創業者 泉二弘明のおすすめの逸品 プラチナボーイ 藍田正雄作 江戸小紋 徳川本家の“定め柄”「お召十 ねず」(広巾)
今月の泉二弘明のおすすめの逸品は、徳川家の定め柄「お召十」をプラチナボーイに染め上げた、藍田正雄作 江戸小紋をご紹介いたします。お柄は、徳川将軍家の"定め柄"「お召十(めしじゅう)」。藍田正雄さんならではの絶妙な美しい染め色は、やわらかくあたたかみある鼠色。さらさらとした風合いの浜ちりめんのプラチナボーイの絹布に染め上げました。江戸時代、型紙と染の技術が高度に発展した「江戸小紋」
江戸小紋のお柄の起源は、諸大名が着用した「裃」の模様付けにあると言われています。参勤交代の制度によって、大名家ごとにその柄の豪華さを張り合うようになりましたが、当時、江戸幕府から贅沢を取り締まる奢侈禁止令が発令され、着物については、布地から染め色まで厳しい規制がなされるようになりました。
藍田正雄さん秘蔵の貴重な江戸時代の裃
奢侈禁止令下で発展していった裃の柄は、遠目からは質朴な無地感に見えるようにしつつも、近付けば、緻密に彫り上げられた型紙の細かな柄が、高度な染色技法によって浮かび上がるというものでした。柄の緻密さがさらに競われながらも、やがて大名家ごとに模様が定められていくようになりました。代表的なお柄には、薩摩島津家の「大小あられ」、加賀前田家の「菊菱」、紀州徳川家「極鮫」、肥後浅野家の「霰(あられ)」などがあり、そして徳川将軍本家の"定め柄"が「お召十(めしじゅう)」です。これらの定め柄は、裃が廃止されるまで、他藩の武士や庶民が着ることはできませんでした。
最後の「渡り職人」、江戸小紋師 藍田正雄さん
こちらは、極上の絹布「プラチナボーイ」に、「お召十」の型紙を用いて、江戸小紋師・藍田正雄さんの手によって最高の技で染め上げられた、稀少な"広巾"の作品となります。裄の長い男性にもお召しいただけるよう、十分な反物巾で制作いたしております。 藍田正雄さんは最後の「渡り職人」と言われています。染めが現在よりも盛んだった頃、本場・東京のたくさんの工房を渡り歩き、多くの職人からその技を学んだ経験の豊富さ。
藍田正雄さん