「左前」はルール違反
「着物にはたくさんの決まりごとがあって、ルールを守って着ないと笑われるのではないか・・・」。着物姿になることに対して、少々踏みとどまっている方は、そうしたことを密かに心配されているのではないでしょうか。 しかし、特に格式張った場面以外では、ご自分が好きなように着ていただくのがよいと思います。着物の決まりと言えば、合わせが左前になってはいけないことくらいです。若者のおしゃれ感覚
それよりも、決まりごとやしきたりにこだわって、「こうしてはいけない」「ああしてはいけない」などと、着物の世界を狭くとらえてしまうことのほうが残念です。まずは、それぞれの方の自由な着こなしを少しずつ広げていかれればと思います 最近、私どもの店でも、若い20代のお客様が増えてきました。若いお客様のなかには、髪を茶色や金色に染め、長髪の方もいらっしゃいます。 着物を着るときは衿足をすっきりさせたほうがいいと一般的に言われてきましたが、このような若いお客様方にお目にかかると、長髪に着物というのも、また格好いいものだなあと感じさせられます。自分らしく着てみよう
着物の下にハイネックのシャツやセーターを合わせてお召しになれば、寒い季節など首元も暖かいですし、長襦袢に比べて洗濯も楽です。さらに、裾がすぼまった野袴のばかまなどをおはきになれば、より活動的に見えます。このスタイルなら、洋装の部分を残しつつ、着物のよさも同時に楽しんでいただけると思います。 着物ライフが続いていくにつれて、その方ならではの雰囲気というものが、だんだんと定着されていきます。実際、色や柄の選び方、着付けた感じのフィット感、小物の合わせ方、どれをとっても、「○○さんならでは」と感じさせるのです。 着物をお召しになる方が100人いらっしゃったら、実際、100通りの自由な着方が存在すると思います。まずは、ご自分がいいな、着てみたいなと思うところから、お始めになってはいかがでしょうか*左前・・・・・右の前身ごろを左の前身ごろの上に重ねることで、普通とは反対の着方。死装束のときに左前に着せる。 *野袴・・・・・裾がすぼまった、カジュアルなスタイルの袴。
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