宮古上布作家 仲宗根みちこさんのぎゃらりートークを開催しました

写真左から:(同じく宮古上布作家)仲宗根みちこさん、新里玲子さん、店主 泉二
写真左から:(同じく宮古上布作家)仲宗根みちこさん、新里玲子さん、店主 泉二
2014年5月15日(木)〜18日(日)まで、銀座もとじにて開催した『憧れの宮古上布展』 。

5月17日(土)には、仲宗根みちこさんをお迎えして、ぎゃらりートークを開催させていただきました。

古上布作家 仲宗根みちこさんのぎゃらりートークを開催

今回のトーク会は、仲宗根みちこさんにとって記念すべき“人生初”のトーク会。当初、宮古島でお断りされた中、 店主が「ぜひ!」とお願いして実現していただいた、大変希少な機会となりました。

トーク会開催日の2日前、5月15日は、1972年、42年前に沖縄が米支配から本土復帰をなった記念日。当時、仲宗根さんは中学1年生で、 それまでの使用通貨はドルだったそう。

当日の装いには、その時代にちなんだアイテムが身につけられていました。 「今日付けている指輪は、母が若い時に使っていたもので、実は5セントコインで作ったものなんです。初めてのトーク会で緊張しているので、今日はそれをお守り代わりに身につけてきました。
また、着物は嫁ぎ先の所にあったおじいちゃんの着物なんです。子供が高校生になった時、兵児帯を締めて着させていただのですが、 いつか私のものにしようと狙っていて。笑。今回、この機会にと自分用に仕立てなおして着てきました。」

1959年沖縄県石垣島生まれ。両親は宮古島出身。

1979年本島にある沖縄県伝統工芸指導所で3年、絣や組織織りを学んだ後、 「どこで(どの島で)織ろうか?」と考えていた時、先生に「石垣はもう(染織が)確立されていて、宮古はこれからだよ」 と言われたのがきっかけて、宮古島に行くことに決められたのだそう。宮古島は元々、両親の故郷で幼い頃から度々訪れ、 またご自身も20代の頃少し住んでいたことがあったので、自然に選択ができたと言います。 1983年宮古島に移住、工房を構えられました。以来31年間、宮古の地でものづくりを続けられています。
仲宗根みちこ作 帯作品
仲宗根みちこ作 帯作品

おばあが績んだ生成りの糸の美しさを活かす

仲宗根さんの作品は、生成りの糸そのままを活かした作品が多くあります。 そこには、おばあたちが績んだ糸への想いが表われています。

仲宗根さんの糸績みのおばあとの付き合いは、温かな覚悟にあふれています。 おばあとは一度付き合いを始めたら「最後(の糸まで)面倒を見ます」と伝えるのだそう。 これは、糸の細さは歳を経ると、どうしても太くなってしまい、着尺、さらには帯にも向かないほどになってしまう ことがあるのですが、それも買い取り、自分の中でそれを活かす方法を考えるという覚悟。 その心意気によって、仲宗根さんの元には最初から、芋づる式にたくさんのおばあたちから良質な糸が集まったと言います。
宮古上布の糸 太細が違う
宮古上布の糸 太細が違う

仲宗根さんは、作り上げた作品の中に、誰が績んだ糸が入っているのかすべてわかるのだそう。 糸が手に入ると、まず洗って、いつでも使えるようにして、 買った日にちと、誰が績んだ糸かをすべて書いて、保管しているそう。

https://onlineshop.motoji.co.jp/onlineshop/products/detail.php?product_id=26945
仲宗根みちこ作 帯作品 生成り無地
仲宗根みちこ作 帯作品 生成り無地

独立当初、初めて糸を購入させてもらったおばあとももちろん現在も付き合いがあり、今は90代になるのだそう。

「糸づくりが最大の課題。おばあたちとの付き合いを大切に、それぞれの糸を活かす 『顔の見える宮古上布』を作りたいと思っています」

糸の声を聞く―デザインは糸から考える

仲宗根さんは、デザインは糸を見ながら考えるのだそう。その糸を活かす一番のデザインは何か、 糸を見ていると自然とデザインが決まる、まずは糸選びが大切と言います。 またデザインは、何かのデザイン集を見てヒントを得るのではなく、ご自身の布見本を見て考えるのだそう。

布目がとにかく気になる!

「本当に布目がすごく気になるんです」 緯糸と経糸のバランスが良くないと、布目がきれいに仕上がらない。 筬の目の密度もいろいろあるので、糸の太さ細さによって、どの筬を使うか、「何度も何度もしつこく見て」決めるのだそう。 緯糸を入れた時の透け具合、布目の美しさが大切。緯糸の太さを見て、どれにどれを合わせようか、とても選んで考えると言います。

想いをカタチにする

「想いをカタチにすることは本当に難しいです。でも、だから今も織り続けられるんです」 宮古上布は、宮古の草木の力、糸績みのおばあの愛情がたっぷり。 「私には大切なおばあがいっぱい。それに支えられてものづくりが続けられています。おばあにとっても 生き甲斐と言ってもらえています。本当にいい形でお付き合いを続けられることができています。」

糸の声を聞き、糸と対話しながら、その糸が一番活かされる道具、柄を導き出し、作りだされる仲宗根みちこさんの作品。 おばあたちが績んだ生成りの糸の美しさを大切に活かしたものづくりは、温かな覚悟に満ちた仲宗根みちこさんならではの愛情があふれています。