福本潮子 – 藍染のきもの展~浜美枝さんと語る~|活動レポート

福本潮子 - 藍染のきもの展~浜美枝さ

ハナミズキが咲きあふれる2008年4月19日(日)。銀座・資生堂パーラー9階にて、女優・浜美枝さんを迎えて「ふくもとしほこ 藍染めのきもの展」もとじ倶楽部を開催いたしました。

造形作家・福本潮子さんは国際的に活躍されている藍染めの第一人者。今回、浜美枝さんとの対談が実現いたしましたのは、以前より浜美枝さんが福本潮子さんのおきものを始めとする作品を愛用されていらっしゃったからです。
造形作家・福本潮子さん

当日は福本さんの代表的作品である「トルファン綿」のきものをお召しになり、福本さんの魅力について語ってくださいました。

福本潮子さんの作品
福本さんは学生時代、洋画に取り組まれていました。その頃から、どうしても「青色」が気になって、「青色」の抽象画ばかり描かれていたそうです。

絵画以外にも、ホーローやガラスなどさまざまな素材と向き合う中で、「伝統的なものがしたい」という気持ちが強くなり、きものの世界へ。そこで「藍」と運命的な出逢いをされました。

『藍を知り、水を得た魚のように表現が広がっていった』。藍は色足が長い、つまり藍は濃い色から薄い色まで、他では考えられないほど多様な色が表現できる染料なのだそう。月明かりだけで照らされた深い海のような濃い藍、明るい陽射しが透き通るような浅い藍。素材によって変化する藍の色に魅了され、きものをはじめ、さまざまな造形作品を手がけるようになりました。

現在、造形作家としてタペストリーや茶室、椅子、さまざまなインスタレーションを発表されている福本さんにとって、きものにも「空間との調和」という視点が大切に活かされています。
福本潮子さんの作品

きものは身に付けて、空間の中で楽しむもの、だから『近代建築の中で、きものも現代にあった姿でないと作品になりえない』『現代の和洋折衷の暮らしの中で、今の時代に合う「都会的なきもの姿」を作りたい』と福本さんは言います。

浜美枝さんも、箱根にあるご自宅の古民家で福本さんの藍で染めたテーブルクロスにルネ・ラリックのガラスの大皿をのせて楽しまれているそう。神秘的な藍の彩りと西洋のセンスが重なり、とてもモダンで、今の暮らしに合った素晴らしい空間となっているといいます。

「トルファン綿」
今回の展示会でもご紹介している、福本さんの代表的作品でもある「トルファン綿」も、まさに新しい感覚の「都会的なきもの」。

まさに新しい感覚の「都会的なきもの」。トルファン綿はシルクロードのオアシス、トルファン盆地で生まれた綿糸で、現在では大変希少なものです。福本さんの手元にある生地は、ウルムチ(シルクロードの大都市)までロバでしか行くことができな かった時代に求めた、すべて手積み(てうみ)の超長綿を使用し、さらに大変珍しいことに綿素材を絹の機で織っている現在では考えられないような好条件のトルファン綿。通常、綿というと重くて厚みが あるという印象ですが、従来の綿の概念をくつがえす質感、色の発色。まさに「高級感のある綿」なのです。

『あの時代の奇蹟』と福本さんは言います。すべての事情が整ったからこそ創作できた 極上の綿布。当時、縁があって願い倒して手に入れた200反ほどのトルファン綿。現在ではこれほどの綿は手に入らないので、福本さんもその生地が尽きるまでの期間、あと数十反しか作ることができないといいます。

トルファン綿

浜美枝さんも「トルファン綿」に魅せられた一人。

『綿独特のきしみがまったくない。 綿とは思えない光沢感はすごい。』『なんともいえない着心地はやみつきになる。』会場にも福本さんの作品をお召しになられた方が素敵に目を惹いていました。まさに「よそ行きの綿きもの」、現代の街並みに似合う現代性がこのきものにはあります。また、トルファン綿は藍の色足も大変長くさまざまな色が表現できる点も、福本さんを魅了しました。福本さんがほれこんだ理由はお手にとっていただければきっと一瞬でおわかりいただけるはずです。

福本さんが仕事上で大切にしていることは3つ。「新鮮であること」「シンプルであること」「深みがあること」。『自分が現代に生きている証が作品』。福本さんはこれからもさらに国際的に活躍されていくことでしょう。先日は初めて、きものと作品を同じ空間で発表され、きものがひとつの「アート」としてとらえられる時代になったと感じているそう。福本さんの今後、ますます注目です。
福本潮子さん