山岸幸一さんの工房見学〜寒染紅花の季節です〜

草木染織作家・山岸幸一さん。
最上川の上流、山形県米沢市赤崩にある工房は、今、『寒染紅花』の季節です。

「寒染(冷染)」は熱をかけずにゆっくりと時間をかけて染める技法。 草木の染液は腐りやすいため、雑菌が少ない寒い季節に染めます。 さらに「水も自分も澄んでいる明け方が一番いい」という山岸さんは、 極寒の2月、一晩かけて『寒染紅花』を行います。
ある晩、その貴重な工程を拝見させていただいたのでご紹介します。
寒染

山岸幸一さんのものづくり

7月は<紅花餅作り>、1月は<寒染>をする山岸さんのものづくり。 毎年7月に作った紅花餅で翌1月に染めます。その染めはひとつの糸で3年繰り返され、 それから織り、そして山岸さんが「よし! 」と思うまで大切に棚で寝かせられます。 世に出るまでは早くても55年。店主 泉二が一番惚れ込んでいる作り手です。

7月紅花摘み AM5:00〜7:00 山岸さん栽培の 紅花を摘む季節
7月紅花摘み
AM5:00〜7:00
山岸さん栽培の
紅花を摘む季節
7月「紅花餅」作り AM7:00〜PM4:00 その紅花の花弁で 染料となる 「紅花餅」を作ります
7月「紅花餅」作り
AM7:00〜PM4:00
その紅花の花弁で
染料となる
「紅花餅」を作ります
1月「寒染」 AM4:00〜7:00 紅花餅から作った 染液で染めます
1月「寒染」
AM4:00〜7:00
紅花餅から作った
染液で染めます
1月「寒染」 AM7:00〜8:00 工房の裏にある冷たい清流で糸をさらします
1月「寒染」
AM7:00〜8:00
工房の裏にある冷たい清流で糸をさらします
1月「寒染」 AM8:00 寒染が完了! 紅花で染められた糸。 これを3年 繰り返します
1月「寒染」
AM8:00 寒染が完了!
紅花で染められた糸。
これを3年
繰り返します
5年後やっと完成! 染めに3年、 織りに1年、 そして1年以上 寝かせてから
5年後やっと完成!
染めに3年、
織りに1年、
そして1年以上
寝かせてから

1月の『寒染紅花』ができるまで

PM3:00

前年の7月に 作った 「紅花餅」を使います
前年の7月に作った
「紅花餅」を使います
木桶に入れます
木桶に入れます
30℃くらいのお湯を入れてほぐします
30℃くらいのお湯を入れてほぐします
そこへ、「藜(あかざ)」という植物で作った灰汁を入れます
そこへ、「藜(あかざ)」という植物で作った灰汁を入れます
灰汁=アルカリ分。
紅色素はアルカリ性で
抽出します
液の入った木桶を 布で巻きます
液の入った木桶を布で巻きます
これから3時間、寝かせます
これから3時間、寝かせます
これから3時間、寝かせます
木桶を布で包んだ状態で3時間寝かせます。
木桶を使うのは、温度が徐々に下がるから。
→紅花餅の花びらを、低温でゆっくりと広げさせることで、 じっくりと紅色素を抽出していきます

PM6:00

紅の第一液
紅の第一液
3時間後、紅花餅から抽出した液を麻袋で漉して、絞ります。
→これでできたのが「紅の第一液」
そしてこれからまた絞った同じ紅花餅を湯に入れていきます。 この、<紅花餅を湯に入れて3時間寝かせて紅色素を抽出する> という作業を【計4回】繰り返して、紅の染液を作っていきます。

PM6:00 / PM9:00/ AM0:00 / AM3:00 計4回、繰り返します。

AM4:00

4回で作った絞り汁が完成。そこへ「烏梅」うばいのエキスを入れます
4回で作った絞り汁が完成。そこへ「烏梅」うばいのエキスを入れます
「烏梅」は梅にすすをかけて100日地下で蒸し、天日で干したもの
「烏梅」は梅にすすをかけて100日地下で蒸し、天日で干したもの
舌で酸味を確かめます。(アルカリ⇒弱酸性へ)
舌で酸味を確かめます。(アルカリ⇒弱酸性へ)
いよいよ糸を染めます。何度も何度も染めていきます
いよいよ糸を染めます。何度も何度も染めていきます
糸を絞ります。かなり力の要る作業
糸を絞ります。かなり力の要る作業
「さばき風」両手ではたいて繊維に空気を入れてさらに発色
「さばき風」両手ではたいて繊維に空気を入れてさらに発色
脱水をして糸をかけます
脱水をして糸をかけます
烏梅を足しつつ作業を繰り返すとこんなに真っ赤に!
烏梅を足しつつ作業を繰り返すとこんなに真っ赤に!
残液を温めると最後の一粒子まで紅色素が糸に吸収されます
残液を温めると最後の一粒子まで紅色素が糸に吸収されます

AM6:00 ~ AM8:00

紅色の糸を持って極寒の外へ。工房裏にある 最上川上流の清流へ
紅色の糸を持って極寒の外へ。工房裏にある
最上川上流の清流へ
1年目だけでなく2年、3年染め重ねた糸も
1年目だけでなく2年、3年染め重ねた糸も
1つずつ丁寧に大切に
1つずつ丁寧に大切に
寒染
冷たい清流の中で糸をさらします。
何度も何度も、冷水に浸け、空気に触れさせ、を繰り返すことで、 さらに紅が発色!
当日は-12℃の極寒の朝。
山岸さんはシャツ1枚に作務衣という姿。
水に浸かった手が冷たさでみるみる真っ赤になります。
さらした後は糸を干します
さらした後は糸を干します
ここでも「さばき風」をしながら
ここでも「さばき風」をしながら
寒染
寒染