一般的な蚕より細みで、小さな繭を作りますが、吐く糸も細いのでよりしなやかで 美しい絹布を作ることが出来ます。2008年秋、「プラチナボーイの三眠蚕」は【銀座もとじ】プロデュースのもと、 世界で初めて製品化されました。出来上がったのはわずか20作品分。走りはじめたばかりの、とても稀少な糸なのです。
蚕は店頭に飾られています。桑の葉を食べてすくすくと育った蚕たち。首を振り出した(糸を吐く合図です)ので、 3日前に、蚕たちが上蔟(じょうぞく)できるようにダンボール紙で蔟(まぶし)を真似て桝目を作りました。 蚕は糸を吐くとき、上へのぼって住処を見つけてから糸を吐き始める習性があるので、養蚕農家では 木製の桝目を使います。
ちょうど今、箱の隅で繭を作っている蚕もいます。薄い糸の壁に包まれて、だんだんと壁の白さを濃くしていく 様子は本当に不思議です。球体にするために上下左右に動くたび、カサカサと、糸の壁と蚕がすれる音が聞こえます。
一方、桑の中にはまだたくさんの蚕たちがいます。 桑をもりもり食べている蚕もいますが、半分はぴたりと動きを止めて、微動だにしません。 どこか遠くを見つめたまま動かないのです。何を考えているのか聞いてみたくなります。 でもこれも糸を吐く合図。これから首を振り出したらいよいよ上蔟するはずです。