【3月催事】「松枝家の久留米絣 ~伝統と伝承の道~」《終了しました》
会期:2022年3月18日(金)~21日(月祝)>>催事詳細
2020年夏、松枝家・織屋五代目 松枝哲哉氏が永眠されました。
日本伝統工芸展へは、36年を共に歩まれた小夜子夫人と共に出展を重ねられ、
最後に手掛けた作品が文部科学大臣賞を受賞。
長男・崇弘氏は昨年、初出品で日本工芸会奨励賞を受賞。
哲哉氏の偉大なる軌跡を辿り、
親子三人が久留米絣の作家として輝き続ける珠玉の作品群をお届けします。
コーディネートについて
大胆な柄行、白地から藍の濃淡の美しさ、紫や黄緑色を活かすため、力強い素材の無地の越後上布八寸の帯をコーディネート。綿と自然布の素材はよく合います。6月初旬の単衣の装いとして。
《着用季節について》
久留米絣は単衣仕立てにされることが一般的で、帯や襦袢の素材を替えて、寒い季節には暖かく、暑さを感じる季節には涼しく、上手に着こなして、真夏以外の春秋冬のスリーシーズン楽しめるのも魅力です。
※サブ画像に久留米絣の着用イメージをご紹介しています
作者:松枝崇弘
作品名:令和3年 第55回西部伝統工芸展 入選作「青柳・かすれから絣への展開」
※こちらは西部伝統工芸展初出品 初入選の記念となられる作品です
【作家コメント】
水の流れを4段階に染め分けた藍のグラデーションの縞で表現し、経の絣で造形した柳の葉をその水面に浮かべた。黄色は福岡県八女産のクララと呼ばれる植物染めで、緑色はクララに藍を重ねて染め、爽やかな春の日差しを表現した。
松枝崇弘 プロフィール
1995年、福岡県久留米市生まれ。7歳でお父様から藍染めを、10歳でお母様から機織りを学び、幼い頃から染織に親しんで育つも、大学卒業後は一般企業に就職。お父様・哲哉さんがご病気になられたのをきかっけに本格的に家業へ入り、父から子への松枝家の技術伝承は動画等を駆使して病床からも行われ、濃密な修行期間を過ごされます。お父様のご逝去後、2021年に日本伝統工芸展へ初出品・初入選、「日本工芸会奨励賞」受賞。幼少期より短歌を嗜み、小学3年生で詠んだ歌『クワふれば ミミズはじける土のうね ひとさし指で 藍のたねまく』が国民文化祭で選抜されるなど入選多数。
松枝家の久留米絣について
「松枝家」は、150年間にわたって絵絣の技を継承する久留米絣の名家。3代目である故・松枝玉記(たまき)氏は久留米絣の分野で国の重要無形文化財保持者(人間国宝)となりました。
久留米絣は、八女地方の小柄な男絣と、久留米市南部の大柄な絵絣の2種に大別されますが、松枝家に伝わるのは後者の「大柄な絵絣」です。
筑後の自然風景、風や雨や光や影、そして宇宙にまで思いを馳せ、絣紋様に意匠化して写し取ります。豊かな詩情あふれる世界観を藍と白のコントラストや藍の濃淡染めで表現した作品は、見る者に深い感動を呼び覚ます力強さを感じさせます。
【記事一覧】「松枝家と銀座もとじ 出会いからの歩み」