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イタリアでのものづくり〜職人工房〜

2010年6月、店主 泉二はイタリアへものづくりの旅に出ました。 銀座もとじでは2007年からイタリアの職人たちとものづくりをしてきました。 今回は、これまでもずっとお付き合いのあるミラノやフィレンツェの工房を訪れるとともに、 初めてとなる、イタリアのファッションブランド「エトロ(ETRO)」とのコラボレーション企画の打ち合わせにい出向きました。 今回訪れた職人工房は、フィレンツェのイル・ブッセット(革小物)、マドヴァ(革手袋)、トリーニ(銀細工)、 ミラノのレウ・ロカティ(革バッグ)の4工房です。 イタリアのアルティジャーノ(職人)たちのボッテガ(手工業の小さな工房)は、伝統と革新に満ち溢れていました。

イル・ブッセット工房』 <IL BUSSETTO> in フィレンツェ 革小物

イル・ブッセット工房
フィレンツェのベッキオ橋(ポンテベッキオ)近く、サンタマリア・ノヴェッラ地区の パラツォーロ通り(工房ストリート)。そこに、ジョゼッペ・ファナーラさん(通称ピノ)が一人でしている 革小物専門の工房「イル・ブッセット」があります。 1800年代末期からの伝統的な技法を用いて作り上げられるジョゼッペさんの革小物には、 漆のような独特の艶があるのが特徴です。
これは、水を含ませたスポンジに石鹸をこすりつけ、その石鹸水をスポンジで革の表面にしみ込ませ、 その後、バーナー熱で温めたコテあてを何度か繰り返すことで生まれます。(ここで使うコテが 店名にもなっている「ブッセット」です。) 縫製は一切なし。木型に革をかぶせて、木槌とコテで成形し、天然糊で付けるという伝統技法。 ジョゼッペさんの代表的な作品である革のコインパースは、フタが緩んでこないのが魅力。 その技術の高さは世界のブランドにも認められ、ミヤケイッセイ、D&G、アルマーニなど多くのブランドとも仕事をしています。
イル・ブッセット工房の手仕事 写真左:木型に革をかぶせた状態で着色されたコインパース
写真中央:店名にもなっているコテ(=ブッセット)をバーナー熱で温める
写真右:石鹸水と温めたコテが独特の漆のような艶の秘密

『マドヴァ工房』 <MADOVA> in フィレンツェ 革手袋

フィレンツェのベッキオ橋の畔にあるマドヴァ工房。1919年、アメデオ・ドニーニさんが創業した、イタリアを代表する 革手袋専門店です。100%手作りのなんともいえないフィット感。 「映画で見るようなスマートな形」を目指しているという洗練されたデザイン性も魅力です。 マドヴァの手袋は出来上がるまでになんと40工程以上。
マドヴァ工房
現在は4人の職人が日差しの気持ちいい工房の中で机を突き合わせて、それぞれが縫製箇所を分業で進めていますが、 すべての職人が全工程をきちんと把握して、次の職人の作業を考えながら仕事を進めているそう。 これは工場での大量生産ではできないこと。 随所に丁寧であたたかなものづくりの姿勢がうかがえます。 生地の裁断においても、革1つ1つの伸縮方向を見極めながらすべて手裁断(この革の型切り機は1950年代のもの)。 革の着色も表面だけでなく、布を染めるように革全体を染めるので、独特の深い色艶が出るのだそう。 縫製には1940年代の足踏みミシンを4台使用。ステッチのデザインによって使い分けます。 また、手袋のスタイル毎に型がある手袋のアイロン台は1920年代からのもの。 今回も着物に似合う素材感、デザインを厳選してセレクトしてきました。 女性ものは袖口の寒さを防ぐロングタイプ。男性ものは当店では初めてのご紹介です。 「目でコントロールして作る」というマドヴァの手袋は、手仕事でしか味わえない極上のフィット感をお楽しみいただけます。
イル・ブッセット工房の手仕事 写真左:木型に革をかぶせた状態で着色されたコインパース
写真中央:店名にもなっているコテ(=ブッセット)をバーナー熱で温める
写真右:石鹸水と温めたコテが独特の漆のような艶の秘密

『トリーニ工房』 <TORRINI> in フィレンツェ 銀細工

トリーニ工房
中心街から車で30分程のフィレンツェ郊外。なだらかな丘が緑にあふれるのどかな場所に、トリーニ工房はありました。 トリーニは1369年に、ヤコポ・トリーニ氏がブランドを登録した記述が残る、現存する世界最古の金銀宝飾品工房。 実際の制作は1300年代以前より続いているという、歴史ある工房です。
メディチ家の装飾品を作っていたことでも知られています。 元々は武具・甲冑を作る職人工房でしたが、その後、金銀宝飾工房へと変わり、ルネサンス時代の優れた手技を 今に受け継いでいます。 トリーニの紋章は、四つ葉のクローバー半分と拍車を合わせたもの。これは新しい仕事への成功と幸運を祈る<四つ葉>と、 かつて騎士の武具・甲冑を作っていたトリーニの職人のシンボルとしての<拍車>を重ねることで、 幸運を呼び、悪いことから身をを護るという願いが込められています。 銀座もとじではこの紋章をモチーフとした銀細工の羽織紐を制作してきました。工房では現社長のファブリッツィオ・トリーニさん と泉二が新アイテムの相談を。発想力と行動力が豊かなファブリッツィオさんは次々と試作型を創ってくれました。
トリーニ工房の手仕事 写真左:工房に並ぶたくさんの作品の中には有名ブランドに納品するものも
写真中央:アイデアをすぐに形にしてくれる職人たち
写真右:ファブリッツィオさんとネックレスを羽織紐に見立てて話す泉二

『レウ・ロカティ』 <Leu Locati> in ミラノ 革バッグ

1908年創業、イタリアで一番長い歴史をもつ革バッグ工房がレウ・ロカティです。 1900年代初め、パリで革バッグが女性のファッションとなった頃、いち早くイタリアで革バッグを作り始めたのが、 それまで本の革表紙職人であったロカティ家の兄弟、エマヌエレとウンベルトでした。
レウ・ロカティ
当時、フィレンツェの靴屋だった「グッチ」やローマの毛皮屋だった「フェンディ」にも認められ、 現在でも数々のブランドの最高級品の制作を担っています。 その美しさや技術の高さは世界中のセレブの心を掴み、エリザベス女王やグレースケリー王妃、ダイアナ王妃、 また日本の皇室の方々にも愛用されていることで知られています。 現在のロカティブランドのバッグはすべて社長のパオロ・アマートさんがデザインを担当。 工房の奥には世界各国から集められた様々な色柄の革があり、革の持つ色や力からインスピレーションを受けて、 それぞれの革や部位の美しさにあったデザインを考えているそう。 今回はきもの姿に似合う上品で華やぎのあるフォルムのクロコダイルクラッチバッグなどを仕入れてきました。
レウ・ロカティの手仕事 写真左:クロコダイルのバッグは随所まで手間をかけた逸品
写真中央:細かなギャザー部分もすべて手仕事
写真右:革の色柄や部位が一番美しく表現できるデザインを考えるパオロさん

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