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重要無形文化財 越後上布 「墨の小絣」着尺(広巾)|店主 泉二弘明のおすすめの逸品

店主 泉二弘明のおすすめの逸品 重要無形文化財 越後上布 着尺「墨の小絣」(広巾)

今月の泉二弘明のおすすめの逸品は、"布の宝石"越後上布。 年間生産反数が30反程度という大変希少価値の高い「越後上布」は、1955年に国の重要無形文化財に指定され、2009年には、ユネスコ世界文化遺産に指定されました。後世に残していくべき歴史的・文化的価値の高い染織品として、認められています。 2013年5月は、銀座もとじ店主 泉二弘明が総力を挙げて集めました"布の宝石"「越後上布」をご紹介します。

年間制作反数、30反程度という稀少性※

今月開催の「布の宝石 越後上布展」では、大変希少性が高く、年間生産反数20~30反ほどと言われる重要無形文化財の認定を受けることのできる越後上布を15点以上、そして同じく重要無形文化財である小千谷縮を2点以上、店主 泉二弘明が総力を挙げて集めました。 日本全国に渡っても、入手が困難となりつつある、本当に稀少性の高い織物として有名な「越後上布」、現在では、原料となる苧麻糸を績む人が激減し、どんどん生産反数が減り、近い将来には「幻の布」になると言われています。
年間制作反数約30反 稀少な越後上布
※年間総数はその年のカラムシ(苧麻)の状態で前後します。

日本最古の織物、熟練の技を要する糸作り

越後上布の歴史は古く、1200年前から織られている日本最古の織物です。 江戸時代後期、商人、随筆家として知られた鈴木牧之(すずきぼくし)が雪国である魚沼郡の生活を記して出版し、当時の江戸でベストセラーとなった、「北越雪譜」に、越後の織物について 「雪中に糸となし、雪中に織り、雪水に濯ぎ、雪上に晒す。」 と詠んでいます。それほど、越後上布は「雪の中から生まれる織物」とも言われています。
越後上布の雪晒し
越後上布は、1955年5月、国の重要無形文化財、第一号の指定産地としても認定されました。 越後上布の緯糸は撚り合わせて作りますがそれでも一反分を仕上げるのに約3ヶ月。経糸は一本ずつを結び合わせるため出来上がりまでに7ヶ月ほどもかかります。経糸作りの方が熟練した技術が必要で、その技を継ぐ職人が本当にわずかとなってしまっているのです。 長さを揃えて刈った苧麻の皮を裂いて作る糸は、その年の気候と職人の技術が問われます。また、越後上布の特徴は苧麻の栽培が一毛作であることにもあります。土の栄養が1回に凝縮されるため、他の上布とは別格とされる、やわらかくしなやかな糸が作り出せるのです。 また、越後上布の特徴として、「雪晒し」が有名です。白地の越後上布は3~4月の雪解けの頃、天気のいい時に、一面の雪野原に反物を広げます。紫外線が雪に当たるとオゾンが発生し、生地が漂白されると言われています。 越後上布 制作の様子

夏の憧れの上布

重要無形文化財 越後上布 着尺「墨の小絣」
日本の夏、雪に育まれた、自然素材と確かな熟練の手技による涼やかな"上布"を纏うことは、きものがお好きな方にとって、この上なく贅沢な着心地を味わえる、夏時期ならではの楽しみ・悦びです。
今月、店主 泉二弘明が、逸品に選んだひと品は、<重要無形文化財 越後上布 着尺「墨の小絣」>。 涼やかな墨色の地に、細かな白の絣模様をあしらったすっきりとした意匠のさりげない仕上がりが、とても上品です。反物を手にしていただくと、驚くほどのしなやかさを感じられると思いますが、それは、極細の上質な苧麻糸によるもの。それを地機という古来からの伝統の機で織り上げ、『重要無形文化財』の指定条件を満たして仕上げられた、まさに極上の逸品です。 そしてなにより、その肌さわりの良さは格別です。ほどよいハリ感と、ふわりとやわらかに肌に添う極上の質感をまとわれた瞬間、必ずや至福の時間を感じていただけることでございましょう。

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