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大島紬 益田勇吉 令和七年度「現代の名工」受賞記念展 ぎゃらりートークを開催しました|今日の店主

左から店主・泉二啓太、益田勇吉さん、会長・泉二弘明

「現代の名工」受賞記念 益田勇吉さんぎゃらりートークを開催しました

開催中の「大島紬 益田勇吉 令和七年度『現代の名工』受賞記念展」にて、ぎゃらりートークを開催いたしました。

会場では、益田勇吉さんをお迎えし、会長・泉二弘明とともに、受賞に至るまでの歩みや創作への思い、そして現在取り組まれている新たな挑戦についてお話しいただきました。

27年前の出会いから始まった、銀座に映える大島紬

益田さんと会長・泉二弘明の出会いは、今から27年前に遡ります。日本の手仕事を未来へつなぐために、銀座もとじならではのものづくりを目指していた会長が、「この仕事をお願いできるのは益田さんしかいない」と声をかけたことが始まりでした。

当時、大島紬は複数反をまとめて制作することが一般的でした。その中で、一反ずつ、その方のための色や図案を考え、銀座の街にも映える大島紬を作ることは、大きな挑戦でもありました。益田さんはその仕事に覚悟を持って向き合い、図案、色、染め、織りを深く研究しながら、銀座もとじとともに新しい大島紬の表現を切り拓いてこられました。

固定概念に縛られず、ストイックに自由であること

今回のお話を伺い、改めて感じたのは、益田さんのものづくりは「固定概念に縛られない」ことにあるということです。

大島紬は本来、図案、締機、染色、織りと細かく分業される世界です。その中で益田さんは、自ら図案を描き、色を研究し、染色技法を追求し、織りの仕組みまで深く理解されています。

若い頃から「なぜこうなるのか」「本当にこれが最善なのか」を問い続け、誰も答えを持たないことは自ら研究を重ねてきました。自由な発想でありながら、その背景には途方もないほどの検証と積み重ねがあります。

その姿勢こそが、令和七年度「現代の名工」受賞へとつながったのだと感じます。分業の世界でありながら、全体を見渡し、自ら考え、形にしていく。そのすごさが、今回のトークを通じてとてもよく伝わってまいりました。

研究から生まれた「白恵泥®」と色見本

益田さんの研究の象徴のひとつが、特許技術にもなった「白恵泥®」です。

陶芸用の白い土に着目し、独学で研究を重ねながら試行錯誤を繰り返し、現在の技法へとたどり着きました。白恵泥®によって生まれる大島紬は、真珠のような柔らかな光沢と、しっとりとした独特の風合いを持っています。

会場では、その研究の積み重ねを物語る色見本帳もご紹介いただきました。膨大な色の資料は、感覚だけに頼るのではなく、再現性のあるものづくりを目指して作り続けてこられた証です。

現在も鹿児島と銀座の双方で見ることができるようにとご用意くださっており、お客様の色選びにも活かされています。

「着物になった時に気持ち良ければいい」

お話の中で特に印象的だったのは、「着物になった時に気持ち良ければいい」という益田さんのお考えでした。

伝統工芸だから、現代の名工だからという肩書きではなく、実際に身にまとった時にどう感じるか。そこを何よりも大切にされていることが伝わってきました。

奄美の自然を原点としながらも、街の中を歩いた時に美しく映える大島紬でありたい。大島紬ならではの軽さ、しなやかさ、着心地の良さについても、益田さんと会長それぞれの言葉で語られました。

今回発表された作品にも、その思いが色濃く表れています。絵羽のように柄がつながりながらも、訪問着ほど改まらず、日常の延長で美しく楽しめる。大島紬の枠を広げるような、新しい感覚の作品でした。

98歳まで織り続けたお母様、そして新たな角帯への挑戦

さらに心に残ったのは、98歳まで織りを続けられた益田さんのお母様のお話です。

お母様でも織れるようにと考え抜かれた図案設計や、糸の扱い、柄の構成。作品の背景には、技術だけではなく、人への思いやりと工夫がありました。

また、男性の角帯についても、益田さんならではの挑戦が感じられました。約10cmという限られた幅の中に、海や砂浜、夕景のような景色を映し出す角帯。染め分けによって柄が少しずつ変化し、結んだ時に動きやリズムが生まれます。

「もっと面白いものができるのではないか」。80歳を迎えた今なお、益田さんは研究と挑戦を続けていらっしゃいます。

挑戦し続ける姿が、未来へつながる

令和七年度「現代の名工」受賞。

その栄誉は、長年の技術の積み重ねだけではなく、常に学び、研究し、挑戦し続ける姿勢そのものに贈られたものなのだと感じます。

伝統を守るだけではなく、未来へつなぐために、今もなお新しい表現へ踏み出す益田勇吉さん。

ご来場いただきました皆様、誠にありがとうございました。

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「現代の名工」に選ばれた際にご報告にお越しいただきました

左は会長、右が益田勇吉さん

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