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池田重子コレクション「時代に輝く女性たちの装い」 - 帯留編|活動レポート

空に秋の気配が漂いはじめた2009年8月22日(土)、銀座もとじにて開催された『池田重子コレクション「時代に輝く女性たちの装い」帯留編』展より、池田重子さんと、武蔵大学人文学部教授・丸山伸彦さんをお招きして「もとじ倶楽部」が開催されました。 「男性も、女性も、もっともっとお洒落していいのよ」 池田重子さんがトーク中、何度も仰っていた言葉です。トーク終了後のお客様との写真撮影の場でも、「この素材いいわね。」「この帯留素敵ね。」とひと方ずつに声を掛けられていました。尽きることのないお洒落への探究心、何十年もの時をかけて集められた数々のコレクションについて、お話をお伺いしました。 「世の中にこれだけ美しいものがあるのだから、もっとほかにもあるに違いない」そう思い、池田さんは、東京に2人、京都に1人、信頼できる目利きにお願いして収集を始めたと言います。 そうして集まったアンティークコレクションは帯留だけでも2,000点あまり。「和装の中でも装飾性の高い帯留は最終仕上げの美、それはまさに「画竜点睛」だと思っています。そしてお洒落は<自分が楽しむ+人の目を楽しませること>。向こうから着物の人が歩いてきて、遠目でも素敵だけど、近づいてきてすれ違う瞬間に、思わずドキリとする 小物使いが見えて、振り返りたくなる。そんな「さりげない」お洒落っていいですよね。「さりげない」ってとっても素敵な言葉。」小さな世界に秘めた美しさ。面積としてはわずかなものだけれど、だからこそお洒落を楽しみたくなる。思わず引きこまれるはっとする小物使い、そんな遊び心が素敵ね、と池田さんは言います。

時代ごとの帯留の変化

今回、店舗には池田重子さんの2,000展にも及ぶ帯留コレクションから、銀座もとじのために 厳選してくださった104点の帯留コレクションをお借りして展示いたしました。 <明治><大正><昭和>、3つの時代の帯留は、それぞれ大きさや趣の違うもの。その時代による特徴について、武蔵大学人文学部日本・東アジア比較文化学科教授・丸山伸彦さんにお話頂きました。
昭和の帯留 昭和の帯留
<明治>・・・海外から宝石・装飾品が輸入されてきた時代。当時の日本人たちはまだ着物を着ていた時代。それでもどうにかして身に付けたいという願望を叶える格好の場が「帯留」だった。
大正の帯留 大正の帯留
<大正>・・・大正に入ると、時代の世相が反映し、帯留は控えめなものへ変化する。表向きは地味、でもその代わり 細部の装飾にこだわったものも多い。大正中期までは、染織に対して異素材(金属など)を合わせるということ自体におもしろさが見いだされていた。
昭和の帯留 昭和の帯留
<昭和>・・・昭和に入ると、帯留自体のサイズも控えめだった大正時代より大きなものへ戻った。意匠もきもの柄に合わせるなどの装いの遊びが見られるようになった。
丸山さん:「時代によって社会・経済環境も違い、文化・芸術にも様々な影響が見られるのは当然ですが、美しさへのエネルギーはいつの時代もさまざまな形で表現され、控えめさを要求される時代には小さな帯留の精緻な装飾に凝り、華やかさが認められる時代には大ぶりで大胆な細工が発展するなど、人々の美しさへの探究心はいつの時代も尽きることがありませんでした。」
武蔵大学人文学部日本・東アジア比較文化学科教授・丸山伸彦さん 武蔵大学人文学部日本・東アジア比較文化学科教授・丸山伸彦さん

特別な帯留たち

花柳章太郎さんの帯留
Q女形役者・花柳章太郎さんの帯留を手にすることになったきっかけは? 黒柳徹子さんの番組「徹子の部屋」に4回出演させていただいたのですが、その番組を花柳さんのご子息の奥様が見られていてご連絡を下さったんです。
花柳さんのものがたくさんあるのですが、もう持ちきれいないからとお譲りくださったんです。
舞妓さんの帯留
Q他の帯留とは一線を画する大きさの舞妓さんの帯留はどうされたのですか? 舞妓のものは置屋のものなので、普通は世に出回ることはないのですが、どういうわけか集まったと京都の骨董屋から連絡が入り、駆けつけました。
舞妓にもA、Bランクがあるのですが、今回は皆様にお楽しみいただこうと、会場にはAランクの帯留を持って来ました。

店主・泉二と池田重子さんとの出会い

出会いは12年前。9年前にはもとじ倶楽部の第2回目のゲストとしてお越しいただきました。銀座の今の場所に店を構えて間もない頃です。泉二:「会うたびに胸がときめていました。お洒落だし、色っぽいし、所作がきれいで、あこがれの先生だった。
池田重子コレクション 会場にご持参くださったものたち
飲みにも連れて行っていただいて遊びも教えてもらいましたね。」「いつも、『泉二くん、本物を見ていればいつかわかるようになるよ。』 と言われてて。その言葉を心にずっと留めて、今でも全国の産地をまわり、自分の目で見て、自分の手で触って、自分の耳で聞くことを大切にしています。」それを受けて、池田さん:「本当にお話がお上手で。泉二くんはホストをしていてもNO.1だったね、っていつも言っていたの。」それを聞いて泉二は照れて真っ赤に。池田さんは懐かしそうに顔をほころばせていらっしゃいました。

和装美の極意とは?

池田重子さんと店主泉二
「男性も、女性も、もっともっとお洒落していいのよ。小物もいっぱい集められて下さい。本当に小物1つで装いが変わります。私はきものの色数は少なく着ますけど、もっといろんな色を挿してもいいと思います。
以前、桜の季節に私が八掛と襦袢に桜をあしらった装いをしたとき。母が『今日は風が吹かなくてよかったね』と言ったの。私は『どうして? 』って聞いて。だって裾がひるがえらないと桜が見えないので。そしたら『秘すれば花よ』と一言。こういうお洒落も素敵よね。」 古いものの美しさをもっと伝えて、もっともっとお洒落を楽しんでほしいと語る池田さん。帯留以外のコレクションもぜひ目にしてみたい、とお洒落心が高まる素敵なトークショーでした。

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