※こちらは2006年に公開した記事です。
2006年3月7日(火)〜8日(水)の2日間、店主の泉二が山形県赤崩の山岸幸一氏を訪ねました。その模様を皆様にご紹介致します。
山岸幸一氏 『紅花寒染め』を訪ねて
午前4時30分から始まった染の作業が終わり、時刻は午前8時になりました。これから最上川の流水での糸洗いです。 今冬は雪が多く、裏手は雪の山。通常、出入りする土手からは川に降りることが出来ず、また工房からもいつも使っている通り道は通れません。冬の間中、山岸さんが掘り続けて作った雪のトンネル道を通ってやっと川に到着。 そして流水での糸洗いが始まりました。冷たい水音だけが響き、直ぐに周りの雪に吸い込まれるように音は消えていきます。雪の隙間から覗く私達の息は真っ白。シャッターも上がりにくくカメラのバッテリーばかりが消費される極寒の中、素手で糸洗いを続ける山岸さんの手もみるみる真っ赤に。そして赤紫に変わって行きます。それでもすべての糸を洗い終えるまで山岸さんの手の動きは止まりません。皆、感動でうるうる・・寒さで鼻もズルズル・・・
泉二がちょっと手を伸ばして糸を触らせていただきましたが、余りの冷たさに「ひゃ!!」っと声にならない叫びを上げ、たじろいでいました。
20分ほど糸洗いをしたあと干し場に移動です。
水に浸かり続けていたにもかかわらず山岸さんの足取りは軽やか。雪山を枝を掴んでエイッと登り始め、工房に戻ってきます。 かたや泉二・・・小川から自力で上がることが出来ず、「お〜い」と一声。スタッフ2人が仕方なく? 助けに行き、おっかなびっくり足元の柔らかい土手の上から、細い木の枝に捕まって手を差し出した。ととたんに泉二の手が飛びつき、体重が掛かる。スタッフ二人は引っ張られそうになり思いっきり力任せに引っ張った・・・ あらららら・・・・泉二敢え無くアジの開き状態でずるずると土手を腹ばいで引き上げられる。ビリッ・・・「あ?! 社長のコート破けたかも・・」「でも落ちるより良いからこのまま一気に引き上げちゃえ」ずるずるずる・・・。雪の土手に引きずられた跡だけ残して終わりました。
真冬の陽射しを浴びて光る紅花の糸は本当に綺麗でした。 さて、3月に訪問した山形県赤崩れの山岸幸一さん紅花の寒染めの模様を4回に分けてお届けして参りましたが、今回が最終回です。こだわりの工程、山岸さんの思いを少しでも知って頂けましたらうれしく思います。これだけこだわった山岸さんの作品。詳細につきましては、銀座もとじ和織まで、ぜひともお問合せください。最後までご拝読頂きまして誠にありがとうございました。