眞帆志ぶきさん|泉二の一口対談

第12回:眞帆 志ぶき さん (ミュージカル俳優)

今回のお客様は、宝塚歌劇団で15年間トップスターの地位を維持し、その後も、女優として芸能活動を続けている眞帆志ぶきさんです。3年前に泉二が創業21周年記念として有楽町のシルク会館で催した、「銀座好みの大島紬」展にひょっとしたご縁からご来店賜りました。それからのお付き合いで、今回は着物と舞台のお話をしていただきました。

<眞帆 志ぶき プロフィール>

宝塚音楽学校を主席で卒業し同年宝塚歌劇団に入団。その後トップスターの地位に就く。
歴代のトップスターの中でもトップ オブ トップといわれる存在で、15年間トップスターとして宝塚に君臨。この記録は未だに破られていない。
代表作には鬼の振付師といわれたパディーストーン氏による「シャンゴ」、演出家・鴨川清作氏による「ノバボサノバ」など多数。演出の鴨川清作氏、振付のパディーストーン氏とのトリオは多くの人から絶賛された。
1974年宝塚歌劇団を惜しまれつつ退団。
「シャンゴ」「第1回 眞帆志ぶきリサイタル」で芸術祭賞を受賞。
芝居、踊り、歌と三拍子揃った男役で現在は女優として歌、芝居で活躍中。
愛称はスータン。

着物姿が

泉二:

こんにちは。本日はようこそおいでくださいました。

眞帆:

こんにちは。今日は宜しくお願いします。今、泉二さんがおっしゃったお言葉は、宝塚の開演のときにいつもアナウンスするんですよ。「本日はようこそ宝塚大劇場にお越しくださいました。○○組の○○です。」って。懐かしいです。

眞帆志ぶきさん
帯を3本使ったショールをまとって歌う眞帆志ぶきさん

泉二:

そうですか。僕はまだ宝塚を殆ど観た事が無いんですけど、女性が多いんですよね。

眞帆:

そうですねえ。圧倒的に(笑)。でも結構男性ファンもいらっしゃるんですよ。泉二さんの所も背の高いスタッフさんが多いですね。男性も女性もモデルさんみたい。身長で言ったら宝塚の男役になれそうな女性も多い(笑)。着物も着映えがしますね。

泉二:

ありがとうございます。 私なんてお蔭でいつも上を向いて話さないといけないので結構疲れますよ(笑)。首が痛い。で、時々座ってもらってこっちが立って上から叱る(笑)。

眞帆:

あはは。工夫されてるんですね。

泉二:

そうです(笑)。上向いて怒鳴るのもシンドイですからね(笑)。さて、冗談は抜きにして、近頃は背の高い方が多いのでうちのスタッフが着物を着ていると、安心されますね。「裄」とかの見本に成れるので。

眞帆:

そうでしょうね。私も身長が有るので裄とか長いんですよ。だから以前は男のきものなら良いけれど女性物は裄が足りなくて苦労しました。

泉二:

そうでしょうね。着物の世界は織り巾とかの問題でちょっと進歩が遅かったのでね。

他人の目で磨かれる

泉二:

眞帆さんに初めてお目にかかったのは、私どもの21周年記念の「銀座好みの大島紬展」の時でしたよね。シルク会館へお越しいただいて。

眞帆:

そうですね。たまたま私の学生時代からの友人の娘さんが泉二さんの所にお世話になっていたので彼女に誘われてお邪魔しました。彼女が初めて着物を着るって言うので見に行ったんですよ。それに実は母が名和好子と言って日本デザイン協会の理事長をしていた人なんですね。だからちょっと着物とは縁があるんですね。ただ、私は宝塚という環境で育ち、男役だったのでその延長でパンツ姿が多いですし、宝塚時代は着流しスタイルで角帯ですからね。着物と縁はあったのですが、着方が違う。でもやっぱり好きですね。背筋が伸びますし、びしっとしますもの。

泉二:

そうですね。私も365日着物で通しているのですが、人目のシャワーを浴びて自分自身を磨かなくてはと思いますし、普段から心構えが変わりますね。

眞帆:

他人の目って大事ですよね。私達舞台人はそれで育てられ磨かれるんですよ。自分の良い点も悪い点も全て指摘されますし、それを自分で受け入れて良い方へ持って行かなければ成らない。自分の顔の欠点、体型の欠点なんてもう嫌というほど知らされます。

泉二:

そうなんですか。やっぱり厳しいんですね。今の言葉私どものスタッフに聞かせたいです。

「舞台にふさわしく・・・」

泉二:

3年前シルク会館にお越しいただいたときパッと華やかな雰囲気がして、やっぱり一時代を築いたスターさんは違うなって思いましたね。

眞帆:

ありがとうございます。でも泉二さんも最初にお目に掛かったときと今では違いますよ。どんどんお店を広げられてその自信が顔に表れている。以前とは断然違うお顔立ちになっていますよね。自信に溢れていると言うか。

泉二:

そうですか。いや、お恥ずかしいです。

眞帆志ぶきさん
男役の姿が凛々しい眞帆志ぶきさん

眞帆:

舞台が揃うとやっぱりそれにふさわしい人間になろうと努力するじゃないですか。私もそうだったんですが、大劇場の真ん中に立つ立場に立ったとき何が何でもガムシャラに努力してその器にふさわしい人間になろうとしました。器用ではないので人の倍以上努力したかな。

泉二:

そうですか。お見受けするとまた他の人から伺うと何でも出来たって聞いていたので羨ましかったのですが、やっぱり色々と努力するんですね。私は努力と言うよりは時流に乗ったと意う方が正しいかな。時代の風を読む勘は有るんですよ

眞帆:

素晴らしい! それも才能ですよね。それに努力もあるだろうし。

DNAが呼ぶ・・・

泉二:

着物はあまりお召しになりませんか?

眞帆:

普段はなかなか着ませんね。舞台も私の場合はリズムに合わせて踊るというのが多いので着物ではなかなか。ただ、一昨年の夏に「広島の原爆を描いたシリーズの一人芝居」をした時に舞台で着物を着たんですね。勿論女性の扮装でですよ(笑)。ボブカットに着物姿で。学生時代から日舞もしていましたから所作は出来るのでそれなりに着て動きましたけど。その時「あ! 着物って良いかも」って思いました。ちょっと懐かしいようなほっこりするような。そんな体験をしましたね。やっぱり日本人なんだなあって思いました。

泉二:

近頃そう仰って着物に入ってくださる方が多いんですよ。嬉しいですね。やっぱり日本人には着物姿が似合いますよね。

眞帆:

そうですね。生前のひばりちゃん(美空ひばり)とは結構交流があって彼女の舞台化粧とか見てあげたことがあるんですが、彼女が着物着て歌っている姿はとっても綺麗でしたよね。

泉二:

そうですね。着物ってその人の素が出る気がするんですよ。だから年齢を重ねていった人ほどにじみ出る何かがあるような気がして。是非着て欲しいですね。

眞帆:

そうですね。母からの着物も結構あるので私もそろそろチャレンジして見ようかな。

泉二:

是非是非・・・・

時代を読んで・・・

眞帆:

泉二さんのお店は本当に今の感覚がありますよね。 あの中に居ると感覚が研ぎ澄まされていく気がします。着物も現代調でありながら上品で優雅で。あの調子なら着てみたいと思う方がどんどん増えてくるんじゃないかと思いますよ。

泉二:

ありがとうございます。私はやっぱり今の街並みに合う着物を提案したいんですね。洋服の間に居ても悪目立ちしない着物を提案したい。だから眞帆さんみたいに色々な場所で綺麗なもの、時代に合うものを見ている方にそう言って頂けると嬉しいですね。

眞帆:

着物は日本の文化ですからね。ずっと続いて欲しいと思っています。これからも頑張って今の時代に合う上品で綺麗で優雅な着物を提案して言って下さい。

泉二:

ありがとうございます。頑張ります。今日は有難うございました。

[対談日:2004/10/22 筆:荒井博子]