時代を超える永遠の美しさ。
慶長文様を染め上げた、上質この上ない贅沢な訪問着のご紹介です。
慶長文様は、桃山時代から続く文様で、江戸時代初期の小袖の主体となった柄行です。着物地を埋め尽くすほどの総柄で、文様や刺繍、絞り、箔などをほどこした豪華絢爛の小袖が作り上げられました。
こちらは、その慶長文様がたっぷりとほどこされた、古典の美しさを存分に感じさせる訪問着です。上前から裾を通り下前へ、肩や胸にもたっぷりと、でも現代の着物シーンにお召しいただきやすいように適度に空間をほどこした美しいバランス。着姿となった時に、豪華なボリューム感がありながらも、同時にすっきりとした空間性がともに感じられる、現代の小袖と呼べる逸品です。
松、笹、梅、桜、藤、菊、萩、橘など、四季折々の花草が植生豊かにほどこされ、その一部は唐草をともない個性があります。
さらに贅沢なのは柄のボリュームだけでなく、随所にほどこされたたっぷりとした刺繍表現の美しさにございます。煌めきの華やかな金駒刺繍や箔糸のあしらいに、絹糸の刺繍も加わり、細やかな立体性が演出され、見れば見るほどその細部までの表現力に驚かされます。
まとまりを持った柄行から上下左右へと放たれて浮かび上がる軽やかなリズム感や広がりもまた、重厚なだけではない、独特の時代性を感じさせます。
モダンな意匠、すっきりとしたセンス、といった現代の着物とはまた違った、永遠に心惹かれる日本の伝統柄。仕事の出来栄えは間違いありません。古典の良さを再認識いただける正統派で最上級の友禅訪問着です。