「石井彩子展〜四季をめぐる〜」ぎゃらりートーク開催レポート

2010年12月9日(木)〜12日(日)まで、銀座もとじにて開催した『石井彩子展 〜四季をめぐる〜』。
12月11日(土)には 石井彩子さんを迎え、今回の企画展に込めた思いについて「ぎゃらりートーク」をしていただきました。

石井彩子ぎゃらりートーク

石井彩子さんは手描き友禅の染色作家。 四季をめぐり華やかに彩られる花々、その生命力に満ち溢れる美しさを一筆一筆ていねいに着物や帯へと描く、石井彩子さんの世界は見るほどにほれぼれする女性らしい感性があふれ、石井彩子さんのお人柄そのもののようです。

初めて銀座もとじオリジナルで創作していただいた、銀座の柳をモチーフとした帯作品「陽葉」は大変好評で、 銀座もとじがプロデュースしているオスだけの蚕「プラチナボーイ」の誕生までを追った書籍『天の虫 天の糸』にも掲載、 またさまざまな雑誌メディア等でも取り上げていただきました。 2010年11月に銀座もとじ30周年企画として発表させていただいた“「泉」をテーマとするプラチナボーイ作品群”では、 ご信頼し依頼させていただいた40名の作家の一人として、石井彩子さんにも帯を制作いただきました。 店主 泉二が今、そして今後とても注目申し上げている若手作家の一人です。

石井さんは、お父様は建築家、お母様は日展の染色作家、お姉様は文学座の舞台女優さん、妹さんはテレビ朝日の アナウンサーと、皆さん芸に多彩な方ばかりの芸術一家です。 そんな石井さんはどうして着物制作の道へ進まれたのでしょう。

「母が友禅をしていたので小さな頃から“染色”は周りにありましたが、 全くそういった道に進む気はなかったんです。でも20歳を迎える時、母に 「成人式に向けて自分の小振袖を染めてみたら」と言われて、挑戦してみたんです。 そうしたらそれがおもしろくて。本格的に勉強を始めました。」 その後は染織の学校を経た後、東京友禅の第一人者、故・熊谷好博子さんの弟子である木下冬彦さんの工房に勤務。 現在は、日展作家である母・行吉志津枝さんとの共同制作も取り組んでいます。
石井彩子

ご縁があり、2008年には、石井さんの初めての個展を銀座もとじでさせていただきました。そして2010年、今回は 石井さんの第2回目の個展になります。 「初めての個展は本当に嬉しくて。この2年間、そのおかげで喜びももうひとつ増えたんです。 作る喜びの他に、自分の作品を着てくださっている方を拝見できる喜びです。 銀座もとじさんにお伺いするたび、何度かお求めくださったお客様にお会いできたことがあって。 今日も前回の個展の帯を締めてくださっている方々が来て下さっていて、こんなに嬉しいことはないです。」

今回の企画展のテーマは「紬に合う帯」。「〜四季をめぐる〜」というサブタイトルの通り、 季節のお食事やお茶席の紬にもきっと素敵に楽しんでいただける帯ばかりです。 しかも今回の塩瀬や絽の帯、訪問着などはすべてプラチナボーイで制作いただきました。 「プラチナボーイは発色も良くて、色の深みが本当に美しく出ます。最初、新しい素材を扱う時は とても緊張するんですが、プラチナボーイはもう安心して作品づくりに取り組めています。」

石井彩子さんの作品

「野に遊ぶ」
「野に遊ぶ」
「コムラサキ」
「コムラサキ」
「春を数えて」
「春を数えて」
「海について」
「海について」
「星彩」
「星彩」
「青なつめ」
「青なつめ」

石井彩子さんが大切にしているもの、それは「品格」のある作品づくりです。 これは20年余り続けてきた茶道からも学ばれていることだそう。 「茶道にはすべての日本の工芸が関わっています。20年続けていく中で、そこには常に「品格」がありました。 先生の帯を作らせていただく時にも、華美ではないけれど美しい、「品格」のあるものを表現することを心がけています。」

着物や着物を召すシーンをよく知っている女性だからこそ表現できる色やモチーフ。 石井さんの作品は四季の花草や動物など、どなたにも印象が良く、季節を楽しめる帯。 それでいて個性を感じる構図や色分けをされるところが趣味性高く、記憶に残ります。 茶室の中で、主役になりすぎない、それでも女性らしい華やかさや個性を楽しみたい。 それはどのようなシーンでも女性が求めたい感性です。 女性らしい「品格」を求める石井さんならではの創作への美意識、 そして一筆一筆本当に丁寧な染仕事をぜひお楽しみ下さい。 きっと女性でいることが楽しくなる着物です。