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第二回:習うより慣れろ(2)~前編~|泉二弘明の”きもの生活のすすめ”

「銀座もとじ」を開いてから10年ほどたったころ、これからは、「男のきもの」の時代がやってくると考えはじめていました。その頃わたしは、男性のお客様が求めていらっしゃるものを真に理解し、期待に答えていくために、これからは自ら着物で生活しようと心に誓い、思い切って洋服を全部捨ててしまいました。その日から、わたしは365日いつの日も着物で過ごしております。 洋服から着物に着替えて生活をはじめてみると、最初のうちは実にいろんな“やけど”をしました。さまざまな場面で幾度もやけどを繰り返すうちに、だんだんと着物での自然な所作が身に付くようになりました。そして、単に衣服というだけでなく、着物に付随する伝統や文化などについても学ぶことも増えてまいりました。“やけど”の経験なくしては得られなかった、伝統や文化などにも関心を持ちながら着物の所作を学び続けることで、自然と体からにじみでるような、自分自身のものとなっていくのではないでしょうか。 それは人生と同じで、人間は何か新しいことをはじめようとすると必ず失敗をします。 挑戦を試みなければ失敗もありませんが、失敗を経験しなければ、成長もありません。
失敗を繰り返すことで、人間はそこから学び、成長していくものではないでしょうか。 さて、着物を着てみたい、とお考えの男性の皆さん、ぜひご自宅に眠っている浴衣(または、お爺様やお父様のおきものでも)を引っ張り出して、試しに実際に着て過ごしてみませんか?まずは、“習うより慣れろ”です。とにかく和服を身につけてみましょう。
男のきものに力を入れ始めた頃、若き日の店主 泉二弘明
例えば、会社から帰ってスーツを脱いだら、浴衣に着替えてみましょう! 早速浴衣に着替えてみると、洋服とは随分感覚が違うものですよね。洋服との感覚の違いは、さまざまな所作の中にも表れてきます。 仕事を終えて帰宅した後の美味しいビールを飲みながらの夕食時、ビールのグラスに手を伸ばしたつもりが、袂(たもと:袖の下に垂れ下がった部分)が醤油差しに触れてしまい、倒れてこぼれてしまった・・・。 夕食後、書斎に入ろうとして扉を開こうとドアノブを回そうとしたら、今度は袖がノブに勢い良くひっかかって、少しやぶけてしまった・・・。 わたし自身も、着物を着始めてから、日常生活の中でそういった失敗を沢山繰り返してきました。そうやって一つ一つ失敗の体験をすることから、食卓の上のものを取るときやドアノブを回すときには、自然と左手で右袖の袂をそっと押さえる、ということを学び覚えます。また、車に乗り込む時は、いきなり車内に足を踏み入れようとすると、和服では裾がすんなり開かないため、うまく乗りこむことができません。そのうちの車に乗り込むときは、先にお尻をすとんと座席に乗せてから両足を乗せるようにするといった、着物ならではの所作がひとつひとつ、自然と身についていくようになります。 ときには、歌舞伎などの観劇にでかけ、役者さんの美しい所作や観に来られている着物姿の方々の振る舞いなどを観察してみることも勉強になるでしょう。着物の上手な着方、着物ならではの美しい所作が自分のものとなっていくようにするためには、とにかく“習うより慣れろ”です! はじめは、毎晩スーツを脱いだら浴衣に着替え、気楽に過ごせるご自宅で、たくさんの失敗をしてそこから学んでみませんか? そして、少し慣れてきたら着物での外出を目指して、ご自分の体に合うきものをぜひ一枚仕立ててみてはいかがでしょうか。

 

泉二弘明の”きもの生活のすすめ” 一覧

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