※こちらは2011年に公開した記事です。
草木染織作家・山岸幸一さん。 最上川の上流、山形県米沢市赤崩にある工房は、今、『寒染紅花』の季節です。「寒染(冷染)」は熱をかけずにゆっくりと時間をかけて染める技法。 草木の染液は腐りやすいため、雑菌が少ない寒い季節に染めます。 さらに「水も自分も澄んでいる明け方が一番いい」という山岸さんは、 極寒の2月、一晩かけて『寒染紅花』を行います。 ある晩、その貴重な工程を拝見させていただいたのでご紹介します。

山岸幸一さんのものづくり
7月は<紅花餅作り>、1月は<寒染>をする山岸さんのものづくり。 毎年7月に作った紅花餅で翌1月に染めます。その染めはひとつの糸で3年繰り返され、 それから織り、そして山岸さんが「よし!」と思うまで大切に棚で寝かせられます。 世に出るまでは早くても55年。店主 泉二が一番惚れ込んでいる作り手です。
7月紅花摘みAM5:00〜7:00
山岸さん栽培の
紅花を摘む季節
7月「紅花餅」作りAM7:00〜PM4:00
その紅花の花弁で
染料となる
「紅花餅」を作ります
1月「寒染」AM4:00〜7:00
紅花餅から作った
染液で染めます
1月「寒染」AM7:00〜8:00
工房の裏にある冷たい清流で糸をさらします
1月「寒染」AM8:00 寒染が完了!
紅花で染められた糸。
これを3年
繰り返します
5年後やっと完成!染めに3年、
織りに1年、
そして1年以上
寝かせてから
1月の『寒染紅花』ができるまで
PM3:00
前年の7月に作った「紅花餅」を使います
木桶に入れます
30℃くらいのお湯を入れてほぐします
そこへ、「藜(あかざ)」という植物で作った灰汁を入れます
灰汁=アルカリ分。紅色素はアルカリ性で
抽出します
液の入った木桶を布で巻きます
これから3時間、寝かせますこれから3時間、寝かせます 木桶を布で包んだ状態で3時間寝かせます。 木桶を使うのは、温度が徐々に下がるから。 →紅花餅の花びらを、低温でゆっくりと広げさせることで、 じっくりと紅色素を抽出していきます
PM6:00
紅の第一液3時間後、紅花餅から抽出した液を麻袋で漉して、絞ります。 →これでできたのが「紅の第一液」 そしてこれからまた絞った同じ紅花餅を湯に入れていきます。 この、<紅花餅を湯に入れて3時間寝かせて紅色素を抽出する> という作業を【計4回】繰り返して、紅の染液を作っていきます。
AM4:00
4回で作った絞り汁が完成。そこへ「烏梅」うばいのエキスを入れます
「烏梅」は梅にすすをかけて100日地下で蒸し、天日で干したもの
舌で酸味を確かめます。(アルカリ⇒弱酸性へ)
いよいよ糸を染めます。何度も何度も染めていきます
糸を絞ります。かなり力の要る作業
「さばき風」両手ではたいて繊維に空気を入れてさらに発色
脱水をして糸をかけます
烏梅を足しつつ作業を繰り返すとこんなに真っ赤に!
残液を温めると最後の一粒子まで紅色素が糸に吸収されますAM6:00 ~ AM8:00
紅色の糸を持って極寒の外へ。工房裏にある最上川上流の清流へ
1年目だけでなく2年、3年染め重ねた糸も
1つずつ丁寧に大切に
冷たい清流の中で糸をさらします。 何度も何度も、冷水に浸け、空気に触れさせ、を繰り返すことで、 さらに紅が発色! 当日は-12℃の極寒の朝。 山岸さんはシャツ1枚に作務衣という姿。 水に浸かった手が冷たさでみるみる真っ赤になります。
さらした後は糸を干します
ここでも「さばき風」をしながら
寒染
名古屋帯
袋帯
紬・綿・自然布
小紋・江戸小紋
訪問着・付下げ・色無地ほか
浴衣・半巾帯
羽織・コート
肌着
小物
履物
書籍
長襦袢
小物
帯
お召
小紋・江戸小紋
紬・綿・自然布
袴
長襦袢
浴衣
羽織・コート
額裏
肌着
履物
紋付
書籍