和装の決まりごと
和装には、未だに洋装より厳密な決まりごとがあります。その中でも、現代の生活様式とはやや離れるため、分かりにくいのが着物の格付けでしょう。 間違うと問題になるのは、礼装など改まったものの場合がほとんどです。つまり、礼装以外については、あまり堅苦しく考えなくても大丈夫と思ってください。 これは洋装でも同じことで、改まった席に出席するときには、その「場」に対しても、自分以外の出席者に対しても敬意を表する意味で、まず、身なりを整えることは最低限のマナーだからです。迷ったときは、より格上に
まず、基本を押さえておけば間違いはありません。迷ったときは、より格上にしておけば、基本的には失礼にはあたりません。 もちろん、あまりかしこまっては浮いてしまいますし、和装は目立ちますから、友人の結婚式に招待されて第一礼装で出席してしまうと、新郎に間違われる確率は大変高くなりますので、ご注意ください。紋について
具体的には、紋の数は一つより三つ、さらに五つと増えるごとに、格が上がっていきます。すでに染め上がった反物に後からでも加えられる「縫い紋」よりは、「染め抜き紋」のほうが格が高くなります。 ちなみに、紋の大きさは、男性用が直径3.8センチ、女性用が1.9センチとなっており、大きさが違います。価格と格は別もの
ただ、頭に入れておいていただきたいのが、格がどうかということは、着物の価格とは別ものだということです。例えば、ペストクオリティのものでなくても、それに紋が付いていれば、質や価格の高い紬よりも、格の点では勝るというわけです。以下に、具体的にまとめてみました。第一礼装
最上格は、洋装で言うと燕尾服(えんびふく)にあたる第一礼装です。招待状に「ホワイトタイ」の指定があるような特別な席とお考えいただければと思います。 この場合は、長着と羽織は揃いの黒羽二重(くろはぶたえ)に染めの五つ紋付。羽織ひもは丸打ちの白、衿も白です。これに角帯と仙台平の縞の袴を付け、袴のひもは十文字結びにします。小物は白扇、履き物は白足袋に白鼻緒の畳表の雪駄です。準礼装
次がモーニングやタキシードにあたる準礼装、あるいは略礼装と呼ばれるスタイルです。この装いは、第一礼装より幅があります。色はモノトーンの必要はなく、着物も袴も無地であれば色物で構いません。紋は染め紋で少なくても三つは入れましょう。半衿や履き物、扇などの小物は白で統一します。パーティや友人の結婚式には
友人の結婚式やパーティーなどのやや改まった席の場合には、長着と羽織は、お召しや紬の無地の対(つい)の色紋付を合わせます。紋は、縫い紋の三つ紋や一つ紋でも構いませんし、衿も、色物を持ってくることができます。 やや崩すのであれば、衿はグレーなどの薄い色物に、雪駄の鼻緒も黒や紺にしてもよく、紋は縫い紋でも、また、三つ紋や一つ紋でも問題ないでしょう。おしゃれ着から普段着まで
ここから先は、それほど難しく考えることはありません。外出着でも袴を着ければより改まったスタイルになりますし、紬の羽織・袴ならスーツに相当します。この場合の衿や足袋は、色物のほうがおしゃれでしょう。 このほか、長着と羽織のアンサンブルや色、素材違いの組み合わせ、長着に帯のみの着流しと、次第にカジュアルになっていきます。さらに素材をウールにしたり、帯を兵児帯にすれば、かなりカジュアルな普段着、家庭着になります。男の着物人生、始めませんか 一覧