―「考土 code ― 奄美 ―」から、次の問いへ
このたび、Mikke GALLERY(東京・四ツ谷)にて、「Mikkeキュレーターズ・コンペティション アーカイブ展『Re; Archive』」が開催されます。
本展は、Mikke GALLERYが主催する公募企画「キュレーターズ・コンペティション」の関連イベントとして、過去の選出企画を振り返り、新たな視点で編み直す、特別なアーカイブ展です。
銀座もとじでは、2025年春に開催された企画展「考土 code ― 奄美 ―」が、同コンペティションにおいて特別賞を拝受し、キュレーターとして初の試みに挑戦させていただきました。
泥染めをはじめとする奄美の風土と染織の魅力を、現代の写真表現と交差させながらひも解いた本展は、多くのご来場者の方々から温かな反響をいただきました。
今回の「Re; Archive」では、その「考土 code ― 奄美 ―」をふたたび取り上げていただき、選出企画のひとつとして再構成した展示が展開されます。
時を経たからこそ見えてくる問いや、新たな角度からの気づきを共有する場として、銀座もとじにとっても貴重な経験となります。
お近くにお越しの際は、ぜひお立ち寄りくださいませ。
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展示概要
YOTSUYA ART MONTH | Gallery企画「Re; Archive」展
会期:2025年10月25日(日)〜12月8日(月)
時間:13:00〜19:00(最終日は17:00まで)
会場:Mikke GALLERY
〒160-0004 東京都新宿区四谷1丁目4
JR四ツ谷駅徒歩30秒
開廊時間│11:00−19:00
休廊日│火・水
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参加者:沓名美和、丹原健翔、緑川雄太郎、李静文、黄志逍、張瑩、斯波雅子、泉二啓太
主催:Mikke(一般社団法人Open Art Lab)
助成:アーツカウンシル東京 [東京芸術文化創造発信助成(単年助成)] 芸術創造活動
協力:鏑木由多加、株式会社TODOROKI

〈Mikke GALLERY〉
2024年8月、一般Open Art Labが次世代キュレーターとアーティストの育成を目指して東京・四ツ谷駅前にオープンした複合文化施設です。ギャラリー、ウィンドウギャラリー、アーティストスタジオの3つを備え、斬新なアート表現の創出を支援しています。
「Mikke」という名前には、江戸時代から学術や外交の拠点として発展してきた四谷"見附"にほど近い場所で、新しいアートのあり方や楽しみ方、そして才能を「見つける」場にしたいという思いが込められています。
Mikke Gallery 四谷駅前ビル 5F
〒160-0004 東京都新宿区四谷1丁目4
JR四ツ谷駅徒歩30秒
開廊時間│11:00−19:00
休廊日│火・水
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展覧会タイトルと企画背景
「考土(こうど)」——その土地を考えること
「code(コード)」——その土地の素材や要素を紐解くこと
本展は泉二にとって初のキュレーションとなる展覧会であり、6組のアーティストによる作品を通じて、奄美の自然と人、そして染織の未来を多角的に捉える試みでもあります。
「考土」というテーマには、奄美という地を起点に、人々が暮らしてきた土地に宿る記憶や、そこに根ざした素材、技法、価値観に改めて向き合うという視点が込められています。
アーティストたちはそれぞれの感性で奄美の自然や文化を掘り下げながら、他の土地にも通じる普遍的な問いを投げかけます。土地の「コード(code)」を読み解き、編み直すことで、過去と未来、個と地域、伝統と創造のあいだに新たな接点を見出すことを目指します。
「考土」ステートメント
地を知ることは、その土地の記憶を辿ることでもある。
産業革命以降、人々の暮らしは豊かになってきた一方で、産業がもたらす物流によって、地域性(ヴァナキュラー)や風土特有の素材の価値が薄れ、代替可能なマテリアルが日常に広がってきている。
大地を掘り、その土をみつめることは土着的な素材の豊かさを再発見・再解釈することに繋がるのではないか。これが活動としての“考土”が目指す指針となった。
今回の展示では、奄美大島という琉球と大和の文化が混合する亜熱帯特有の環境に着目した。
島の総面積の約80%が山地で占められている奄美、世界的にみれば乾燥地域が大半を占める緯度に位置していながら、年間降水量が約3,000mmもあることで「亜熱帯雨林」の森が形成されている。
その地が産みだす糖は黒糖焼酎となり、大地がもつ泥は紬となり、奄美の二大産業となった。
かつて奄美では上質な泥を意味する“ジョウミチャ”と呼ばれる泥田が存在していた。
特別な場ゆえ、自分だけのものとして秘匿されてきたが、時代の変化とともにその価値が忘れられ、次第に失われていった。
今回、2年の歳月をかけて奄美の大地を探っていくなかで、新たな“ジョウミチャ”とでくわすことができた。かつてのような消費されてしまったマテリアルとしての流用ではなく、奄美の大地の財産として、未来へ伝え、継承していく一躍を担うことができないかと思い、出展作家の協力のもとに展示作品の一部として表現した。
奄美の工芸としては車輪梅と泥で染めを100回ほど重ねることで色に深みが増し、「漆黒」という大島の染めの独特の価値を生み出す。今回は車輪梅に限らず、奄美の大地に自生する違った草木に焦点を当ててみた。月桃、椎木、ヒカゲヘゴ、福木と泥を染め重ねていく試みにより、泥染の色味がまた違った広がりへと色が現れた。
土着的生産物の根底にある、土。 大地という芳醇な価値と向き合うことは今までの文化や産業の礎を尊重しつつも、新たな捉え方を生み出すきっかけが見えはじめるのではないか。
「考土(こうど)」とは、その地のなりたちを考えることであり、「code(コード)」とは、その地の素材や要素を現代的に紐解くことである。
自然の化学がここにある。
泉二啓太
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〈お問い合わせ〉
銀座もとじ本部 03-5524-3222