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「福田喜重〜二万色の彩光に包まれて〜」展 ぎゃらりートーク 開催レポート

2011年12月8日(木)〜11日(日)まで、銀座もとじにて『福田喜重  〜二万色の彩光に包まれて〜』展を開催させていただきました。 12月10日(土)には、福田喜重氏をお迎えして、ぎゃらりートークを開催させていただきました。
『福田喜重  〜二万色の彩光に包まれて〜』展
平成9年に「刺繍」の分野で初めて人間国宝に認定された、福田喜重氏。しかしその道は「刺繍」のみではありません。分業が基本の京都の染業界の中で、「着物をお召しになる人をもっと輝かせるものを作れないか」と、昭和46年には『福田工芸刺繍研究所』を設立し、自分が納得のいく創作の追及に乗り出しました。何と言っても「グランドとなる生地色が一番」と、自ら「地染め」「暈かし染め」「摺箔」について、博物館や染織試験場に通い、昔の人の染めたものを見て勉強し、その後は実際の職人のもとへ通われたといいます。 現在はひとつの家屋の中で、生地の選定から染色、摺箔、刺繍まで、すべて工房内にて完成させる、“着物の総合プロデュース”にて作品づくりをされています。すべてにおいて、福田喜重氏の「女性を美しく輝かせたい」という想いが染み込んだ工房から生まれる着物。それは刺繍本来の重厚な雰囲気が現代的に表現され、着物の世界に独自の境地を切り開いたと言われています。 今回は福田喜重氏の工房の様子もスライドでご紹介してくださいました。こちらでのご案内も快くご了承くださいましたので、ぜひご覧ください。

【染め】・・・染足の長い暈し

福田喜重氏がよく仰る言葉「日本は水蒸気文化の国」。湿気があるからこそ霞や靄で情景がはんなりし、朝焼けや夕焼けが楽しめる日本。その気候を活用し、絶妙な温度で(季節によっては熱を加えて)ゆっくりと暈かしを作り上げる。福田喜重氏独特の「染足の長い暈し」は、目にするだけで心が水分をそっと含むようです。
工房の1階にある 反物を張れる長い染場 工房の1階にある
反物を張れる長い染場
鹿毛の刷毛で 染めます 鹿毛の刷毛で
染めます
「染足の長い暈し」 「染足の長い暈し」
冬は備長炭で 丁寧に乾かします 冬は備長炭で
丁寧に乾かします
暈しのラインのつなぎ目を 太陽光と人工光で しっかりと確認 暈しのラインのつなぎ目を
太陽光と人工光で
しっかりと確認
【付け下げ作品】 完成すると 美しい暈しに 【付け下げ作品】
完成すると
美しい暈しに

【箔】・・・粉雪のようにふりそそぐ「摺箔」

福田喜重氏の箔は「摺箔」。染められた生地に型を置き、細かな網目からそっと箔を刷毛で摺り、まるで粉雪のように絹布へとそそぎます。
細かな網目から 箔を摺ります 細かな網目から
箔を摺ります
絹布に美しく 箔が装飾されて 絹布に美しく
箔が装飾されて
下から照らして 接合部分をしっかり確認 下から照らして
接合部分をしっかり確認

【繍】・・・一日一万回以上

一日に一万回以上、針を差すという福田喜重氏。右手から直角に差し込まれた針と糸はきゅうっという音を立てて、布地を通り、下で待ち構える左手に引き出されます。リズミカルに動く針と絹糸は、まるで福田喜重氏の手から命を授かったかのようです。
福田喜重氏 全神経を 一針にそそいで 福田喜重氏
全神経を
一針にそそいで
親指と中指で 針を持って 真っすぐに 親指と中指で
針を持って
真っすぐに
【訪問着作品】 その女性が一番 輝くように 【訪問着作品】
その女性が一番
輝くように
「女性をより美しくするために着物を作っている」という福田喜重氏。女性を一番綺麗にするものが着物だと思うからこそ、いつも気高く輝くものを作りたいと心から願う。 生地を見極め、地染めから摺箔まで多くの工程を経て、最後に刺繍を完成させる。すべての工程でものづくりリレーのバトンが手渡せる、ひとつの家屋内の工房だからこそ、福田喜重氏の想いが一貫した、完成度の高い作品が作り上げられるのでしょう。 その手を通して出来上がる作品は、私達を魅了してやみません。 (文/写真:伊崎智子) 福田 喜重(ふくだきじゅう) プロフィール 1932 年 京都市生まれ、15 歳より父喜三郎氏のもとで刺繍を学ぶ 1971 年 福田工芸刺繍研究所を設立 1976 年 第23 回日本伝統工芸展に「千翔」を出品、初入選 1978 年 第25 回日本伝統工芸展に「雪月花」を出品 奨励賞を受賞 日本工芸会正会員に認定される 1980 年 第27 回日本伝統工芸展に「生々去来」を出品 奨励賞を受賞 文化庁に収蔵される 1992 年 京都府指定無形文化財保持者(刺繍)に認定される 1993 年 第40 回日本伝統工芸展に「平安」文化庁に収蔵される 1997 年 重要無形文化財保持者(人間国宝)に認定される 1999 年 紫綬褒章受章 2004 年 旭日中綬章を受章 現在に至る

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