三好一彩氏を迎えて~魅惑の染色~

三好一彩氏を迎えて~魅惑の染色~

運動会日和の澄んだ青空の続く10月2日(土)、独特の染色の世界を作り出している三好一彩氏の「もとじ倶楽部」が午後7時から9時まで「ぎゃらりー泉」にて開催されました。
初めて店舗で行う「もとじ倶楽部」でしたので大テーブルを囲んで、ワインとサンドイッチ、そしてスタッフの手作りチーズクラッカーが用意され、それらを召し上がっていただきながら和やかな雰囲気で進んでいきました。
一彩氏から染に入った経緯等や現在の作家活動の様子などを入れて自己紹介をしていただき、もとじ倶楽部のスタートです。
まずは壬生寺に奉納した「大原女」の能衣裳のお話をしていただきました。一彩氏は三姉妹の長女の衣裳を担当し、「淡い黄色と水色地になでしこ柄」の上品で優しい色合いのお着物を製作されました。こちらは、絞染め、桶だし絞りなどいくつもの技法を駆使し、それらの技法の限界線で製作した見ごたえのある作品でした。一彩氏からは「今だからこそ出来る作品。また今でなければ出来ない作品です。」とコメントがありました。
続いて、一彩氏が大事にしている「1.着姿を優先してデザインする。2.着物の第一印象は色。それを大切に。3.素材選びにこだわる。染は質感も大事である。4.トータルコーディネイトの重視」4点を中心にお話いただきました。
次に、実際に使用していた「図案」を見せていただきました。まずは、普段なかなか見ることの無い図案に至る前の「メモ描き」(これは一彩氏のひらめき箱の中身を見せていただいたような感じでした)を見せていただき、そのあと「薄描き」(薄く描いた図案)そしてきちんと清書した「図案」、それを反物の実寸大に大きくしたものと見せていただきました。

また一彩氏がよく使う「ウサギ」の図案を用いて、ほたる絞り、桶だし絞り、ぼうし絞り、などの技法を順を追って実物を見せていただきました。このウサギ柄は桃山時代に徳川家康が小袖に描いていた由緒ある縁起の「ウサギ」です。

ウサギは当時から神のお使いと言われ神聖なものとして扱われていたとのこと。このウサギをモチーフに一彩氏なりにデザインに工夫が加えられて、現代に蘇らせたものでした。
トータルコーディネイトを徹底している一彩氏から続いて自分がデザインしたショールコートの紹介がありました。アシスタントの方が実際に着て見せた上で工夫点を説明、隠れた場所にもしっかり工夫が凝らされていて、ポイントを押さえた、着る側の便利さを考えて作られたものだということが分かりました。 籠絞染めの木枠も見せていただき、桶だし絞りの桶も見せていただきました。
上:ウサギの絞り染めの実例 下:籠絞り染めに使用する籠
上:ウサギの絞り染めの実例
下:籠絞り染めに使用する籠

この桶はヒノキを使って作られているそうですが、国産のものでないと毎回の染め時のピン打ちには耐えられず(台湾産のヒノキも入ってきていますが木自体が柔らかすぎてピン打ちに耐えられないとのことでした)、現在では新しい桶を製造することは困難になっているそうです。これを聞いて会場からも「日本のよき文化や技術ってなかなか残せないですね。」とため息交じりの声も上がりました。
その後11月に企画されている「京都コレクション Part2」のお話を伺い皆ワクワク! なんと!! 京都駅にある伊勢丹脇のオープンスペースの階段と踊り場とそこにあるステージを使っての着物のファッションショーを開くということでした。この時期は大きなクリスマスツリーも飾られ、まさに和様折衷のファッションショー!! オープンスペースは現代の風景ですし、その横にクリスマスツリー。そのなかで着物がどう映えていくのか? と言うチャレンジに会場から応援の声も上がりました。
その後質問が続き、あっという間に2時間は終了。最後に三好一彩氏の今後の抱負を伺ってお開きとなりました。
遅い時間の開催にも関わらずご出席を頂けましたこと心より御礼申し上げます。
随時この様にフランクな雰囲気の「もとじ倶楽部」も企画してまいりますのでまた是非お越しください。

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