店主 泉二弘明のおすすめの逸品 草木染織作家・山岸幸一氏「銀座の柳染め」着尺
「山岸さんは、仙人みたいな方なんです。一切妥協のない、究極のものづくりを真摯に続ける山岸さんの姿に、心打たれ、心底惚れ込んでいます。わたしもあんな風に生きられたらと憧れます。」
自然の恵みを集めて、きものや帯、角帯の制作を手掛ける、草木染織作家、山岸幸一氏。
プラチナボーイ 銀座の柳
銀座もとじでは、2011年3月15日(木)から18日(日)まで、「草木の命と生きる 山岸幸一展」が開催されます。5~6年という長い年月をかけて生み出された作品が、一同に揃います。 山岸さんの作品は、草木の染料を用いて、1年、2年、3年と糸が染め重ねられ、約5~6年の歳月を経て完成されます。それは素材の命がもっとも輝くときを見極めながら作品づくりが手掛けられているため。 今回、銀座もとじが数年前に、山岸さんに作品作りをお願いするために託した“プラチナボーイの糸”と“銀座の柳の葉”を用いて完成された着尺がそれぞれ2点、銀座もとじに届きました! 銀座の柳の葉から染料を取り、糸を染めた作品が、今月の逸品でご紹介しているこちらの作品です。寒染め
寒染(かんぞめ)とは、山岸幸一氏が織り上げた織物の名称で、特に冷染技法にて、煮染をしない染め方で織り上げた織物にこの名称を付しています。
山岸さんは、工房を構える山形県米沢市赤崩の最上川の流水で、冷やし染めを行っています。
春来夢
山岸幸一氏が織り上げた織物商品の名称で、特に黄金繭の色素を抽出し白繭の糸に染め上げて織り上げた織物にこの名称を付しています。 黄金繭そのものの糸で織り上げたものではなく、黄金繭から色素を抽出したものです。それにより美しい黄金色を糸に再現することを可能にしています。空洞状にふっくらと紡がれ、草木の染料をたっぷり含んだ糸
こちらは、反物の端の部分です。糸が草木の染料をたっぷり含んでふっくらとしています。一反の着尺を織るためには、約1~2キロの真綿が必要になります。山岸氏は糸のつやを出すために蚕を生きたまま保存し、糸を作る時は水に生繭を入れ、徐々に煮立てたら、すぐに水に浸けて絹綿帽子を作ります。