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夏の極み 越後上布・小千谷縮展 ぎゃらりートークを開催しました|今日の店主

左から店主・泉二啓太、中田屋織物・中島律子さん

「夏の極み 越後上布・小千谷縮展」ぎゃらりートークを開催しました

中田屋織物・中島律子さんが語る、雪国が育んだ越後上布のものづくり

6月7日(日)、開催中の「夏の極み 越後上布・小千谷縮展」にて、ぎゃらりートークを開催いたしました。

当日は、新潟県南魚沼市より中田屋織物の中島律子さんをお迎えし、店主・泉二啓太とともに、越後上布・小千谷縮の歴史、原料となる青苧、そして雪国ならではのものづくりについてお話を伺いました。

銀座もとじでの越後上布展は7年ぶりの開催。久しぶりの開催にあたり、店主は今年4月、スタッフとともに越後の産地、そして5月には原料となるからむしを育てる福島県昭和村を訪ねました。トークの冒頭では、その産地訪問の映像をご覧いただきながら、越後上布が生まれる土地の空気を皆様と共有する時間となりました。

越後上布と小千谷縮は、1955年に国の重要無形文化財に指定され、2009年にはユネスコ無形文化遺産にも登録された、日本を代表する麻織物です。中島さんからは、越後上布は平織、小千谷縮は緯糸に強い撚りをかけることで生まれる「しぼ」が特徴であることなど、基本的な違いから丁寧にご説明いただきました。

重要無形文化財として認められるためには、手績みの糸を用いること、絣模様は手くびりによること、地機(いざり機)で織ること、しぼ取りは湯もみと足踏みによること、仕上げは雪ざらしによることなど、厳格な要件があります。どれも人の手と自然の力が深く関わる工程です。

今回のトークで特に印象的だったのは、原料である青苧(からむし)についてのお話です。越後上布に用いられる青苧は、現在、主に福島県昭和村で栽培されています。昭和村では、越後上布・小千谷縮のためにからむしを大切に育て、収穫後に外皮をしごいて繊維を取り出し、越後へと届けます。

からむしは一見同じように見えても、産地や品種によって色や質感が異なります。昭和村の青苧はしなやかで青みを帯び、採れたてのものはきらきらとした美しさがあるそうです。その繊維を爪先で細く裂き、端と端を撚り合わせながら一本の糸へとつないでいく「糸績み」。この工程がなければ、越後上布は生まれません。

中島さんは、かつては一冬で一反分の糸を績む方もいたものの、現在では熟練の担い手が少なくなり、一反分の糸を揃えること自体が大変難しくなっていると語られました。糸の細さ、しなやかさ、均一さ。そのすべてが、織り上がる布の表情を左右します。

続いて紹介されたのは、地機(いざり機)による織りの工程です。腰で経糸の張りを調整しながら、足の動きで糸を上下させ、緯糸を一本ずつ通していく。繊細な麻糸に無理をかけないため、今もこの古い機が使われています。

乾燥に弱い麻糸にとって、雪国の湿度は大切な要素でした。冬、深い雪に囲まれた暮らしの中で、家の中で糸を績み、織りを進める。厳しい自然環境は、越後上布にとって欠かせない制作環境でもありました。

仕上げの工程である雪晒しについても、会場の皆様は熱心に耳を傾けていらっしゃいました。雪が落ち着く2月下旬から3月頃、晴れて風のない日に布を雪の上へ広げます。太陽の光と雪の水分によって、天然の漂白作用が生まれ、布は白さと清らかな風合いを取り戻していきます。

中島さんによると、雪晒しは新しい反物の仕上げだけでなく、長年着用した越後上布を産地へ戻して再び雪にさらす「里帰り」にも行われるそうです。汗じみや黄ばみが出たものも、反物の状態に戻して雪ざらしをすることで、驚くほど美しく蘇ることがあるといいます。

一方で、近年は雪解けが早くなり、雪ざらしができる期間も限られてきているとのこと。自然の恵みに支えられてきたものづくりだからこそ、気候の変化もまた、産地にとって大きな課題となっています。

トーク後半では、実際の作品を前に、越後上布の種類や中田屋織物の特徴についてもお話しいただきました。文化財としての越後上布のほか、経糸にラミー糸、緯糸に手績み糸を用いる古代越後上布、さらに経緯ともにラミー糸を用いる越後上布など、それぞれの違いをご説明いただきました。

中田屋織物の作品の特徴は、絣の細かさと糸の細さにあります。今回特別にご紹介いただいた群鶴文様の作品は、現在では制作が難しい大変貴重なもの。横絣のみで大きな文様を表し、繰り返しの中にも伸びやかな動きが生まれる、熟練の技が凝縮された一反でした。

会長・泉二弘明からは、長年日本の手仕事を見てきた中で、越後上布を「なんとか残さなければならない」と感じてきた思いも語りました。今回の会場には、越後上布・小千谷縮、帯を含め約50点が揃い、産地でもなかなか一堂に見ることのできない貴重な機会となりました。

原料を育てる人、糸を績む人、絣をくくる人、織る人、仕上げる人。多くの手がつながって、ようやく一枚の布となる越後上布・小千谷縮。その背景にある時間と技、そして雪国の自然の力を、改めて感じるぎゃらりートークとなりました。

ご来店いただきました皆様、誠にありがとうございました。

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