1月23日(日)には 生駒暉夫さんを迎え、今回の企画展に込めた思いについて「ぎゃらりートーク」をしていただきました。


年2回の日本伝統工芸展でも幾度も入選を重ね、 現在はさらに東京友禅の作り手の中での自分の立場を想い後継者育成にも力を注がれている“実力派”の東京友禅作家です。

“自分の作品”というよりも“着物は纏って美しく、場に添う装いでこそ”という視点が持てたんですね。 侘び寂びや日本人の感性、お客様の声を学べたことが今の糧となっています。」
今でも長野へ題材の取材に行くという生駒さんは「いろんなアイデアの引き出しをプロとして持つことが大切」と言います。 描かれるモチーフは、東京友禅らしい粋な竹模様から四季折々の花草はもちろんのこと、 動物たちの姿も多く見られます。 タンポポの中で跳ねるうさぎや、銀世界を駆け回る小さなきつねたち。その画面からはぽっと心が温かくなる優しい物語が伝わります。 その中でも、いつも皆さんを驚かせる題材としてご紹介されるのが生駒さんの“昆虫シリーズ”です。 「ちょっと、おもしろいでしょ?」と楽しそうにご紹介くださる生駒さん。 クワガタ、カブトムシ、カマキリ、バッタ、コオロギ。。。さまざまな昆虫たちが、ゴルフをする姿、想像できますか? でもそれがとても可愛いんです。

それでこのカウンターに昆虫たちが座ったら楽しいかなと思って。でも店内の色とか、昆虫と同化しない相性のいい色選びをと、 結構いろいろ考えて作ったんですよ。」生駒さんのアイデアの引き出しはドラえもんのポケットみたいです。
プラチナボーイはどうでしたか? 「プラチナボーイは染料の含みがいいので、色の深みや発色が本当にきれいに出る。 友禅の糸目もくっきりと出て、上がりがとても良かった。やっぱり糸の揃いがいいから均一に染まりやすいのでしょうね。 ぼかしのグラデーションの吸いつきは本当に上手くできました。」
現在、生駒さんの工房にはお弟子さんが3人。息子さんと女性が2人、すべて20代の若手です。 友禅は通常分業ですが、生駒さんは工房内で一貫作業を行っているため、お弟子さんたちもすべての工程を学ぶことが出来ています。
その感謝の想い表すには、後輩たちに技術を伝え環境を与えていくこと。それが私の使命だと思って、今、後継者育成に力を入れています。」

「ものづくりは勝負」という生駒さん。真剣なものづくりへの眼差しからあふれる人と自然への優しさ、微笑み誘うユニークな感性、 そしてこれからの東京友禅を担うことへの熱い想いが伝わる本当に素敵なトークでした。 生駒さんの引き出しから今度はどんなアイデアが飛び出してくるのか、とても楽しみです。