喜寿を迎えられる記念の年に、栄えある伝統文化ポーラ賞「地域賞」受賞。
全国のファンの皆様から寄せられた、山岸幸一さんの作品の魅力をご紹介します。
山岸幸一さんの紅花紬について
28歳の時に、水、風、太陽が最高の条件でそろう山形県米沢市赤崩の地へ。桑畑を耕し蚕を育て、繭から真綿糸を作り、草木染の原料となる植物を栽培し、糸染め、機織りまでのすべてをご自身で行っています。代表的な紅花紬は、初夏に摘んだ紅花で染料を作り、極寒の真冬に染め、糸染め後に一年寝かせ・・を繰り返し、繭から5年以上の時を重ね反物が完成します。
「経年美化」する着物と
一緒に年を重ねていきたい
もとじさんの紅花摘み体験会で先生の工房に伺った時に、30年前に染めた糸を見せてもらい、その美しさに驚きました。色は生きている。5年も染め重ねて完成した着物でも、経年で色が深化していくそうです。5年後、10年後を楽しみにしながら大切に着ています。(東京都 Y.K.さん)
まるで空気を着ているよう
軽くて暖かくて優しい着物
山岸幸一さんの着物は、本当に体を優しく温かく包んでくれて、幸せな気持ちになります。体に良い「食」があるように、体に良い「衣」があると、山岸さんの着物が教えてくれました。(神奈川県 I.S.さん)
糸は真綿から撚りをかけず手紡ぎする。
「山岸の織物が実際に手で触れて柔らかいのは、この作家の織物が多くの空気を含んでいるからである。作家は扁平糸と呼ばれる、内部が空洞状態の糸を好んで使用している。」(2017年『和織物語』より)
これ以外は何もいらない
とさえ思える着物
この柔らかさ、ふんわり感は本当に素晴らしいですね。この着物は自然界であれ、室内であれ、人との調和感が素晴らしいと思います。それと男の優しさ、この着物を着ることにより人としての優しさを身に着けたいと思いました。作り手の苦労を経験することはできませんが、思いを注ぐ事により自分なりに育むことは可能です。(長崎県男性 T.S.さん)
最上川源流で早朝に行う「寒染」。色が引き締まりより鮮やかになる。
80歳になっても山岸さんの
紅花のピンク色を着続けます
ひとめ惚れした綺麗な色。ピンク色は洋服ではまず選ばない色ですが、草木染の色は優しくて、肌色に不思議としっくり合います。カジュアルなパーティーにも良いですし、食事会の「紅一点」を楽しんだり。着るだけで気持ちが上がる、元気をくれる着物です。(千葉県 H.K.さん)
紅花から作った紅餅。
山岸先生は私にとって人生の師
作品と生き方に惚れこんでいます
(銀座もとじ会長・泉二弘明)
私が山岸さんの作品に出会ったのは1995年のことです。日本伝統工芸展で紅花紬の美しさに心を奪われ、この作り手に会いたいと強く思いました。先生と信頼関係を築くために何度も何度も米沢へ通い、作品を取り扱わせていただくまで4年かかり、初個展はさらに3年後の2002年。365日着物で過ごす私が、袷の時期に最も多く着ているのが山岸さんの着物かもしれません。作品、生き方、考え方すべてに心服する人生の師です。
2017年に赤崩草木染研究所40周年を記念したパーティーを開催。ドレスコードは山岸幸一さんの作品。
山岸幸一さん×会長・泉二弘明
『美の壺』放送直後にライブ配信(2021/09/24)
色の生命力の源「寒染」を
朝方まで実況中継!
(銀座もとじ店主・泉二啓太)
山岸さんの紅花染の澄んだ色は、空気と水に不純物のない明け方に作業することで得られます。その「寒染(かんぞめ)」の神秘の瞬間を、行動が制限されたコロナ禍に赤崩の工房からライブ配信しました。山岸さんが周到に準備くださり、朝方4時という時間にもかかわらず多くのお客様がご視聴くださいました。山岸さんのものづくりを知るほどに憧れが募り、ずっと着てみたかった山岸さんの着物に初めて袖を通した時の温かさは忘れられません。
※「寒染」は登録商標
夕方から明朝にかけて3度に分けてインスタライブ配信。上の動画は1回目・夕方「染料抽出」。(続きの動画はこちら 2回目・朝4時「寒染‐工房で糸染め」/ 3回目・朝6時40分「寒染‐最上川で洗う」)
3~5年染め重ねた糸の状態を見極め最良のタイミングで織り上げる。
紅花染の媒染材となる烏梅(うばい)は奈良県の樹齢300年の古木から採取したもの。
山岸幸一さんが育てた蚕の黄金繭。『春来夢』は繭から黄金の色素だけ抽出し、それを白い繭糸に染め上げる山岸さんの独自技法。
山岸幸一 喜寿記念展
~植物染め 祈りの織物~
会期:2023年11月24日(金)~26日(日)
場所:銀座もとじ 和織、男のきもの
〈お問い合わせ〉
銀座もとじ和織 03-3538-7878
銀座もとじ男のきもの 03-5524-7472
(電話受付時間 11:00~19:00)