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染色作家・仁平幸春さんのぎゃらりートークを開催しました

2012年8月2日(木)〜5日(日)まで、銀座もとじにて『仁平幸春展 更紗文様 〜草花の詩情〜』を開催させていただきました。 8月4日(土)には、仁平幸春さんをお迎えして、ぎゃらりートークを行いました。
仁平幸春展 更紗文様 〜草花の詩情〜 ぎゃらりートーク

イタリア料理で“日本人”を再認識し、染色の道へ

仁平幸春展 更紗文様 〜草花の詩情〜 ぎゃらりートーク
昭和40年生まれ。小さな頃からものづくりが好きで、都立工芸高校デザイン科へ進まれた仁平さん。卒業後はファッションメーカーで靴下のデザインの仕事に就かれましたが、 半年で退社。その後、進んだのは染色の道ではなく、子供の頃から好きだった料理の道でした。イタリア料理の有名店などで8年間、料理人として修行を重ねられていく中で、自分の大きな視点に気づかれたそう。「鴨料理をしていても、こってりとしたソースではなく、さっぱりとしたわさび醤油を合わせてみたくなる。
今でしたら和テイストのイタリアンもありますが、当時はイタリア料理は本場イタリアの味を作り上げる時代。日本の感覚を取り入れるといった風土はありませんでした。でもわたしは、日本人であるのに日本でイタリア料理を作っていることに、なんだか違和感を覚えてしまったんですね。イタリア料理を通して、自分が“日本人であること”を再認識したんです。」 26歳、イタリア料理店を退職し、次は和食へ、と思われるところを、仁平さんはここから染色の道へ。 同じ世界ではなく、違う世界へ。20歳の頃に出会った染色師の元で働くことになりました。 高校の時からものづくりの勉強をしてはいましたが、その染色の技量を示す作品はなかったので、最初は営業職を担当。染め上がったものを小売店へ営業していく、ものづくりに関わらない仕事からのスタートでした。そのうちに、染めやデザインなどものづくりができることを認められ、工房内でも積極的に作品づくりに関わることに。でも3年後、工房が経営難のために倒産したのです。

29歳、6畳の部屋から独立の道へ

ここで迫られた二つの選択。ただ働き同然であっても師匠の元で仕事をするか、思い切って独立するか。仁平さんが選んだのは“独立の道”。「24歳ですでに結婚していたので、その道しか選択肢はなかったのです。」 29歳、独立。とはいえ当時は大きな工房など持てるお金もなかった仁平さん。工房は自宅、アパートの6畳の部屋しかありません。6畳でできるものはせいぜい小物。(着物を作るためには13mほどの生地を一直線に張るため、その長さのスペースが必要です)仁平さんはまずはそこでできる範囲のものを懸命に作り、自ら小売店へ作品を持ちこみ、営業もしたそう。この営業力。
仁平幸春展 更紗文様 〜草花の詩情〜 ぎゃらりートーク
作り手の方は意外と苦手な方が多いのですが、そこは前職の工房での経験が本当に役に立っているそう。そうして少しずつお金もたまり、大きな部屋に引っ越すことができ、 やっと着物や帯が作れるようになりました。

『銀座もとじ』との出会い、お付き合いはもう15年

ちょうどその頃、仁平さんが営業で作品を持ちこんでくださったのが「銀座もとじ」でした。「さまざまな店をまわっていましたが、『銀座もとじ』は“実験的なもの”を受け止めてくれる店として作り手の中でも 知られていました。当時からわたしの作風は今と変わらず、ちょっとくせ(個性)があるので、小売店によっては 好みが分かれることがあったのですが、『銀座もとじ』なら自分も受け入れてくれるのではと思いました。」
仁平幸春展 更紗文様 〜草花の詩情〜 ぎゃらりートーク
店主 泉二も、他の作家とはひと味違うオリジナルな作風に惚れ、意気投合。それからお付き合いはもう15年になります。そして、仁平さんには、銀座もとじの毎年5月の恒例行事、銀座で唯一の小学校、泰明小学校での“銀座の柳染め体験授業”にもお手伝いいただき、もう12年になります。また、2006年にオープンした銀座4丁目の『和織 和染』店の4色の“四季のふすま”を染めていただいたのも仁平さんです。

『更紗』をテーマにした個展、遊び心がいっぱい

繊細なものから大胆なものまで、幅広い作風とユニークな創造力で人気のある仁平さん。現在の制作活動には“料理人”という前職から学ぶことが多いそう。「素材に自分のやりたいことをリンクさせて、形にして、提供すること。これは料理も含めた工芸すべて一緒だと思っています。」 その作風、想いは独立当初から変わらないと言います。 今回の個展は『更紗』をテーマに作品づくりをしていただきました。『更紗』と一口に言っても、そのテイストはやはり仁平さんならではのもの。エキゾチックな唐花の中に小さな動物たちを見え隠れさせたり、花たちが星空の下で授業をしていたり、と大人の遊び心がいっぱいに込められています。
【もとじ綿】 「花の授業」 【もとじ綿】 「花の授業」
【もとじ綿】 「格子と花束」 【もとじ綿】 「格子と花束」
【もとじ綿】 「短冊」 【もとじ綿】 「短冊」

『もとじ賞』の作品を、仁平さんが帯として制作

また、今回は“特別な作品づくり”もお願いしました。2012年1月27日(金)〜3月14日(水)に文化学園服飾博物館にて開催された「ペイズリー文様 −発生と展開−展」に合わせて行われた「ペイズリー文様デザインコンクール」(応募資格:文化学園に所属する学生・職員)に銀座もとじが協賛、『もとじ賞』という特別賞をもうけさせていただきました。
仁平幸春展 更紗文様 〜草花の詩情〜 ぎゃらりートーク
選ばれた作品を、実際の帯として製品化するというスペシャルな賞です。その帯づくりを、創作力が高く、更紗が得意な仁平さんにお願いしたのです。受賞者・阿部春佳さんのデザイン画を仁平さんにお渡しし、帯として際立つようにアレンジし、作り上げてくださった作品。 トーク会当日には、阿部春佳さんとデザイン画、そして実際の帯作品をともにご紹介しました。(帯作品もお客様にご縁をいただきました。)

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