2014年5月15日(木)〜18日(日)まで、銀座もとじにて開催した『憧れの宮古上布展』 。 5月17日(土)には、仲宗根みちこさんをお迎えして、ぎゃらりートークを開催させていただきました。
1979年本島にある沖縄県伝統工芸指導所で3年、絣や組織織りを学んだ後、 「どこで(どの島で)織ろうか?」と考えていた時、先生に「石垣はもう(染織が)確立されていて、宮古はこれからだよ」 と言われたのがきっかけて、宮古島に行くことに決められたのだそう。宮古島は元々、両親の故郷で幼い頃から度々訪れ、 またご自身も20代の頃少し住んでいたことがあったので、自然に選択ができたと言います。 1983年宮古島に移住、工房を構えられました。以来31年間、宮古の地でものづくりを続けられています。
仲宗根みちこ作 帯作品
おばあが績んだ生成りの糸の美しさを活かす
仲宗根さんの作品は、生成りの糸そのままを活かした作品が多くあります。 そこには、おばあたちが績んだ糸への想いが表われています。仲宗根さんの糸績みのおばあとの付き合いは、温かな覚悟にあふれています。 おばあとは一度付き合いを始めたら「最後(の糸まで)面倒を見ます」と伝えるのだそう。 これは、糸の細さは歳を経ると、どうしても太くなってしまい、着尺、さらには帯にも向かないほどになってしまう ことがあるのですが、それも買い取り、自分の中でそれを活かす方法を考えるという覚悟。 その心意気によって、仲宗根さんの元には最初から、芋づる式にたくさんのおばあたちから良質な糸が集まったと言います。
宮古上布の糸 太細が違う
仲宗根みちこ作 帯作品 生成り無地
独立当初、初めて糸を購入させてもらったおばあとももちろん現在も付き合いがあり、今は90代になるのだそう。 「糸づくりが最大の課題。おばあたちとの付き合いを大切に、それぞれの糸を活かす 『顔の見える宮古上布』を作りたいと思っています」
糸の声を聞く―デザインは糸から考える
仲宗根さんは、デザインは糸を見ながら考えるのだそう。その糸を活かす一番のデザインは何か、 糸を見ていると自然とデザインが決まる、まずは糸選びが大切と言います。 またデザインは、何かのデザイン集を見てヒントを得るのではなく、ご自身の布見本を見て考えるのだそう。
布目がとにかく気になる!
「本当に布目がすごく気になるんです」 緯糸と経糸のバランスが良くないと、布目がきれいに仕上がらない。 筬の目の密度もいろいろあるので、糸の太さ細さによって、どの筬を使うか、「何度も何度もしつこく見て」決めるのだそう。 緯糸を入れた時の透け具合、布目の美しさが大切。緯糸の太さを見て、どれにどれを合わせようか、とても選んで考えると言います。