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文豪は「結城紬」をどう描写したか~小説の中の結城紬~

明治・大正時代も、結城紬は憧れの着物でした。
その当時に書かれた小説には、人物の立場や性格、知性や品性、貫禄等を端的に表すアイテムとして結城紬がしばしば登場します。
文豪たちは結城紬をどう描写したのか。小説の一部をご紹介します。

夏目漱石「吾輩は猫である」(明治38年)

兄の記念(かたみ)とかいう二十年来着古るした結城紬の綿入れを着たままである。
いくら結城紬が丈夫だって、こう着つづけではたまらない。
所々が薄くなって日に透かしてみると裏からつぎを当てた針の目が見える。主人の服装には師走も正月もない。

飼い主である「主人」がいつも着ているのは「結城紬の綿入れ」。
無頓着なようで良い物を知っている、主人の人となりが見えてきます。


森鴎外「百物語」(明治44年)

かう云う時の習いとして、最初は一同遠慮をして酒肴に手を出さずに、只睨み合ってゐた。
そのうち結城紬の単物に、縞絽の羽織を着た、五十恰好の赤ら顔の男が、
「どうです、皆さん、切角出してあるものですから」
と云って、杯を手に取ると、方々から手が出て、杯を取る。割箸を取る。
盛んに飲食が始まった。

「百物語」の催しへ向かう舟の中の一幕。酒肴の場を進行させる登場人物の貫禄が、装いで表現されています。


芥川龍之介「鼠小僧次郎吉」(大正9年)

一人は色の浅黒い、小肥りに肥った男で、形の如く結城の単衣物に、八反の平ぐけを締めたのが、上に羽織った古渡唐桟の半天と一しよに、その苦みばしつた男ぶりを、一層いなせに見せてゐる趣があった。

冒頭では二人の男性が登場しますが、親分と呼ばれる男が着ているのが結城紬の単衣。装いの描写により、落ち着きや格を印象づけています。


川端康成「舞姫」(昭和29年)

「ぼんやり同乗して、おまえはまた、何か買ったんだろう」と矢木に言われて、波子はぐっとつまった。
結城のいい蚊がすりを見て、八木のために、取っておきたいようだった。
これまでなら無理をしても、夫に着せただろうと考えると、波子は二重に気がとがめた。

川端康成「風のある道」(昭和34年)

師匠は青っぽい結城かすりの着物に茶色の羽織姿で白い胴丸の花瓶に椿と小桑蔓を生けているところだった。

川端康成自身も着物好きとして知られていますが、小説内にもよく着物が登場します。「舞姫」では、夫のために誂えてあげたい着物として結城紬を選ぶところに、妻の育ちの良さがうかがえます。


《動画公開中》インスタグラム ライブ配信

茨城県結城市の「奥順株式会社 本社」から生配信にて、結城紬の歴史や魅力をご紹介しました。
配信日時:2020年11月1日(日) 20:00~21:00頃


お問い合わせ:
03-3538-7878(銀座もとじ和織)
03-5524-7472(銀座もとじ 男のきもの)
メールでのお問い合わせ:
info@motoji.co.jp

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極みの単衣 本場結城縮|和織物語

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工芸ライターの田中敦子さんに執筆いただきました。

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「啓(ひらき)のもと」は、二代目 泉二啓太が案内人となり、これからを担う世代にむけて、伝統文化にめぐり逢う機会を提供する未来創造型プロジェクトです。第2回目では奥順株式会社の専務取締役、奥澤順之(おくざわよりゆき)さんをゲストにお迎えしました。

「啓のもと」について詳細はこちら

動画時間:1時間36分13秒

“軽くて暖かい。着れば着るほどに良くなる着物”として「経年進化」を楽しむことのできる魅力的な絹織物『本場結城紬』。国の重要無形文化財指定、ユネスコ世界遺産に登録されている世界最古とも言われる織物です。
第2回目ではこの本場結城紬の未来を担う若き後継者、奥順株式会社(創業112年)の専務取締役『奥澤順之(おくざわよりゆき)』さんをゲストにお迎えし、二千年の悠久の時を経て継承され続けている手仕事、奥澤氏が思い描く今後の結城紬の未来についてお話しいただきました。

《動画内容》
0:00~ はじめに
8:50~ 重要無形文化財について
12:12~ 紬糸について
14:55~ 奥澤専務登場
16:16~ 結城紬について
21:54~ 真綿について
25:20~ 糸つむぎについて
32:40~ 製作工程動画
41:50~ 地機と高織のちがい
43:15~ 絣くくりについて
46:55~ 結城紬の歴史について
53:45~ 結城縮について
58:10~ 戦後、結城の方の熱い思い
1:06:20~ 亀甲柄について
1:20:20~ 作り手の現状
1:11:55~ 門外不出・幻の250亀甲
1:15:40~ 現代の結城紬
1:23:58~ 今後について
1:29:58~ 質疑応答

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