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草木染織作家・山岸幸一作「寒染赤崩紬 草萌」 着尺|創業者 泉二弘明のおすすめの逸品

創業者 泉二弘明のおすすめの逸品 草木染織作家 山岸幸一作 寒染 赤崩紬着尺「草萌」

一見、墨色と灰色の縞模様のように思えて、遠目から見ても、ただならぬ糸の光沢感と、すぐには識別できないほどの豊かな多彩が浮かび上がっている。何か人を引き寄せる織と色彩の力を湛えてやまないのは、草木染織作家 山岸幸一さんの寒染※による着尺作品「草萌」である。
草木染織作家 山岸幸一作 寒染 赤崩紬着尺「草萌」

※寒染(かんぞめ):冷染技法にて煮染をしない染め方で織り上げた山岸さんの織物に付した名称。 紅花、藍草、すくも、石榴、栗、矢車附子、五倍子、臭木の実など山岸さんの工房の周りで育つさまざまな自然の恵みが、たっぷりと染料となって、絹糸に宿るように沁み込んで、機にかかって布となっていく。山岸幸一さんは、山形県米沢市赤崩(あかくずれ)という、最上川上流に位置する、日本酒にも適した美しい澄んだ水に恵まれた地において、自然の時間軸の中で、自然の恵みによってものづくりを続けている。 山岸幸一さん制作の様子

染料となる草木を愛でるように育て、繭から優しく糸を紡ぎ、極寒の冬、川の冷水の中で糸を染め上げ、静けさの中で機に向かい織りに専念する。どの工程を切りとっても、究極の絹布の完成を追い求める佇まい美しい姿があり、作り手の魂がそこに宿っている瞬間に立ち会える。 店主 泉二弘明は、今から19年ほど前に、日本伝統工芸展でその丹精で美しく、それでいて力強い作品を目にし、一目惚れをした。その作品を手掛けたという山岸幸一さんのものづくりについて知りたいと思い、その出会いから、山形の山岸さんのもとへ幾度も幾度も足を運んだ。山岸さんに店主 泉二の想いが通じ、銀座もとじの店舗でお客様に山岸さんの作品をご紹介できるようになるまで、約5年の月日が過ぎていた。

山岸幸一さん制作の様子
その月日とともに、山岸さんのものづくりのすごさ、作品の限りない魅力をより深く知り得た泉二は、今でも山岸さんを敬愛してやまない。 「山岸さんは、仙人みたいな方なんです。
一切妥協のない、究極のものづくりを真摯に続ける山岸さんの姿に、心打たれ、心底惚れ込んでいます。わたしもあんな風に生きられたらと憧れます。」と店主 泉二は言う。
こちらの作品は、多様な植物から作り上げられた多彩な縞意匠。グリーンに墨、グレー、クリームのおだやかな彩りで表現され、少し茶がかった山吹色がアクセントとなって、あたたかみのある表情に仕上がっています。
草木染織作家 山岸幸一作 寒染 赤崩紬着尺「草萌」
1尺9分(約41.3cm)という広巾で織り上げられていますので、裄の長い男性にもお召しいただけます。 ほんのりわずかに感じる細い節糸のやわらかなリズムと、何色もの組み合わせ、またその一色ずつが幾重にも深まる味わいが満ちた草木染め独特のやわらかな彩り。草木の恵みをたっぷり含んだ糸が、重なりあうようにやさしく交差して、例えようもなく穏やかに美しい彩りを醸し出しています。そして、ふっくらと染料と空気を含んだ上質な糸によって織り上げられた豊かな風合いは、驚くほどに軽やかです。
山岸幸一さん制作の様子
「自然に甘えて流されてしまってはだめだ。自然のリズムに自分の感覚を合わせながら、世の中の動きを見据え、対比するからこそ、ものづくりができる」と山岸さんは言います。 「作家としてのこだわり」ではない。「自然と対峙する」ことで生まれてきた山岸さんの純粋でひたむきなものづくりの姿勢。出来上がる作品の美しさ、色のセンス、生地のふっくらとした質感、暗闇で浮かび上がる草木染めならではのほのかな発色、自然から生まれた草木染めの色が人間の肌の色と呼応し、美しく見せてくれる様に、大きな感動を覚えていただけることと思います。

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