2022年9月23日(金)~25日(日)の展示会へ向けて、完成した結城縮復刻柄に加え、結城紬・結城縮それぞれの新作が多数揃いました。商品をご覧いただく一助として、結城紬と結城縮の製法の違いやそれぞれの魅力、コーディネート例などをわかりやすくご案内いたします。
9/20(火)20時~インスタライブ開催
インスタグラム銀座もとじ公式アカウントにて、結城紬と結城縮についてのライブ配信を行います。ぜひご視聴ください。(20~30分程度)
一本の糸から、結城紬ができるまで[Videographer:Yuya Shiokawa]
※クリックで再生、BGMが流れます。
【目次】
1.結城紬と結城縮の違い
2.結城紬の魅力と商品紹介
3.結城縮の魅力と商品紹介
4.新作紹介~超絶技巧を味わう~
1.結城紬と結城縮の違い
画像 左が結城紬、右が結城縮
「結城紬(ゆうきつむぎ)」は基本的には撚りのない糸(無撚糸)を用います。 一方「結城縮(ゆうきちぢみ)」には、ヨコ糸に撚りのある「強撚糸」を使います。 そのために表面に凹凸のある、シャリ感のあるサラリとした独特の感触に織り上がります。
2.結城紬の魅力と商品紹介
無撚糸の真綿糸で織り上げる
ふっくら暖かな秋冬きもの
「紬の王様」とも呼ばれる「結城紬(ゆうきつむぎ)」は、空気を含んだ手つむぎの真綿糸をほぼ無撚糸の状態で織り上げているので、軽くて暖かい極上の着心地が魅力です。
昭和31年に「越後上布」に続き、国の重要無形文化財に指定され、多くの着物ファンを魅了する憧れの織物として知られています。撚りをかけない糸で作られる布は世界でも珍しく、その技術の文化的価値から2010年にはユネスコ無形文化遺産として登録されました。
本場結城紬 高機 無地
帯合わせも自在なお召しいただきやすい無地の結城紬が揃いました。お気に入りのお色味をぜひこの機会に手にされませんか。(お仕立て代込み498,000円~)
プラチナボーイの本場結城紬 地機 段暈し
細く、強く、白く輝くプラチナボーイの糸で作る結城紬は、糸の奥から煌くような品が漂います。
結城紬 地機 100亀甲絣
男女問わず人気の亀甲絣。世代を超え、時代を超えて愛される定番の伝統柄です。
◎「地機(じばた)」と「高機(たかばた)」
「地機」とは、織り手の腰に経糸を固定して経糸張力を身体で調節しながら織る構造の手織り機で、「高機」は経糸が織り機自体に固定されている手織り機のことを指します。
3.結城縮の魅力と商品紹介
強撚糸を用いたシボが特徴
さらりと軽い究極の単衣
「結城縮(ゆうきちぢみ)」は、強撚糸により生地の表面にシボの凹凸をつくることでさらりとした着心地を実現した、単衣仕立てで楽しむ「結城紬の縮織」です。
「軽くて暖かい」結城紬に対し「軽くて涼やか」な結城縮は、気候の変化により単衣を着る季節が広がってきた現代に、大人の洗練された上質なお洒落を楽しむワードローブとしてぜひおすすめしたい着物です。
明治時代から昭和初期にかけて人気を博しながら、現在は技術の伝承が危機的状況にあり、大変希少な織物となっています。
本場結城縮 地機 100亀甲絣 総柄
<織元コメント>
縮織ではあまり見ることのできない、最高峰の絣の細かさです。黄色の亀甲絣と紺の蚊絣がくり返されるシンプルな柄ですが、絣と絣の間隔があるためにずれが目立ちやすく、ごまかしの効かない図案です。整然と並んだ絣から、緻密で正確な仕事が伝わってきます。
本場結城縮 地機 蚊絣 墨黒
<織元コメント>
十字ではなく、きれいなドットの配列になるよう、計算して作られた絣柄です。
通常の十字絣は、タテの絣糸が一本、ヨコの絣糸が二本、で一つの十字絣が出来ています。この反物では、タテ、ヨコともに二本の絣糸を構成し、線が交差する十字絣でなく、ひとつのドットになることを目指しています。また反巾に21個の蚊絣が並んでおり、少し縦長の配列になるよう工夫しています。
4.新作紹介~超絶技巧を味わう~
本場結城紬 地機
100亀甲絣・160亀甲絣併用
飛柄「正倉唐草花結び文」
<織元コメント>
同じ反物の中で100亀甲絣と160亀甲絣を併用した、極めて稀な結城紬です。
100亀甲絣と160亀甲絣とでは、絣糸の本数が異なるため、通常は図案を作る方眼紙も異なる規格のものを使用します。それをあえて一枚の図案の中で併用することで、柄の密度に濃淡がつき、平面であるはずの反物に奥行きが生まれてきます。
160亀甲絣のみの図案よりも多くの絣糸を必要とする、非常に高度な技術を要する反物です。
本場結城紬 地機 経絣
<織元コメント>
動きのある絣柄と規則正しく並んだ絣柄を、同時に表現することを試みた新作です。タテに長い絣は濃淡をつけることで繊細さを増しています。(経絣はたてよこ絣に比べて容易であると思われることが多いですが、この反物は)タテ糸に対する絣糸の割合が多く、高度な技術を要する柄です。
本場結城紬 地機 経緯絣
<織元コメント>
網代柄を絣で表現した図案です。タテ、ヨコ共に非常に多くの絣を使用した、手の込んだ図案です。色味は統一されてシンプルですが、絣で表現された縞のパターンが無数にあり、さながら縞の見本帳のようです。
本場結城紬 地機 経緯絣 濃紺
<織元コメント>
絣によって光を表現した図案です。タテとヨコの絣が交差する部分が、濃紺地に白く浮かび上がります。それぞれの絣は、白から徐々に色が濃くなり、地色に溶け込むように作られています。
ぎゃらりートーク
「結城縮復刻プロジェクト 過去から未来へ」
登壇者:奥澤順之社長×作り手 森肇氏×二代目 泉二啓太
日 時:9月24日(土)10~11時【開催終了】
場 所:銀座もとじ 和織
定 員:各30名様(無料・要予約)
「結城紬の魅力を語る」
登壇者:奥澤武治会長×店主 泉二弘明
日 時:9月25日(日)10~11時【開催終了】
場 所:銀座もとじ 和織
定 員:各30名様(無料・要予約)