木版摺更紗・鈴田滋人~身に纏われることでさらなる美しい音楽を奏でる「版のリズム」~

木版摺更紗・鈴田滋人~身に纏われることでさらなる美しい音楽を奏でる「版のリズム」~

銀座もとじは、日本伝統工芸展において数年前、鈴田滋人先生の作品に出会い、木版摺更紗のもつ文様美や現代の色彩、纏うと面と面が体に寄り添うことで曲線となる構図の巧みさを目の当たりにし、それ以来切望してまいりました鈴田先生の個展催事の開催をこの度実現するにいたりました。

「版のリズムで空間を創造する」

群生する自然を見て、その花や草木のリズムをつかみ、デザインに落とし込んでいく、という鈴田滋人さん。
自然の摂理によって、それらのリズムは、繰り返しになっているということに気づかされるのだそうです。何度もスケッチを重ね、つかんだリズムを形にし、アクセントを加えていくという作業、面で捉え、色で分け、空間を取り入れていく、バランス感覚の必要な仕事は、一朝一夕には成しえません。

鈴田滋人さんは、武蔵野美術大学 日本画学科をご卒業されています。同じ木版摺更紗の技法によっても、父 照次さんと滋人さんの表現には、それぞれ異なる明確な個の作家性がおありです。

木版摺更紗の図案

父 照次さんは、型絵染の人間国宝であった稲垣稔次郎氏に師事し、型絵染を手掛けられていたご経歴があり、師の物語性のある絵画的な表現や情緒ある色彩感覚の影響がどこかに感じられる伸びやかさのある作品を手掛けられていました。
鈴田滋人さんの作品には、どこか日本画的な静謐さがあり、完成された作品に漂う格調の高さや眼前に迫りくるような版打ちのリズムの美しさ、高貴さを感じられる絶妙な色彩感覚、また木版と型紙という2種類の型を用いる「木版摺更紗」の唯一無二な技法の極みをひとつひとつの作品の中に留めていくかのようです。

鈴田照次氏の作業風景と屏風作品
鈴田照次氏の作業風景と屏風作品
下記、絵羽作品、「木版摺更紗着物 儚花樹(ぼうかじゅ)」の設計図
下記、絵羽作品、「木版摺更紗着物 儚花樹(ぼうかじゅ)」の設計図

また、この度の個展では、初めて銀座もとじがプロデュースする「プラチナボーイ」の白生地に作品を手掛けていただきました。「プラチナボーイ」は、雄の蚕のみの糸を使って織り上げた布。今回の個展に向けて、2点のプラチナボーイ作品を絵羽着物でお作りいただきました。初めてプラチナボーイの白生地を手にされた鈴田さん、伸び縮みが少なく大変良い生地で、木版摺更紗に適した布であること、希少なプラチナボーイの白生地での制作過程は大変慎重になり、その緊張感で良い作品に仕上がりました、とご感想をお伝えくださいました。

鈴田滋人さんは、作品に「ひと色を足す」ことへの慎重さ、こだわりを強くもち、また、版を打つ位置と打たずに残す余白との関係性、”空間を築く”方法を吟味して作品に反映されていらっしゃいます。空間を創造していく「版のリズム」の響きは、身に纏われることでさらなる美しい音楽を奏ではじめます。

第58回日本伝統工芸展出品作 「木版摺更紗着物 儚花樹(ぼうかじゅ)」
第58回日本伝統工芸展出品作 「木版摺更紗着物 儚花樹(ぼうかじゅ)」
プラチナボーイ作品 「木版摺更紗着物 松景」
プラチナボーイ作品 「木版摺更紗着物 松景」