空間を生かした「地空き」の大島紬
「美紀大島」について
平成3年に創業した新しい織元で、現社長は二代目の山下竜己さん。
現代的な感覚とお客様の声を大切に、世の中にない新しいデザインに挑戦され、飛び柄小紋のように無地場の多い「地空き」の大島紬を得意とされています。
絣模様が少なめとなり一見容易に思われがちですが実は逆で、無地部分は色ムラ等の難が出やすく、また模様と模様の距離が離れ絣合わせの調整が難しいため、高度な技術が必要となります。
しなやかな風合いにこだわり極細の糸を使用。地空きの大島は泥染糸をより多く使うため風合いがさらに柔らかくなるそうです。
トレーサビリティーの取り組みも先陣を切って行い、10年以上前から証紙にQRコードを付け、作品名や職人名、反物の長さを記載しています。

美紀大島さんへインタビュー
1.大島紬の魅力をひと言で言うと?
大島紬の一番の魅力は泥染めです。奄美でしか染められない泥染めと締機で美しく絣を表現していくこと。他の産地にはない、立体的な絣表現できることが魅力であり、自分自身にとって楽しみでもあります。
2.美紀大島さんならではのこだわり
特徴は泥染めと総絣で表現する大島紬。他の織元には真似できない地空きや半地空きの大島にはこだわっています。
デザインについてはそこら中にあるデザインを頭の中で広げるようにいつも考えています。オリンピックに向けて遊び心でアルファベット柄を制作したり、伝統柄を現代的にアレンジしたりしています。お召になる方をイメージして制作しています。
3.奄美大島の魅力
海のきれいさもおすすめですが、奄美の森は神秘的で、本島では見れない動植物がとても魅力です。アカヒゲという鳥の鳴き声はとてもきれいです。週末を過ごすたんかんの畑では奄美の自然を感じることができます。 大浜海浜公園の6−8月に見える夕日がおすすめです。好きな郷土料理はマタ汁(アオリイカの墨汁)。2-5月が旬のアオリイカの身と墨の汁物は絶品です。
4.銀座もとじについて
泉二社長と初めて会ったのは京都で、20年以上前のことです。そのとき社長に言われた「山下くんがんばってよ、うちらもがんばるからさ」という一言で、がんばれています。銀座もとじもがんばるから一緒にがんばろう、という地元の大先輩からの地元の後輩への何気ない一言に愛情を感じました。
5.お客様へのメッセージ
自然から生まれる大島紬のやわらかさ、着心地の良さをぜひ味わってください。
美紀大島さんおすすめの大島紬
総絣の技法を用いた、織り手泣かせの難しい絣作品。総絣は絣糸を締める高度な技術が必要で、職人たちが魂込めて作った作品です。
大島紬「泥大島 大椿(地空き)」
大島紬 泥大島「総絣 芭蕉(地空き)」
大島紬 泥大島「龍(地空き)」
5月27日(金)~29(日)は、奄美大島から織元さんをお招きして展示会を開催。28(土)10時からは「ぎゃらりートーク」を予定していますので、ぜひお気軽にご参加ください。