏をお迎えし、店主 泉二啓太との対談形式で開催。
江戸前期の寛文小袖「白綸子地松竹梅文字散模様匹田縫小袖」(田畑コレクション)と本企画で新たに制作された“令和に甦る寛文小袖”を前に、今回の制作の一連を京都の工房まで追いかけ併走させていただいた店主 泉二より、制作秘話や田畑家のものづくりについてお伺いします。

日 時:8月27日(日)10:00-11:00【開催終了】
場 所:銀座もとじ 和染
定 員: 40名様(無料・要予約)
※取材カメラが入りますので、予めご了承ください。

田畑コレクション 特別展示

田畑家秘蔵のコレクションである江戸時代前期の寛文小袖「白綸子地松竹梅文字散模様匹田縫小袖」を特別展示いたします。

日 時:8月26日(土)11:00~8月27日(日)16:00
場 所:銀座もとじ 和染

※本企画にあたり五代 田畑喜八氏が染め上げた“令和に甦る寛文小袖”は3日間の催事期間中展示いたします。

五代 田畑喜八 令和に甦る寛文小袖 プラチナボーイ縮緬地 波に松竹梅 訪問着
《令和に甦る寛文小袖》8/25(金)~27(日)展示
五代 田畑喜八作 プラチナボーイ縮緬地「波に松竹梅」 訪問着

五代 田畑喜八 令和に甦る寛文小袖 プラチナボーイ縮緬地 金四郎好み 男性羽織
《特別制作》8/25(金)~27(日)展示
五代 田畑喜八作 プラチナボーイ縮緬地「金四郎好み」 男性羽織
「遠山の金さん」のモデルとされる遠山金四郎(1793-1855)が当時誂えた御鹿狩(おししかり)衣裳を、田畑コレクションに伝わるひな形本(デザイン見本帖・下記写真)を元に、現代の羽織として染め上げました。

五代 田畑喜八 羽織図案

作家在廊

8月26日(土)13:00-19:00
8月27日(日)11:00-16:00

五代 田畑喜八氏の詳細情報

作品一覧

五代 田畑喜八 制作風景 田畑さん

五代 田畑喜八 制作風景 下絵

五代 田畑喜八 制作風景 藍

五代 田畑喜八氏のご紹介

お召しになる人が「華主」。
藍彩の美しさ際立ち、品格あふれる茶屋辻模様。

着る人が「華主」。お召しになる女性が「華の主」として一番美しく輝いて見えるように最大限の力を尽くしてものを作る。それが自分の仕事と言い切る五代 田畑喜八さん。 京友禅を手掛ける染屋として、田畑家では「藍の濃淡・摺疋田・縫い箔」を得意としてものづくりをされ、中でもライフワークとして手がける“茶屋辻染め”は独特の藍彩の美しさが際立ち、伝統的な古典文様を個性的に演出した品格のある粋を感じさせる出色の作品です。江戸時代から大切に使い続ける「藍の墨棒」で加筆することで図柄に陰影を添え、藍の濃淡を基調とした気品あふれる、格調高い、優雅でありながら芯に力強さのある着物を作り上げます。

銀座もとじ和染 2011年、2013年、2015年、2018年、2020年個展開催

五代 田畑喜八氏 略歴

1935年 京都府に生まれる
1959年 早稲田大学第一文学部美術専修卒業
1961年 京都市立美術大学日本画科終了
     田畑染織美術研究所入所
1971年 株式会社田畑染織美術研究所設立
1995年 五代田畑喜八襲名 代表取締役社長就任
2000年 伝統工芸品産業功労者褒賞
2006年 旭日双光章 受章

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