“夢と情熱とロマンの結晶”
『100%白鷹産の天蚕着物』が出来上がりました!
今年、6年がかりの“夢と情熱とロマンの結晶”が誕生しました!

それは“繭作りから織りまで、100%白鷹産の天蚕きものを、1年で1反作る”という夢の1反。
「1年で1反?」と思われるかもしれませんが、 「天蚕を1つの地区で1年に1反分養蚕する」こと、さらに「織りもする」というのは現代、夢のような、本当に難しいことなのです。
その熱いドラマを伺いました。
山形県西置賜郡白鷹町深山地区では、1989年から天蚕の飼育を始め、約24年。 現在では山形県内で本格的に天蚕飼育をしているのはこの白鷹町のみとなりました。
現在は20アール(2000ヘクタール)の畑に、餌となるクヌギを植え、天蚕飼育をして、1年間に2500粒、およそ着物半反分 (1枚の半分)の繭を生産されてきました。 「どうしてそれだけの広い畑を使いながら、着物半反分しかできないのか?」 それは、一般的な白い繭“家蚕(かさん)”と、天蚕という野生の環境で育てる“野蚕(やさん)”の大きな違いに理由があります。

白い繭“家蚕(かさん)”と天蚕などの“野蚕(やさん)”の飼育方法の大きな違い
白い繭“家蚕”は、蚕の卵はJAなどの農協で孵化させて、養蚕農家へ運ばれ、小屋の中で育てられます。箱のような中に入れて、 刈ってきた桑の葉を毎日与えながら幼虫を育て、時期が来たら、養蚕農家の方が、 蚕が繭を作りやすいように格子状の枠(まぶし)を持ってきてその箱へ入れ、蚕を格子のひとつひとつに登らせて(じょうぞく) 繭を作らせます。 1反に必要な繭は約2500粒。生まれてから約25日で繭になります。
小スペースの中でも作ることができる家蚕。銀座もとじ店内でも“蚕の飼育展”をしたことがあります。 店内で5000粒、着物2反分の繭を作ることができました。

一方、“野蚕”の一種である「天蚕」は、小屋の中ではなく、クヌギ畑の中でワイルドに育てられます。 卵はシートにつけられて、クヌギの枝に置かれ、自然に孵化させます。 生まれた蚕は、自分でやわらかい葉を探して、木をつたい、育っていきます、 もちろん繭になるのも枝の下、葉に隠れてぶらさがるように繭ができます。
飼育環境を小屋の中である程度整えられる“家蚕”に対して、“野蚕”の「天蚕」は野生の環境の中でたくましく育てられるのです。
さらには、1反に必要な繭は約5000粒と“家蚕”の2倍。そして一つの繭から着物用として使うことのできる部分は大変少なく約60%。 (外側などは野性的で硬くて使うことができません) また、繭になるまでにも約50-60日と、“家蚕”の2倍かかります。

桑の葉を畑から刈ってきて与える“家蚕”と違い、クヌギ畑そのもので飼育する“野蚕”の「天蚕」は、 飼育面積はとてつもなく必要です。
そこでこれまで20アールもの面積がありながらも1年間で半反分の繭を作ることがやっとだったのです。
でもそうすると、1年で1反の着物が作れない、どうしても他の地域の繭と合わせた着物になってしまう。 できれば、1反を自分たち“白鷹産”の繭だけで作りたい。

「1年に1反でいい、夢の“100%白鷹の天蚕糸の着物”を作り上げましょう。」 それを合言葉に挑戦した6年間、 その夢のプロジェクトが今、「しらたか天蚕の会」の皆さまの熱い努力により、実現したのです。
“たった1反、これが本当に難しい”
その夢の1反が今、出来上がりました。
夢の“100%白鷹の天蚕糸の着物”を実現するために、6年間トライし続けた工夫

ひとつの繭の中でも着物の糸として使える分量をいかに多くするか。
6年間、「しらたか天蚕の会」の皆さまは、土壌の改善、木の殺菌など、あらゆるトライを試行錯誤しながら 飼育環境を整えていかれました。
また、天蚕の蚕はタヌキや鳥の好物でもあるため、クヌギ畑をネットで覆うことはもちろんのこと、 「タヌキがネットに入った!」となれば、朝でも夜でも皆で駆けつけ追い払ったり、 見回りも皆で毎日交代で行い、この『夢の実現』を皆で目指されました。
その努力は本当に、並大抵のお気持ちでは続けられなかったと存じます。 時給にすると200円にも満たないそう。 皆さま、ご自身の本業は別に持つ中で、このプロジェクトに熱い想いで取り組まれました。
こうして6年越しでやっと出来上がった1反分の繭、 それを、さらにこだわり、“糸取り”も白鷹町で、“織り”も白鷹町で行い、 正真正銘の『メイド イン 白鷹町』の“夢の天蚕着尺”が誕生したのです。
“夢と情熱とロマンの結晶”
ぜひ最上の繭の輝きをご実感ください。