着物の存在感
もし今、目の前を着物姿の男性が通り過ぎたら、誰もが「おっ」とその姿をしばらく追いかけるでしょう。そのくらい、着物姿というのは男女を問わず目を引くものです。 パーティーなどに着物で出掛けますと、私のことを「あの人は誰?」と尋ねている声が聞こえます。しばらくすると、私のもとに「実は着物を着てみたいのですが、どうしたらいいのでしょう」と聞きに来てくださることもあります。パリではVIP待遇
少し前に、こんなこともありました。家族でパリ旅行に出掛けたときのことです。 前日に洋装で行ったレストランに、翌日、家内とともに、今度は着物姿で訪れたのです。すると、もてなしが前日とまったく異なるではありませんか!まさか昨日も来ている客だとは、レストランのスタッフたちは思いもよらないようでした。 着物一つでこれほどまでにも違うのだと、改めて感じたひとときでした。着物姿は、大きな存在感を与えてくれるのです。着物姿は注目の的
人間誰でも、人から注目されるのはうれしいものです。ましてもてなしまで変わるとあっては、特別な気持ちになることをとがめる人はいないでしょう。 注目を集めるということは、すべてを見られていることでもあります。見られているというプレッシャーはありますが、それがかえってバネとなり、見られても恥ずかしくない自分になろうという気持ちが芽生えるのです。そして、自分自身を成長させてくれる気がします。着物で自己表現
私の尊敬する和裁師の第一人者、村林益子先生もおっしゃっています。「着るということは、自己確認であり、自己表現でもある」と。 着物は、洋服以上に強い自己表現の手段なのではないでしょうか。着ているものとともに、着ている中身にも強い自己を持たせていたいと思えるようになってきます。 前日以上のもてなしを受けたからには、前日以上の自分でありたいと自然に思わせてくれる着物の力は、日々、歩いている人生をも後押ししてくれるような気がします。着物を着ると女性にもてる!
もう一つ、着物を着ると注目されることの延長に、女性にもてるということを特筆すべきでしょう。お客様からもよく聞いていますが、着物で出掛けますと、たいていの女性は好意的に見てくださるそうです。やはり、女性にもてるのはうれしいものです。この点からも、着物の効果は大きいと言えるでしょう。*村林益子・・・・・大正14年生まれ。村林流和裁学苑苑長。「日本のきものを守る会」主宰。仕立ての技法だけではなく、着物の文化についての貴重な継承者でもある。
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