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俵屋十八代 人間国宝 喜多川俵二氏を迎えて|活動レポート

初夏の陽射しがまぶしい5月28日(土)、人間国宝であり俵屋十八代当主でもある喜多川俵二氏をお迎えして「もとじ倶楽部」を開催しました。今回は、銀座2丁目にあるカジュアルレストラン「銀兎GINTO」のバンケットルームをお借りして、12時半より開始。前半の1時間半は喜多川先生のお話、残り1時間は先生を囲んでのお食事会という初の試みで開催しました。
12時には喜多川先生とご子息の周治さんが4丁目店舗にご到着され、暫くは店舗にてお客様とお話頂いた後、会場に移っていただきました。 当日の出席者は24名。受付で新たにお好きな「和織物語」を選んでいただきご着席いただきました。実は、この「和織物語」には仕掛けがあり、後で素敵なプレゼントが当たるというものでした。
いよいよ始まりです
いよいよ始まりです
10分遅れでもとじ倶楽部がスタートです。まず先生のご紹介から始まり、その後は先生が有職織物に入ったきっかけをお話いただきました。最初は大学進学し、有職織物とは別の道に進もうと決めていた先生でしたが、予備校通いの合間に父親の仕事の手伝いを始めたのがきっかけで興味が沸き、そのまま自分の仕事になって行きました。最初の3年間は父の平朗氏から「植物染料で染めた糸と同じ色を化学染料で出してみて」と糸染めを依頼され、365日来る日も来る日も「植物染料の糸」とにらめっこの日々が続きました。それが結果的には、現在の喜多川先生の持ち味である優しくて優雅で優美な色を作り出し、それらを重ねて使うと言う基礎を作ったそうです。有職織物では「色」が一番大切な意味をもちます。特に「緑」は品良く色を出すのが大変難しく、色全体は「黄色」が支配しているのでその濃さが様々に左右し、全体を上品にも下品にもしてしまうというお話を伺いました。
皇族の装束の基礎となった織物 皇族の装束の基礎となった織物
その後は、今まで作られた作品の裂地を見せていただき、皇族の装束の基礎となった織物も見せていただきました。今回の展示会で中心的に展示されている穀や俵屋が得意とする顕紋紗なども見せていただきました。

「穀」は正式には"禾"の文字が"系"になります。

最後は三歳、五歳、七歳のお祝い着で、大変愛らしい装束に会場からは一斉に声が上がりました。それら総てが大変優雅な色と品格を兼ね備え、その貴重な織物を実際に手にとって間近で見せていただくことが出来、参加者全員がため息混じりに見惚れてしまいました。
その後もお話はどんどん進み、先生の生き様や考え方などを伺うことが出来ました。その中で特に感動したことは先生のモットーである「謙虚に生きる」ということ。先生ご自身、父、平朗氏の大きな存在に気後れし、また父親亡き後は、目標を見失い悩んだ時期もあったそうです。
貴重な裂にふれる機会も 貴重な裂にふれる機会も
そのような中で、父親が亡くなった後の5年間は、自分自身を見直すためにも、師匠であり父である平朗氏から学んだことを復習する時と位置づけ、父から学んだ作品を再度作ると言うことに没頭しました。迷ったときは「親父だったらどうしたか? 」といつも原点に還り、そこから新しい打開策を見つけていきました。そう言う中で、気後れはいつしか「偉大な師匠からマンツーマンで習うことが出来たことは、とても恵まれていたことだ」と感じることが出来、作品はおのずと作った人そのものが出るということが分かり、いつも同じ心すなわち「自分は大変恵まれているんだと感謝する心」を持ち、「決して他人をうらやむ気持ちを持たない」と言う生き方に繋がって行きました。 今は有職織物に関われたことに感謝し、父平朗氏から「自分が親になったとき娘や息子に買える値段のものを作ってくれ」と言われたことをいつも守り続けて、現在に至っているそうです。
和織物語の表紙を飾った帯柄 和織物語の表紙を飾った帯柄
盛り沢山のお話が続き、気が付けばあと10分で午後2時。先生からのご希望でもあった「お客様の意見を聞く時間」を10分ほど設けて、お話会はお開きとなりました。
最後には、ささやかな抽選会。開場時に選んでいただいた和織物語の1ページ目を開いていただき、金のシールがはってあった3名の方には、和織物語の表紙を飾った帯柄の「袱紗」がプレゼントされました。これは店主泉二が出席くださった方々の為にと、喜多川先生に特別注文して作っていただいたものでした。当たった方は満面の笑み。「折角ですから」との提案で先生の前まで進んでいただき、直接手渡しで授与していただきました。 記念撮影の後、席を移して和やかな食事会。泉二の音頭で乾杯をして食事会は開始。途中会話が途切れることが無く、当初の予定を1時間近くオーバーしてお開きとなりました。参加された皆さんの目がキラキラしていて、「参加してよかった。先生にお会い出来て本当に良かった」との声を沢山頂戴しました。 喜多川先生からも「自分よがりの作品作りは良くないと思っています。是非皆さんのお声を頂戴したい」とのお話があり、解散後も先生と語らっていらっしゃる方が多くありました。

2005年5月28日(土) 於:銀兎GINTO ZOE銀座店

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