【必見】森康次さん65年の刺繍人生で初!
店内で「繍い」を実演いただけることになりました!
2025年10月24日(金)より26日(日)まで、日本刺繍・森康次(もりやすつぐ)さんの65年にわたる創作の軌跡を一堂にご覧いただける個展を開催いたします。
季節の帯、京袋帯、付下げ、訪問着――糸と針だけで描かれる美の世界。さらに今回は森さんの刺繍人生で初めてとなる「刺繍実演」も決定!
ぜひ足をお運びいただき、精緻な刺繍の美しさを至近距離でご覧ください。また、作品をお持ちの方がいらっしゃいましたら、ぜひお召しになってお越しくださいませ。
「YouTube もりぬいチャンネル」でも一部披露されている極みの手技を「目の前」でご覧いただけます!この機会を、どうぞお見逃しなく!
「日本刺繍 森康次 傘寿記念展」
会期:2025年10月24日(金)~26日(日)
■作家在廊
10月25日(土)11時~18時《刺繍実演 13時〜/16時〜》
10月26日(日)11時~16時《刺繍実演 11時半〜/15時半〜》
※実演はご予約なくご覧いただけます。
■ぎゃらりートーク 10月25日(土)10時~11時【受付中】
■作品解説 10月26日(日)14時~14時半【受付中】
※オンラインショップでご紹介できていない作品については店舗へお問い合わせください。
森康次さんと銀座もとじ――17年間のご縁
森康次さんと銀座もとじの出会いは17年前。当時、現会長の泉二がひと目で心を奪われたのは、森さんが手がけた白い羽織にほどこされた刺繍でした。上品な色使いと宝石のような光を放つ糸の輝きに惚れ込み、懇願して初の個展が実現。以来、回を重ねて今回が7回目の開催となります。
森康次さんとの出会いから生まれた「羽衣羽織」は会長・泉二弘明も愛用の一品。
糸と針、あとは感性と技術。森さんの手から生まれるのは、伝統と現代感覚が調和した日本刺繍の新しい美です。
「制作で大切にしてきたことは、常に新しいものを創ることやね。昨日までの創作を否定するのは辛いけれど、そうでないと前には進めない。もの作りの宿命やね。」
(美しいキモノ2020年春号「森康次さんの世界」より)
着物通の方に大人気の「羽衣(はごろも)羽織」は未精錬の生糸で織られた薄羽織。透け感ある生地に綺麗に刺繍できるのは高い技術の証。裏も見えるので一切のごまかしがききません。纏うと羽織の刺繍が着物に美しい陰影をおとし情緒ある着姿をつくります。
日本刺繍とは ―― 糸で描く、日本の美意識
日本刺繍は、絹糸で文様を描く日本独自の刺繍芸術です。古くは「繍仏(しゅうぶつ)」をはじめ宗教的な意味合いを持っていましたが、徐々に服飾装飾として発展。刺繍だけで模様を表す「素繍(すぬい)」を主流として、桃山時代には男女問わず華やかな刺繍の衣服を身につけていたといいます。
桃山小袖『縫箔(子方) 白地桐鳳凰芦桜雪持竹肩裾模様』 / 安土桃山時代・16世紀
出典:国立文化財機構所蔵品統合検索システム
(銀座もとじコラム 知るを楽しむ「日本の刺繍文化の歴史~祈りの繍仏から、贅を尽くした服飾装飾、さらに教育へ」より)
森康次さんの日本刺繍 -①デザイン性について
色と光を操り、糸だけで森羅万象を描く
「YouTube もりぬいチャンネル」/糸染めも工房内で森さん自ら行います。工房の壁一面に2500色以上の糸が収納され、緑だけでもこの色数!
京都・上賀茂神社近くの静かな住宅街に、森さんの工房はあります。繍い屋の長男として生まれ、15歳で家業に従事。友禅のあしらいの繡いをこなしながら技術を磨き、いつかは刺繍だけで模様を表現することを夢見ていたそうです。
「桃山時代の小袖の模様は、全部刺繍です。 刺繍には主役を張れるだけの力があるんです。」
(きものsalon2020年春夏号より)
その思いを抱いて20歳の頃には和装の図案家に師事、水彩画や写生を画家から学び修練を重ね、繍い「職人」から刺繍「作家」へ。日本工芸会に籍を置かれてからは40年以上になります。(日本工芸会の作家ページはこちら)
高度な繍いの技術で知られる森康次さんですが、ご本人は「刺繍で最も大切なのは、技法ではなくデザインです」と言い切ります。
たとえば椿を題材にする場合、枝ぶり、葉、花、蕾──それぞれを、正面、横顔、背面から丁寧にスケッチし、生命のある姿をそのまま写し取っていきます。
「文様から文様を写すことはしません」
(和織物語「森康次 絹の光跡〜日本刺繡の世界〜」より)
そのために、「とにかく、たくさん描く」のだと語ります。
写生やデザインの研鑽を礎とした、抽象的な幾何学文様も特徴の一つ。「五感で感じた、形になりにくいものを形にしたい」と、色の濃淡や模様の大小を緻密に構成し、季節や朝・夕といった時間の移ろい、モチーフの主役・脇役の関係までを一つの物語として一枚の布の上に表現。糸の輝きとともに見る人の心に静かに迫ってきます。
森康次さんの日本刺繍 -②帯と着物について
「織り」でも「染め」でもない、
「繍い」というボーダーレスな「着まわし力」
刺繍の着物や帯は、立ち姿、振り返る姿――纏う人が動くたび、その瞬間ごとに光の角度が変わり表情が変化。模様のひとつ一つが、さざなみのように静かに輝き続けます。
刺繍の付下げ・訪問着
観劇、結婚式、パーティー、式典、入卒式・・
「いざという時に頼りになる」着用シーンの広さ
着物は着ると円筒形になるため、森さんは前後左右、両脇など、どこから見ても柄が続くように設計されています。着姿の美しさ、現代的な感性にフィットする「余白の美」と帯合わせの自由度。織りでも染めでもない、ボーダーレスな「着まわし力」にもぜひご注目ください。
「仰々しくなく、洋装の方が多いシーンでも浮かずに、礼を表しながらも品よくモダンでお洒落。合わせる帯によって格の上下を調整できる。こんなに重宝する着物は他にないですよ。」(銀座もとじスタッフ)
刺繍の名古屋帯・袋帯
織帯より軽やかに、染帯にはない立体感を
合わせる着物は紬から小紋まで幅広く、品良くお洒落に
帯は、着姿の正面である「前柄」から構想を練るそうです。品良い色使いは帯締や帯留も映え、様々に楽しんでいただけます。
日本刺繍 九寸名古屋帯「菊日和」
森康次さんコメント「太鼓柄の中心からタレの方は黄色で、上部から前柄、手先までが緑にと染め分けました。大きな菊模様を3つ配置。この菊模様を『花火菊』と名付けました。ぬい切りという技法で刺繍しています。」
日本刺繍 袋帯「残照」の前柄
森康次さんコメント「三筋の光が、階段状に流れ込む。そんなひと時をデザインしました。繍技は『すがぬい』です」
YouTube「もりぬいチャンネル」
コロナ禍でもお客様との繋がりを、とスタートした「もりぬいチャンネル」では、日本刺繍の工程を丁寧に解説されています。ぜひご覧ください。
京都の刺繍業を営む家に生まれ、15歳から日本刺繍とともに歩んだ65年の道程。「時代の風をかろやかに」、一針一針が形を成す意匠美からは、作家の創造力と覚悟、着る人を想う心の深さを感じます。
日本刺繍の可能性を追い求め、邁進し続けてこられた軌跡の証を一堂にご紹介いたします。季節の帯、京袋帯、付下げ、訪問着、日本伝統工芸展出品作品を是非ご覧ください。
会期:2025年10月24日(金)~26日(日)
場所:銀座もとじ 和染、男のきもの、オンラインショップ
〈お問い合わせ〉
銀座もとじ 和織・和染(女性のきもの) 03-3538-7878
銀座もとじ 男のきもの 03-5524-7472
(電話受付時間 11:00~19:00)
ぎゃらりートーク
日 時:10月25日(土)10時~11時【受付中】
会 場:銀座もとじ 和染
定 員:40名様(無料・要予約)
作品解説
日 時:10月26日(日)14時~14時半【受付中】
会 場:銀座もとじ 和染
定 員:10名様(無料・要予約)
作家在廊
10月25日(土)11時~18時
10月26日(日)11時~16時
森康次(もり やすつぐ)さんについて
京都上賀茂に工房「アトリエ森繍」を構える森康次さん。1946年、京都市中京区に生まれ、刺繍を生業とする「ぬい屋」の長男として15歳で家業に従事。当時の刺繍の役割はあくまで友禅へのあしらい的なものでしたが、次第に刺繍を主役にした作品を創作したいという気持ちが大きくなり、写生や水彩画の勉強を始められます。「ものをよく見て、その命のありようを『形』にする」――よく口にされるこの言葉には、「五感で感じた、形になりにくいものを形にしたい」という想いが込められています。また、色についても同様に「何色と一言で言えないくらいの色が綺麗だと思う」と仰います。刺繍の色糸はすべて森さん自らが染められ、工房にある糸専用の引き出しには夢のように美しいグラデーションを描いて2500色以上の糸が整然と並んでいます。刺繍糸の色や明度を抑えた穏やかで優しいきものづくり。纏う人のことを一番に想い、決して目立ちすぎない上品なきものは時代に左右されない真の魅力があります。
絹の光跡〜森康次 日本刺繡の世界〜|和織物語(2018年公開)
作品集「かぜそよぐ」
上記の「和織物語」を執筆くださった工芸ライター・田中敦子さんが編集を担当された森康次さんの作品集が、Amazonの電子書籍Kindleでご購入いただけます。
※銀座もとじ店頭での取り扱い分はすべて売約済となっておりますのでご了承ください。
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